ただし正しい食材をしっかり摂取すれば、がんになる可能性を下げることはできるかもしれません。「食事とがんのリスクには深い関係性があることがわかっています」とニュージャージー州の医療機関Summit Medical Groupで内科医を務めるソーマ・マンダル博士は話します。
がんの予防に最も効果的な食べ物とはなんでしょうか? 一般的には、植物性食品、特に食物繊維が多く鮮やかな色合いの食べ物(抗酸化物質が豊富なサイン)は、予防効果が高いと言われています、とマンダル博士。反対に、加工肉やアルコールは悪影響を及ぼす可能性があります。
そうした効果的な食品の中でも、特に抗がん作用が高いとされる食品があります。食品の成分が長期的に作用して、がんを引き起こす細胞の損傷や炎症を抑える効果が期待できると言われています。そこで今回は、がん予防のために積極的に摂りたい野菜などを紹介します。
1. ブロッコリー
ブロッコリーなどのアブラナ科野菜には、グルコシノレートと呼ばれる硫黄含有化学物質が豊富に含まれます。咀嚼され消化されると、分解されてインドール-3-カルビノールやスルフォラファンといった成分になります。
アメリカ国立がん研究所(NCI)によると、これらの成分は細胞の損傷や炎症を食い止めるほか、腫瘍の血管形成を抑制する効果もあるんだそうです。
2. カリフラワー
ブロッコリーの親戚で、淡い白色をしたアブラナ科野菜のカリフラワーにも、同様に抗がん作用があると言われています。できる限り頻繁に摂るといいでしょう。
ハーバードのある研究で12万4,000人の調査を行ったところ、カリフラワーなどのアブラナ科野菜を週に5人分以上摂取した人は、摂取頻度が低い人よりも肺がんになりにくいことがわかっています。
3. トマト
色鮮やかなこのフルーツも、抗がん作用のある抗酸化食材です。トマトはカロテノイドの一種、リコピンを最も多く含む食品のひとつで、前立腺がん、乳がんおよび肺がんのリスク低下に役立つとされています。
抗酸化作用を最大限に生かすには、生トマトではなくトマトソースやトマトペーストを使うといいでしょう。パリンスキ・ウェイドさんによると、「トマトは加熱調理するとリコピンが増加します」とのこと。
4. にんじん
鮮やかなオレンジ色は、抗酸化物質が豊富な証です。にんじんに含まれる抗酸化物質ベータカロテンには、がんを予防する効果が期待できます。
ある分析は、にんじんの多量摂取によって乳がんの発症率が21%低下したと結論づけています。また別の研究では、にんじんの摂取が前立腺がんの予防につながることが示されました。
5. ニンニク
ニンニクの消費が発がん率の低下につながることは研究で証明されていますが、ある調査で特に消化器のがんの予防に効果があることがわかりました。
研究者によると、ニンニクには硫黄化合物が含まれ、抗菌作用や細胞を傷つける発がん物質の抑制効果があるんだそう。ニンニクの効果を最大限に引き出すには、ニンニクを刻んだりつぶした後、料理に加える前に10分ほど寝かせてください。少し時間をおくことで硫黄化合物がより多く生成されます、とアメリカがん研究協会(AICR)が説明しています。
6. ケール
ケールもアブラナ科の野菜なので、がんの予防効果が期待できる葉野菜です。カットしたケール1カップには、ビタミンAやビタミンCなどの抗酸化物質が1日分以上含まれます。 ※編注:アメリカの場合。日本では、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)によると、1日のビタミンAの推定平均必要量は30~49歳の女性で500μgRAE、1日のビタミンC摂取の目安量は成人100mgとされています。
フリーラジカルを取り除いて、がんを引き起こす原因となる細胞損傷を防いでくれます。
7. サツマイモ
20年間にわたる研究によって、抗酸化物質ベータカロテンの血中濃度が高い女性は、血中ベータカロテン濃度が低い女性よりも、乳がんを発症するリスクが28%低いことが判明しました。
サツマイモにはそのベータカロテンがたっぷり。たった1個に、1日に必要なベータカロテンの7倍もの量が含まれているんです。 ※編注:アメリカの場合。
8. アーティチョーク
信じられないかもしれませんが、実はアーティチョークにもポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富に含まれ、乳がんの予防に大きな役割を果たすことが研究によって示されています。
また食物繊維が最も多く含まれる野菜のひとつで、調理したアーティチョークのハート部分1/2カップで食物繊維7gを摂取できます。最近のある研究によると、食物繊維をたくさん摂取した人は、摂取量が少ない人よりも、肺がんの発症率が17%低かったそうです。
9. オリーブオイル
地中海ダイエットの基本食品でもあるオリーブオイルは、料理にもうひと振りしたいおすすめ食材です。
19の研究をまとめたレビュー論文によると、オリーブオイルをたくさん摂取した人は、あまり摂取しない人よりも乳がんや消化器のがんを発症しにくいとのこと。これは、健康的な一価不飽和脂肪やフェノール系酸化防止剤が含まれていることが影響していると考えられています。
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