誰でもティーンエイジャーのころは、感情をコントロールするのが苦手。でも、12歳の時点ですでに、食器がふれ合う音にも苛立ちを感じていたカイリー・リー(最近ではTVドラマ『Supergirl/スーパーガール』のアレックス・ダンバース役で有名)は、何かまずいことが起きているのかもしれないと思うようになっていました。
「小さいときから双極性障害の傾向があるとわかっていたけど、(当時は)それが何なのか分からなかった」と言うカイリー(37歳)。わけの分からない気分の浮き沈みを何年も経験したのち、10年前にやっと双極性障害と診断されたのです。そして今、そのことについてオープンに語る道を選びました。
双極性障害って何ですか?
双極性障害とは、米国国立精神衛生研究所(NIMH)によると、極端にハイテンションな状態(躁状態)と極端に落ち込んだ状態(うつ状態)を繰り返して気分が変動する心の病。
躁状態になると気分が高揚して、やる気十分で向こう見ずになりますが、うつ状態のときは完全に元気がなくなり、集中力も失せて、絶望感に打ちひしがれます。米国では双極性障害は推定700万人。その中にはカイリーも含まれます。そしてカイリーの母親も。
カイリーは、無茶な行動を取ってしまったり、極端な気分の浮き沈みがあったり、夜眠れなかったり……、母親が体験した症状の多くが自分にもあると思ったと言います。でも、「10代のころは母を支える立場に置かれたので、自分の気持ちを表に出すチャンスがなかったの」
当時、自分の心と体をコントロールできないように感じたカイリーは、代わりに周囲すべてをコントロールすることで埋め合わせようとしていました。友だちグループの中では常に「指図する支配者」だったそう。「何年間もおさえ込んでいたから、悪くなるばかりだった。自分の中に閉じこもって、殻を作ってしまった」
躁状態とうつの波がつらかった
カイリーは20代になっても、躁状態とうつ状態をひそかに繰り返し続けましたが、とにかく前に進み、女優として開花しつつあるキャリアと家族を作ることにすべてのエネルギーを注ぎ込みました。
夫のネイサン・ウェストとは17歳を迎える2週間前に出会い、互いに「すぐに夢中になりました」
ふたりは結婚し、カイリーが27歳になるまでに、ノア、テイリン、アニストンの3人の子どもも誕生。「あまりにも多くのことが起こったので、何かを感じている余裕もなかった」と言うカイリー。子どもたちは3人ともそれぞれ、アスペルガー症候群、自閉症、ADHD、てんかんといった問題を抱えているそうで、「自分もおとなになろうとしながら、子どもたちを育てていたの」
カイリーにとって、ドラマ『グレイズ・アナトミー』などの仕事が発散の場になっていました。「極度の躁状態でいつもピリピリしていたから、眠ることも食べることもできず、苛立っていて無茶な行動も取っていた。仕事に行ってアドレナリンを放出し、エネルギーと感情を使い果たして、疲れ切って家に帰るというパターンね」
カイリー・リー(中央)、『グレイズ・アナトミー』のセットで。症状はエスカレートし続け、もう無視できないと悟ったカイリーは、ついにセラピストの元を訪れます。でも最初のころは、面会を「口先だけで切り抜けていた」と言います。それは「処方薬を手に入れるため」
「何も感じない状態を目指していたの。そうやって、私の移り変わる気分をやり過ごすための能力も跡形なく破壊してしまったのです」
カイリーは29歳になってついに限界点に達し、偽名を使って自らの意志で入院しました。「私は自分の複雑な内面をいつも隠していて、キレイで感じのいい人に見られようとしていた。『元気にやってるわ』で通したいと思っていたけど、入院してみたら、そうじゃないことがはっきりした」
1週間の入院の後、カイリーは「双極II型障害」と診断されました。初めて症状を経験してから17年を経て。
カイリーは結局、家族のことを、そして自分の子ども時代のことを考えて、助けを求めました。「自分の過去のせいで怖くなったの。成長期に大嫌いだったことがまたやってきてしまうのではないかと心配で、もう瀬戸際だった。変えようとしたのよ。できなかったら、ここにはいなかったでしょうね」
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あなたはひとりじゃない。助けを求めてほしい
診断から1年後、カイリーは第8シーズン中に『グレイズ・アナトミー』を辞める決心をしました。「2歳の娘が重い発作を起こすようになって、危機的な時期になったのです。番組から降りるのは、みんなで選んだこと。たくさんのサポートを受けていた。とりわけ夫から」
そして今、カイリーはこれまでの道のりをオープンに語り、メンタルの問題を話し合うネットコミュニティ「Be Vocal: Speak Up for Mental」を通じて助けを求めるよう、ほかの人たちにもすすめています。
毎日の服薬とセラビーで双極性障害を管理しているカイリー。「まだ取り組んでいる問題もあるけれど、回復と気づきに至る道のりをずっとたどっています。双極性障害と診断されたことで、制約を受けるのではなく、どうすればきちんと動くことができるのかが分かるようになるの。双極性障害をうまく利用して、スタントの仕事で発散させるとか、エネルギーを消費する創造的な方法を見つけているわ」
気分が落ち込んだときは、夫が“巨大な岩”のような役目を果たしてくれているそう。ふたりは一緒に子どもたちと向き合い、親が自分の言うことに耳を傾けて理解してくれていると感じられるように、自分の精神的な問題について話すよう励ましています。
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混乱し、苛立ち、孤立していると感じていた子ども時代から、大きく成長したカイリー。自分の物語を語ることで、ほかの人たちがそれぞれの戦いについて語り始め、自分を受け容れる道を切り開けるようにと願っています。
「みんなに知ってもらいたいの、ひとりぼっちじゃない、同じ思いをしている人が何百万人もいると。私たちがメンタル面の健康について話せば話すほど、プラスのインパクトは大きくなっていくのよ」
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レディー・ガガが語るメンタルヘルスの大切さ。自傷とPTSDを乗り越えて
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Nicol Natale/Supergirl's Chyler Leigh Opens Up About Her Battle with Bipolar Disorder for the First Time/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)