体重を減らそうと努力している人と話すときに、口にしてはいけない言葉には何があるのでしょうか? 逆に、相手を勇気づけて、励みになるためには、どんな言葉を選ぶとよいのでしょう? 心理学者がアドバイスします。
1. 食べる量を減らして、もっと運動すればいいだけだよ
image via shutterstock「まず、体重を減らそうとしている人はみんな、そんなことは言われなくてもすでにやっています」と話すのは、健康と肥満における心理学を専門とする公認心理師ジム・ケラー博士。善意の発言であっても、ほぼ間違いなく上から目線で言っているように聞こえます。
それだけではありません。この発言は、多くの人にとって体重を減らす上で本当に難しいことを単純化しすぎているとケラー博士は指摘しています。
「バランスよく食べて、体をもっと動かすというのは確かにダイエットの過程では重要なことですが、ダイエット中のほとんどの人は、実際にそうしている最中に空腹感がひどくなったり、代謝が遅くなったりといったことを経験しているのです」
代わりに言うこと:
「まずは相手が体重を減らすためにやろうとしていることがどれほど難しいことなのかを認識しましょう。大変だということをわかった上で、相手を励まし、ダイエットに挑戦していることをすごいと思っていると伝えましょう」(ケラー博士)
2. あとどのくらい体重を落とすの?
image via shutterstock害のない質問に思えますが、体重計をかなり意識させることになり、言われたほうはなんだか失敗しているような気分になってしまうことが多いのです。
「体重を減らそうとしている人が目指すべき成功というのは、体重計の数値を達成することだけではないんです。したがって、体重だけに注目しないほうがよいのです」とケラー博士は話します。
たとえば、健康的な生活を送っていれば、体重計の数値が変化しなくても気分がよいはずです(それに健康的だと感じるはず)。しかし体重計の数値だけを気にしていると、それ以外の成功を喜べないのです。
代わりに言うこと:
ケラー博士がすすめるのは「体重計ではない成功に目を向けること」。炭酸飲料を飲むのをやめたこと、あるいはランチタイムに散歩をするようになったことについて、どれほどあなたが感心しているのかを相手に伝えましょう。
ダイエットがどんな調子かどうしても聞きたくなってしまったら、いまどのような気分なのかを聞いてみましょう。それほど疲れてないとか、子どもに負けないくらい元気といったことを、相手は喜んで話してくれるでしょう。
3. 本当にそれを食べるべきなの?
image via shutterstock単純明白です。ダイエットをしようとしている人に対する「食事警察」的な発言は、いかなる形であっても不適切です。
ケラー博士いわく、ダイエット中の人が批判されている気分になるだけでなく、がまんしていることを意識させてしまうため、結果的に腹いせでもっと食べたくなるように刺激してしまうかもしれません(これは「反発的に食べる」行為といって、ケラー博士は診療でしょっちゅう目にしています)。基本的にあなたは悪者となり、ダイエット中の人の努力を脅かしてしまうのです。
代わりに言うこと:
「食事警察」になってほしいと人に頼まれても断りなさい、とケラー博士。「誰かをサポートするいちばんの方法は、自分も参加すること」だと博士は説明します。一緒に散歩しようと相手に提案してもいいし、自分も砂糖が添加された食品をやめると言ってもいいでしょう。
少なくとも、相手が選んだ食べ物について質問したくなったときには、よけいなことは言わずにだまっていることです。
4. 体重が減ったら、きっとすごくいい感じになるね
image via shutterstockそう、人はダイエット中の友人や家族に対してこの発言をしょっちゅうします(あなたは違うといいのですが)。「このような皮肉なお世辞は、私たちの社会における体重に対する醜い偏見を反映しているだけだ」とケラー博士は批判しています。
言われたほうとしては、自分の外見が恥ずかしくて不適格なので努力して目標を達成しなくてはならないという気持ちになってしまうだけです。「また、こうした発言は自尊心を奪い、敗北感を抱かせて、気をまぎらわすために食べるという状況に相手を追い込んでしまうだけなのです」
代わりに言うこと:
体重計の話題を避けるべきなのと同じく、基本的に美しさを重視するのをやめようとケラー博士は言います。その代わりにダイエットを続けていることで心身ともに健康的になった点に目を向けて、生き生きとして張りが出たことや、バイタリティにあふれている点などをほめましょう。
5. わーすっきりしたね! すてきになったじゃない!
image via shutterstock明らかに体重が落ちたのが目に見えるほどであっても、外見に対するコメントは相手を傷つけることがあります。
「“よい外見”という基準にあわせるためにその人は体重を落とす必要があって、以前は外見がよくなかったという意味に取れてしまいます」と指摘するのは、『Prevention』の医療監修ボードのメンバーで行動心理学者のサリ・チャイト博士です
代わりに言うこと:
ここでも他人の外見について意見を言うのは避けて、「元気いっぱいに見える」「ヘルシーなランチがおいしそう」「健康的な生活をしようとしていてすごい」など、そのほかの点をほめましょう。「生活を変えようと本当にがんばっているのがわかるし、おかげで私もとても刺激を受けている」と伝えてみては?とチャイト博士はアドバイス。
6. ピザひと切れくらい大丈夫だって
image via shutterstock「食事警察」とは反対に、こうした発言は、好きに食べることについてあなた自身が抱いている罪悪感を反映していることが多いのです。
「相手も一緒にやってくれたら自分も気分よく食べられるからです」とチャイト博士は説明します。しかし、相手がピザを控えようとしている場合は、気まずい状況になってしまいます。最初にひと切れのピザを断った時点で、すでに心の中では相手はある程度葛藤しているからです。
代わりに言うこと:
おいしそうな食べ物自体をほめる場合以外は、チャイト博士は「基本的に他人が食べているものについて意見を言わないようにアドバイスしている」そうです。「いいえけっこうです」と相手が断ったなら、素直にそれを受け入れて、自分のことについて話すようにして、自分が食べると選んだ食べ物はなんでも楽しんで味わいましょう。
7. このダイエットは私には効果があったから、あなたもやってみるべき!
image via shutterstockまず「一般的に、人はおせっかいなアドバイスは心よく受け取らないものです」とチャイト博士。「そういったアドバイスには反発心を覚えるのが自然なのです」。
さらに、体重を減らしたいと思っていても、相手はまだ心の準備ができていないのかもしれません。そしてもっとも重要な点として、あなたに効果があったからといって、ほかの人にも効果があるとは限りません。
それに、あなたの方法を他人に押し付けることで相手を追い詰めてしまい、相手が自分でやろうとしていることがやりにくくなり、そのことについて話せなくなってしまう、とチャイト博士は言います。
代わりに言うこと:
話す相手が誰であろうと、特にダイエットに関するアドバイスなど他人に何か助言をする前に、あなたの経験について聞きたいかどうか相手に確認しましょう、とチャイト博士は言います。相手が興味ないという場合は、効果的な方法がきっと何か見つかるよとだけ伝えて、話題を変えましょう。
対人関係のトラブルを防ごう
心配してくれる相手ほど、秘密をバラす? 「口の堅さ」の判断基準
他人のことに、上から目線で口出しをしたがる「女」との付き合い方
Lauren Del Turco/7 Things You Should Never Say to Someone Trying to Lose Weight, According to Psychologists /Maya A. Kishida(翻訳)