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女性は寒がり、男性は暑がり。男女の「適温」はなぜ違う?

2020/01/18 20:00 投稿

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同じ温度なのに、女性は「寒い」、男性は「暑い」という。この差はどこからくるの?

男女間で感じる温度の違いについて、生物学者が解説します。

男女の「適温」はなぜ違う?

とある冬の夜のこと。初デートを楽しんでいる男女がレストランに向かって歩いていました。男性は心ウキウキ。でも、女性はすっかり体が冷え切って、レストランに到着した頃には手がかじかんでいました。

それからも、毎年冬になると、彼女は窓の外を見てはゆううつな気分に。外に出ると凍えてしまうと、二人の時間もたいがいは家の中で過ごすようになったのです。

次第に、世の中的にみても「室内の温度が女性にとって寒すぎる」という話に展開して、二人の間で口論になってしまいました。特にオフィスは、女性にとって寒すぎるもの。たとえばオフィスの温度設定は、体重70kgで40歳の男が安静にしているときにどれほど体熱を産生しているかという古い方程式に基づいて、適温が設定されているといいます。女性は新陳代謝が一般的に低く、体熱の産生も少なくなります。

このように、男女間の「適温」の違いはなぜ生まれるのでしょうか。ある人は寒くてぞくぞく、またある人は温かくぽかぽか。その間に何があるのか。詳しく見ていきたいと思います。

女性が冷えやすいのには理由があった!

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人間は恒温動物で、自ら熱を生み出しており、体温はおおよそ37度に保たれています。

快適な環境の中では、基礎代謝によって体温維持のために熱が産生されています。暑すぎたり寒すぎたりすると、体は環境に順応。寒いときは、手足の血管は収縮し、末梢の血液量を減らします。手足は急速に冷えやすいので、まだ十分温まっていないと、思わず身震いして熱を生み出します。このときにたくさんのエネルギーも使っています。

体温や環境の要因の感じ方については、1世紀以上にわたって研究されてきました。これは論文で検証されており、男女間の温度への感覚の違いも明らかにされてきました。発表したのは、オランダのマーストリヒト大学医療センターの2人の研究者。そのうち、マーストリヒトにある体温生理学・代謝研究グループを率いる生物学者、ウーター・ファン・マルケン・リヒテンベルトさんに話をききました。

ウーターさんは、男性と女性の間には見逃せない温度差があると指摘。女性は平均して、体積に対する体表面積の比率が高いため、早く冷えるといいます。

さらに重要なのは、女性は男性よりも比較的、脂肪を含まない組織が少ない点です。熱を生み出す源は、ほとんどが脂肪を含まない組織。「男性と女性が同じ環境に置かれると、平均して女性は涼しく感じます。女性はまた環境へと熱を失いやすく、熱を生み出す力も弱いのです」と、ウーターさん。

寒くなると「褐色脂肪」が増える

また、ウーターさんは「褐色脂肪」についても言及。断熱に優れている白色脂肪とは異なり、褐色脂肪は体が活動すると熱を生み出します。

ウーターさんは、褐色脂肪が熱を産生しているということそのものよりは、寒さへの適応能力が分かることに注目しています。夏にはあまり多く見られないものの、秋や冬、気温が下がって寒さにさらされると、褐色脂肪が増えるのです。男性はそのような生理学的な理由から、気温が下がっても快適に過ごせるようになっているのです。

ウーターさんは、そうした順応に加えて、体組成も大切と話します。「よく誤解されますが、褐色脂肪ばかりを考えればいいわけではありません。たとえ身震いしなくたって、筋肉も大事。褐色脂肪だけではないということ。要するに、褐色脂肪とほかの要素との相互作用です」

また、小さい頃、寒い日にたくさん着込む習慣があった人は、寒さに順応しづらくなるのでは? という疑問もあります。ウーターさんは、若い頃の経験や遺伝学に関わる長期的な温度適応性はほとんど研究されていないと話します。「若い頃の経験が本当に影響するのかはまだ不明」と、ウーターさん。

定期的に寒さに身を慣らすといい

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ウーターさんから温度差のあるカップルへのアドバイスは、「定期的に寒さの中に身を置いてみて」

ときどき、寒い外に彼女を連れ出すとよいとのこと。女性は体脂肪率が高く、体脂肪は発熱にはあまり役立たないけれど「脂肪が多いと、有利に働くかもしれない」とウーターさん。

また、女性が冬の夜には不利な立場にあることを知っておくことも大事です。女性は平均的に小柄で、体温を速く失い、生理学的に見て熱を産生するのも難しいのです。

次回の『Prevention』記事に続きます。

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