健康を維持したい、と毎日何気なく飲んでいるサプリメント。でも実は、より効率のよい飲み方、やってはいけない飲み方があること知っていますか?

サプリメントの摂り方で気にかけておきたいポイントを、帝京平成大学薬学部教授、薬学博士 井手口直子先生に教えていただきました。

水で飲んだほうがいい? タイミングを外したらNG?

ーQ1. サプリメントを飲み始めたのですが、「水、またはぬるま湯で」飲むようにとパッケージに書いてあります。つい、お茶やコーヒーで飲んでしまうことがあるのですが、大丈夫ですか?

井手口先生 :

多くのサプリメントの商品は、水かぬるま湯で飲むことを推奨しています。ですが、サプリメントは「食品」に分類されていますので、薬のように水やぬるま湯で飲むと効果が出やすいようにつくられているかというと、必ずしもそうではないと思います。

ですから、ご自身の判断でお茶やコーヒーなどで摂っても問題はないかと思います。例えば、顆粒状のビタミンCなどは、かなり酸味が強いので、スポーツドリンクや炭酸水などに溶かすと飲みやすくなりますよ。

ーQ2. 飲むタイミングも悩ましいです。食前がいいのか食後がいいのか、朝がいいのか夜がいいのか。

井手口先生 :

強いていえば、脂溶性の成分なら食後、水溶性なら食前のほうが吸収がいい、とは言われています。とくにコエンザイムQ10は食後のほうがよく吸収されるというデータがあったり、ビタミンCは就寝前がいい、といわれることもあるようですが、こちらも基本的にあまり気にしないで大丈夫です。飲み忘れないよう、毎日朝食後、と決めるのもいいと思います。

また、飲み忘れたからといって深刻に考える必要もありません。食品ですから、好きなときに飲めばいいし、1回忘れたことで深刻になるよりも、飲み続けることのほうが大切

ただし、飲み過ぎには注意が必要な場合があります。商品のパッケージに記載されている1日の摂取量の目安をしっかり確認し、過剰に摂取しないようにしたいですね。

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一度に何種類飲んでもOK?

Q3. ー興味のあるサプリメントが何種類もあります。一度にたくさん飲んでも大丈夫でしょうか。飲み合わせが悪いサプリメントがあるようなら知っておきたいです。

井手口先生 :

胃が荒れない程度だったら大丈夫だと思います。たくさんの種類を飲んで、胃もたれをしてしまうようだったら減らしたほうがいいですね。これとこれは一緒に摂らないほうがいい、ということはあまり考えなくても大丈夫です。

ただし、たくさん飲めば飲むほど、余計な成分である賦形剤(ふけいざい:成形の向上や服用を便利にするために加える添加剤)もたくさん摂ることになってしまうので、注意が必要ですね。

また、どのサプリメントが自分の体にあっているかを知りたい場合は、一種類ずつ飲んだ方がわかりやすいでしょう。

Q4. ー飲み始めてからどれくらいの期間で体の変化を感じるようになりますか。

井手口先生 :

それは人それぞれだと思います。ものによっては3日で変化を感じることもありますし、1カ月くらいかけてゆるやかに変化が見られるものもあるでしょう。すぐに変化が現れないからといってやめてしまわないで、少し様子を見ながら続けていくのがよいかと思います。

目安がわかりやすいケースもあります。たとえば、お酒をよく飲む方は不足しがちなビタミンB群を摂るといいといわれますが、どれくらい摂るのがいいのかという目安のひとつに、尿の色があります。尿が黄色くなるのは、栄養が十分に体に行き渡っている状態で、余った分が排出されているという証拠といわれます。

自分の体の変化に気づくことが大切

Q5. ー自分の体に合わないサプリメントも、きっとありますよね。

井手口先生 :

合う、合わないは、個人差があります。「飲んでみてよかった」と勧められたサプリメントでも、人によっては合わないことも。私もなぜか胃痛に悩まされた時期があり、あるサプリメントをやめたらすぐに治った、ということがありました。

目的の成分以外の、賦形剤の影響かもしれませんが、サプリメントを飲んで体の調子がどう変化しているか、常に気をつけておくことも大切ですね。

まずは試しに飲んでみる。でも、その後自分の体にどんな変化が起きるかは、自分で気づくようにしたいもの。サプリメントを飲み始めてから、それまでなかった不調が現れていないか、日々しっかりチェックしておきたいですね。また、体の調子は時間が経てば移り変わりますから、その時々によって見直しをし、取捨選択をしていくのがいいと思うんです。

サプリメントは薬ではありませんから、「サプリメントですべては解決しない」ということを認識しておいてください。厳密にやりすぎるのではなく、「体にいい影響を与えてくれているといいな」と思いながら、楽しく飲むのがいちばん。それが、サプリメントを最大限に活用するポイントではないかと思います。

Q6. ーいっぽうで、サプリメントに頼らず、病院に行ったほうがいい場合もありますね。

井手口先生 :

たとえば、女性の方で生理痛が酷い場合、サプリメントでどうにかできたら、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、子宮内膜症などの病気の可能性もありますから、まずは一度病院で受診したほうがいいと思います。

これに限らず、サプリメントか受診か、迷うことがあれば、まずは薬局などで相談すべきだと思います。

サプリメントを飲んでどんな変化が現れるか……。無理せず、焦らず、しっかり自分の体に向き合って、より健康な自分を想像しながら、楽しく取り組むのが大切ですね。

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井手口直子(いでぐちなおこ)さん
帝京平成大学薬学部教授、薬学博士。株式会社新医療総研顧問。帝京大学薬学部を卒業後、望星薬局勤務、日本大学薬学部専任講師などを経て現職。ラジオNIKKEI「井手口直子のメディカル・カフェ」でパーソナリティを務め、医薬に関する最新の話題を発信。

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