しかし、医学博士の尹生花(イン セイカ)先生によると、「それは目に見えないからだの内側にある五臓が疲れているサイン」。五臓を立て直していかないと、不調は根本から改善できない。だからこそ、五臓を活性化させる臓活が大事になるという考え方です。
尹先生は、鍼灸師の資格を持ち、ホリスティックビューティの先駆者として、「体の内側と肌の相関関係」を数字で解明してきた方。多くの著名人が通う美容健康サロン「BHY」を運営しています。
そんな尹先生の知識が詰まった著者『みんなの臓活』(ワニブックス)より、五臓のサインを感じとり、活かす方法を見ていきましょう。
みんなの臓活 - 五臓をのぞき、活かす - (美人開花シリーズ)
1,700円
臓器とは違う、東洋医学における「五臓」
そもそも、あまり聞き慣れない「五臓」とはなにを指すのでしょうか。言葉からは西洋医学における臓器をイメージしがちだけれど、その概念とはまったく異なるものなのだそう。
本書では東洋医学に基づき、「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」という、生きるのに必要な働きを5つに分類したものを五臓と呼んでいます。
たとえば「腎」について。西洋医学では腎臓という内臓のことですが、東洋医学では発育や生殖など基本的な生理機能をもつことから、大きな意味で「生命力を蓄える場所」と考えられています。
腎の働きが低下すると、むくみや冷えを招き、ホルモンにも関わって月経痛や不妊の原因にもなるとされます。『みんなの臓活』4、5ページより引用
肝は、体を構成する基本的な要素の「気」や「血(けつ)」をすみずみまで行き渡らせる役目で、心は、すべての臓のリーダー的存在。脾は、栄養を最初に吸収して運び、肺は、呼吸を通じて気を巡らせる。このようにそれぞれ役割を持ち、24時間休むことなく活動し続けて、臓器や細胞に必要な栄養分を届けているということなのです。
このように五臓は、ホルモンの分泌や老廃物の排泄、疲労回復、精神の安定といった、私たちの体や心に関するすべてのことに関与しているそう。すこやかに生きることと五臓の働きには、密接な関係があることがわかります。
不調は五臓からのSOS
普段生活をしている上で、“五臓が弱っている”と感じたことがある人はあまりいないと思います。
それもそのはず、「どんなに忙しく働いていたり、ストレスを抱えていても、五臓は沈黙しています」と尹先生。気づかずに五臓のケアもなにもしなければ、機能の低下を招き、バランスを崩してしまいがちになるようです。
心が疲れれば血をスムーズに全身に巡らせることができなくなり、顔にツヤがなくなったり、動悸や息切れを起こすことも。また、潤いを全身に運んでくれる肺が弱くなれば、かすれ声になり、痰が溜まり、咳が出たり、風邪を引きやすくなります。
『みんなの臓活』25ページより引用
さらに、血を司る肝が弱ってくると、血の巡りが悪くなることで肌のターンオーバーに必要な栄養素が不足し、シミが出やすくなることも。また、生理痛やPMSがひどくなったり、首や肩、背中がこりやすくなったり。このような不調を五臓からのサインとして正しくキャッチし、臓活で守ることが大切になります。
臓活の第一歩は、毎日の食習慣
では、臓活はなにをするのでしょう。
「日々の食事によって五臓は養われます」と尹先生の言う通り、まずは五臓を活かす食材を食べることから始めます。尹先生によると、五臓やそれにつながる経絡に届きやすく、働きを促す作用のある相性のいい食材がそれぞれにあるそう。
たとえば先ほどの、生理痛やPMSなど肝の症状を改善するには、気の巡りと血流をよくする食材が有効に。気のうっ滞を解消してストレスを緩和する、梅干しやレモンなど酸味のあるもの、気の流れをよくするだけでなく血行促進作用をもつニラなどがおすすめ。不調に合わせて食材を選び、五臓の機能を回復させていきたいものです。
秋は肺、冬は腎のケアを
また、五臓は季節と関連があると尹先生は言います。
立秋から11月までは肺に相応する時期で、空気が乾燥するため肺の機能も弱りがちに。とくに免疫力は、肺の働きが大きく関係します。秋から冬にかけて風邪を引きやすい人は、肺が弱っていると考えられ、とくに咳やぜんそくなどの呼吸器系、肌や鼻、のどの不調に注意が必要になります。
肺を外気や外敵から守るには、できるだけ乾燥を避けることがポイントに。朝起きたらすぐに窓を開けて淀んだ空気を入れ替える、深呼吸をクセにして精気(自然のエネルギー)をたっぷり吸い込む、うがいやマスク、加湿器を活用するなど、生活の見直しが重要に。
冬になると、腎の季節が巡ってきます。
腎が弱ると成長や生殖などの生命活動に支障が出ます。水分代謝も悪くなるため、むくみや冷え、顔色のくすみが表れ、さらには老化や知力の低下を招き、認知症になることも。
『みんなの臓活』103ページより引用
このような症状に見舞われないためにも、とにかく冷やさないことを心がけるべし。冬に太陽の暖かい光を浴びることも、腎を養う秘訣です。また、散歩をする、階段を使う、ひと駅分を歩くなど、腎を支える足腰の筋力を鍛えることが、腎を鍛えることにつながるのだとか。
食事でとり入れる場合は、秋なら白菜、やまいも、しそ、みょうが、パクチー、白きくらげなどを取って肺に潤いを。冬にはくるみ、昆布、黒豆、栗、黒ごまなどで質のいい精を養い、腎を活かすのがおすすめです。
このほか、本書では「経絡」「関節」「ツボ」を刺激することで、体の外からアプローチする具体的な方法も紹介。季節に合わせた臓活で、体の巡りをよくしていきたいですね。
みんなの臓活 - 五臓をのぞき、活かす - (美人開花シリーズ)
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[みんなの臓活]image via shutterstock
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