閉経後女性の乳がん予防に「低脂肪食」が有効?

野菜や果物が豊富で栄養バランスに富む低脂肪食により、閉経後の女性の乳がんによる死亡リスクが低減することが、アメリカで行われたランダム化比較試験である、「女性健康イニシアチブ(WHI)」研究で示されました。

この研究では、食事の改善が閉経後の女性の健康に及ぼす影響について検討しています。米国40カ所の施設から参加した、乳がんの既往がない50~79歳の閉経後女性48,835人(80%が白人)を対象としたもので、1993~1998年の間に、女性を1日の総エネルギーに占める脂肪の比率が20%以下となるようにし、また野菜・果物・全粒穀物を1サービング(標準的な1回分の摂取量)以上摂るよう指導する低脂肪食グループ、または脂肪のエネルギー比率を32%以上とする一般的な食事を続けるグループにランダムに割り付けて比較検討を行いました。

低脂肪食グループの女性がこの食事療法を継続した期間は約8.5年間で、研究介入を行う期間が終了した後も、参加したすべての女性を中央値で19.6年間にわたり追跡調査しています。低脂肪食グループの女性のほとんどは脂肪のエネルギー比率の目標(20%以下)を達成できませんでしたが、多くは25%以下の比率を維持し、果物や野菜、全粒穀物の摂取量も増えていたそうです。

低脂肪食グループは乳がんによる死亡リスクが21%低い

その結果、低脂肪食グループでは、一般的な食事を続けた群に比べ、体重が約3%減少しました。しかし、研究グループは「両グループ間の体重差はわずかであり、体重減少は死亡リスクの低減には影響していない」と説明しています。

また、1993~2013年の追跡期間中に、3,374人の女性が乳がんと診断されました。解析の結果、低脂肪食グループでは、一般的な食事を続けたグループに比べて乳がんによる死亡リスクが21%低く、乳がんと診断された後の全ての原因による死亡リスクも15%低いことが分かりました。

肉や乳製品の摂取はほどほどにすべき!?

研究グループは、食事の個々の要素のどれが乳がんによる死亡リスクの低減に役立ったのか今後の研究で解明されることを期待するとしている一方で、「低脂肪食グループでは、総カロリーを削減し、調理法を工夫し、肉や乳製品の摂取を抑えていたことから、特定の食品・食品群を調べていくよりも、食事全体のバランスなどの方を重視すべきではないか」という見方を示しています。

専門家からは「たとえ脂肪のエネルギー比率を20%まで減らさなくても、果物や野菜の摂取量を増やし、脂肪を減らすように努めるだけで健康に有益なことが示されたのは重要だ」、「脂肪の摂取をそれほど厳しく制限しなくても、乳がんによる死亡リスクが低減することを示した今回の結果は、非常に興味深い」などの高い評価が寄せられています。

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HealthDay News 2019年5月15日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved. /(参考情報)Abstract/Full Text/image via shutterstock

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