膝は体の中で一番大きな関節であり、もっとも複雑なつくりをした関節のひとつ。それは、問題が起こりやすい関節であることも示しています。
膝の腫れを引き起こす問題の中には、慢性的なものからひどいケガまで多くの原因があります。医学的に浮腫(ふしゅ、むくみ)と呼ばれることがありますが、膝に腫れが起こると、歩いたりしゃがんだりという日常の動作が、痛みのために難しくなります。
腫れをひかせるには、まずその腫れの原因を突き止め、そして最善の治療法をみつけなければなりません。今回、医師が膝の腫れる元となる原因をまず4つ解説します。
1. ケガ
image via shutterstockワークアウト中にふらついて転んだり、コーヒーテーブルにガツンと打ちつけたりしてぶつけたところが腫れるのは、体の反応として、いたって普通。膝の腫れも例外ではありません。
実際、膝の腫れで最も多い原因はケガ。マウントサイナイ医療システムでスポーツ医学のチーフであるジェームス・グラッドストーン医師によると、健康的な若い世代によく見られるそう。
「ケガをすると、体の炎症反応が引き起こされます。そして、それが腫れの原因となるのです」とグラッドストーン医師。ケガをするとすぐにケガをしたところの血流が増し、ケガを癒すプロセスが発動し、必要とされる水分、タンパク質、白血球が届けられます。その結果、ケガをしたところが赤く腫れます。
よくある膝のケガは大きくわけて2種類。ひとつは前十字靱帯の断裂(太ももの骨と脛[すね]の骨をつなぐ膝の前面にある靭帯)、そしてもうひとつは半月板の損傷(太ももの骨と脛の骨の間でクッションの役割をもつ軟骨)です。
2. 関節炎
image via shutterstock「関節炎」は特に膝で起こりやすい病気です。関節炎は徐々に(歳を取るごとに)悪化し、膝の腫れやこわばりの原因となり、痛みが出て膝が動かしづらくなっていきます。
米国整形外科学会によると、膝では変形性関節症と関節リウマチの2種類の関節疾患が最もよく起こるとのこと。変形性関節症(最もよくある関節炎)は、骨の末端を保護する膝の関節の軟骨が徐々に摩耗していくもの。一方で、関節リウマチは、免疫システムによる関節への攻撃により、周辺の細胞や骨にダメージをあたえるものです。
3. 痛風
image via shutterstockメイヨークリニックによると、関節炎の一種である痛風は、もともと体内にある尿酸の値が高くなり、尿酸結晶が関節にたまることで、強い痛み、腫れ、発赤が引き起こされる病気。
痛風は足の親指の付け根でよく起こりますが、その他にも膝、手首、指など全身に症状は現れます。「Easy Orthopedics」創始者で最高責任者であるダン・ポール医師によると、痛風は体温が低く結晶ができやすい末端部分に出やすいとのこと。
「はじめて痛風になる人で膝に出ることはまずありませんが、痛風になって長い人は、末端以外の関節にも出ることがあります」とグラッドストーン医師は付け加えます。米国国立医学図書館によると、男性、肥満体型の人、両親のどちらかに痛風持ちがいる人などは、痛風を発症する可能性が高くなります。
4. 偽痛風
image via shutterstock「うその痛風」や、ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着症として知られる偽痛風(ぎつうふう)でも、膝が腫れることがあります。
痛風同様に、偽痛風は関節炎の一種です。しかし、痛風と異なり、偽痛風は主に手首と膝に症状が出ます。偽痛風は、関節軟骨と関節液にカルシウムの結晶がたまり、痛風のような突然の痛みや腫れを引き起こします。
クリーブランド・クリニックによると、偽痛風は60歳以上で多く見られます。変形関節炎、甲状腺異常、代謝異常、肝臓病の症状がある人に発症しやすいそうです。
次回の『Prevention』に続きます。
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