でも、生理中に出るレバー状の血の塊は、そのような血栓とは多少違ってきます。それは「凝固血液、角質、子宮内膜の表面の層(子宮壁)などさまざまな組織の細胞」が混ざり合ったもの、と医師で『Walk In GYN Care』(アポなし婦人科)の創始者であるアディーティ・グプタ医師は説明します。
また生理中の血の塊は、生理の一般的な症状ではあるものの、出血量が多い月経過多が疑われる場合もあり、それがより深刻な病気のサインである可能性があります。いったい全体、私たちの子宮の内部で何が起こっている? そこで今回、注意すべき血の塊について(と気にしなくてもよい症状について)婦人科医に聞いてみました。
生理中に血の塊が出るのは普通?
image via shutterstockほとんどの場合、血の塊は生理の症状のひとつでなんら問題なし。「生理はだいたい21日~45日の周期。月単位で多少変わることもあります」と説明するのは、マサチューセッツ総合病院産科・婦人科の臨床指導者であるキャリー・コールマン医師。
「一般的に出血が持続する日数は3~5日で、長くとも7日ほど。少量から始まりだんだんと増え、終わり頃にまた徐々に減っていく」
小さめの血の塊(生理が多い日に出る、大きさで言うと一円玉ほどの血の塊)は、特に珍しいものではありません。体の他の部分に、これといって何も異常がなければOK。生理の症状のひとつとして、ごく普通なもので、色も薄いものから濃いものまで様々あります。
では、気を付けるべき症状は?
image via shutterstock月経過多として知られる、出血が7日以上続くような症状は、より深刻な病気のサインである可能性も。血の塊と共に以下の症状でひとつでも当てはまるものがあれば、婦人科の診察へ。
□ 新しい血の塊がどんどん出てくる
□ 100円玉より大きいサイズの血の塊が出る
□ 出血が7~10日以上続く
□ 月経量が多く、ナプキンやタンポンをすぐに替えなければならない
□ 生理周期中に不正出血がある
□ ひどい腹痛がある
生理中の大きい血の塊の原因にはなにが?
image via shutterstockもし生理中に異様に大きな血の塊が出ていても、怖がらないこと。必ずしもなにか問題があるわけではありません。「普通」の基準は人によって異なるから。ただ、大きな血の塊が出て月経量が多いといったような特定の症状は、次の病気のサインの可能性が。
子宮筋腫:子宮壁にできる良性の腫瘍で、生殖年齢女性に多く発症するものです。必ずしも症状が出るわけではありません。ですが、月経量が増え、出血の期間も長くなり、下腹部痛や腰痛が起こります。 子宮内膜症:子宮内膜という組織が、子宮の外、特に骨盤内の臓器に増殖してしまう病気。ひどい生理痛、性交痛、月経量の増加、不妊が主な症状。 子宮腺筋症:本来子宮の内側にある子宮内膜組織が子宮筋のなかにできる病気。出血が長引く、月経量の増加、ひどい腹痛、骨盤痛などが主な症状です。 子宮ポリープ:子宮内膜の細胞が異常増殖してできるポリープで、生理不順や月経量の増加が主な症状。良性腫瘍の場合がほとんどですが、時にがん化する場合も。 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS):男性ホルモンがたくさん作られてしまうホルモン障害。卵巣に小さな卵胞ができることがあります。症状として生理不順、薄毛、にきび、肥満がみられます。 その他ホルモンバランスの乱れ:甲状腺機能低下や、閉経周辺期や、閉経期で生理周期が乱れ、血の塊が出ることがあります。 流産:「流産で血の塊が出る人もいます」とグプタ医師はいいます。この場合妊娠に気づく前に血の塊が出ることもあります。 がん:生理中の血の塊が子宮がんや子宮頸がんのサインであることもありますが、それはとてもまれ。血の塊が出てきて、めまいやけん怠感が突然生じたら、急いで医療機関へ。生理中の血の塊はどう防げるか
image via shutterstock「避妊のためのホルモン剤で生理周期を整える方法があります」とコールマン医師。しかし、避妊経口薬に抵抗感がある人や、妊娠を希望している人などは、生理が多い日にイブプロフェンを一日に3回服用すると出血量が抑えられ、腹痛も和らぐそう。
「バランスのとれた食事など健康的な生活スタイルを心がけることが、ホルモンのバランスを整え、過剰な出血を抑えます。しかし筋腫などの身体的な問題で出血している場合には、そのための治療が必要です」(グプタ医師)。
もし生理中の血の塊が、なにか他の深刻な病気のサインのようであれば、とにかく一番は産科・婦人科の医師に相談すること。医師は症状に合わせて対応してくれるはずです。
結論:経血をみれば様々な体の変化がわかります
image via shutterstockありがたいことに、最近ではアプリで生理周期や体の症状(腹痛、頭痛、月経量)を把握しやすくなっています。自分の体をよく理解し、心配事がある際に気軽に相談しやすい婦人科医をみつけておくとよいかもしれません。
※本記事は、2019年6月23日に、『Prevention』の医療監修ボードのメンバーで、産科学および婦人科学の准教授である、キャロライン・スウェンソン医師によって、医学的知見から監修されています。
生理時のトラブルはいろいろ
Kaitlyn Pirie/Are Period Blood Clots Normal? Here’s How to Tell, According to Gynecologists/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)
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