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「低用量ピル」ってどうなの? 産婦人科医が教えるメリットと注意点

2019/10/07 05:30 投稿

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毎月の生理やそれにともなう不調、妊娠、出産、更年期など、どの年代であっても女性にとって体と心の悩みはつきもの。だからこそ、「早くから自分の体と向き合うことは、とても大切です」と産婦人科医の松永雅美(まつながまさみ)先生は言います。

神戸の雅レディースクリニックの院長である松永先生が、女性ならではの体のしくみや女性ホルモンについて、正しい知識をまとめた著書『雅先生教えて! 女子が知りたい自分のカラダと向き合う本』(幻冬舎)を上梓。大きな病気やトラブルになる前に、知っておきたい女性の体の話とは?

雅先生教えて! 女子が知りたい自分のカラダと向き合う本

1,430円

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海外ではメジャー? 低用量ピルの使用

本書は医師によるエビデンスのある情報がコンパクトに一冊にまとまっていて、不調を感じたら参照できる、まさに女性の教科書。生理や排卵の仕組み、ホルモンバランスのことから、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮頸がんや乳がんといった女性特有の病気まで、基本的な知識を分かりやすくまとまっています。

なかでも「生理痛や生理前のストレス緩和に役立つのが、低用量ピルの活用です」と松永先生の言うとおり、女性が人生を楽しむための体調コントロール法のひとつとして、低用量ピルの活用がすすめられています。

ただ、欧州をはじめとする諸外国では、多くの女性が体調管理に服用しているものの、日本ではいまだ抵抗を感じる人が多いのが現状。“なんとなく怖い”というイメージを持っている人も少なくなく、それは「副作用が今よりも出やすかった、少し前の時代の低用量ピルを飲んだ人の印象が伝わっているからかもしれません」と松永先生。

低用量ピルのメリットは?

もちろん副作用はゼロではないけれど、生理に悩みがある女性や、妊娠や避妊を主体的に考えたい女性にとって、現在の低用量ピルは悪くない選択肢だそう。

そのメリットとして第一にあげられるのが、毎月の生理のつらい症状を和らげること。低用量ピルは子宮内膜を薄く保つ作用があるので、結果的に経血の量が少なくて済み、痛みや出血の多い「重い生理」が軽くなるのだそう。また、周期を整えたり、止まっていた生理を再開させたりすることも可能に。

プロゲステロンだけを周期的に内服する「ホルムストローム療法」や、周期に合わせて前半はエストロゲンだけ、後半はエストロゲン、プロゲステロンを内服する「カウフマン療法」などがあります。こうした治療を3~6周期行い、ホルモンバランスが整って自発的な生理が起こることを期待します。

『雅先生教えて! 女子が知りたい自分のカラダと向き合う本』112ページより引用

松永先生は、「低用量ピルを服用することで、生理の前に頭痛や腹痛、肩凝り、むくみ、便秘、肌荒れなどが起こる月経前症候群(PMS、PMDD)も和らぎます」とも言います。ホルモンバランスが整うことで体の不快症状だけでなく、イライラや気分の落ち込み、集中力の低下といった心の不快も改善できる可能性があるのは興味深いものです。

大切な日を快適に過ごす

これまでに、旅行や受験、スポーツの試合など、重なってほしくないタイミングに生理がきてしまった経験を持つ人も多いはず。低用量ピルを飲んでいる間は排卵を抑制するため、このような状況を回避し、生理の始まる時期をコントロールできるというメリットもあります。

いまや海外の女性アスリート達にとって、パフォーマンスへの影響を考慮し、低用量ピルを活用して大事な試合の前などに生理トラブルが重ならないようにするのは、当たり前のことなのだそう。

さらにうれしいのは、肌荒れが改善してみずみずしい美肌になるのを期待できること。

ニキビや肌荒れの原因となるのは、プロゲステロンの過剰分泌、またはストレスやPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)による男性ホルモン値の上昇です。

低用量ピルを内服すると、エストロゲン・プロゲステロンだけでなく男性ホルモンであるテストステロンなども影響を受け、改善するなどホルモンバランスを整え、肌トラブルの改善ができます。

『雅先生教えて! 女子が知りたい自分のカラダと向き合う本』114ページより引用

また、もともと経口避妊薬のため、「正しく飲めば90%と非常に高い避妊効果も得られます」と松永先生。排卵を抑制する、子宮内膜を薄くする、子宮頸管粘液を少なくするといった作用があるからだそう。

一方、妊娠を希望するときは服用をやめるだけでOK。服用中止後、1~3カ月以内に生理が回復して妊娠可能な状態に戻り、飲んでいなかった人と比べても妊娠率に違いはないのだとか。むしろ、子宮への負担が減って子宮内膜症の発症や憎悪が抑えられ、妊娠率を期待できることも。そう聞くと、さらに安心して服用できますね。

クリニックで正しく処方を受けよう

低用量ピルにはさまざまな種類があり、副作用のリスクもあるので、より安心して飲むためにも医師の診察をきちんと受けることが大切です。とくに飲みはじめは、吐き気や胃腸のむかつき、むくみなどマイナートラブルが起きることも。これらはピルの服用でホルモンバランスが変わるために起こり、多くの場合は体が慣れてくると治るのだそう

「1つの種類を3か月くらい飲んでみて“どうしても合わない”と感じるなら、別のタイプのピルに切り替えることもできますし、服用をやめて別の治療を検討することもできます」と松永先生。

一方、大きな副作用としては血栓症があげられます。血栓症とは血が濃くなり、血栓という血の塊ができて血管が詰まる病気のこと。脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす可能性があり、通常の血栓症のリスクを1とすると、低用量ピルを服用している人の血栓症のリスクは3倍と言われているそう。

少し怖いと思う人もいるかもしれないけれど、松永先生は「ピルの服用による血栓症で亡くなる人は、10万人あたり、わずか1人。若い健康な女性がピルの服用で、命に関わる状況に陥ることは非常にまれと思っていいでしょう」と言及。

また、クリニックでは内服前に問診で体質を確認することで、服用に問題がないかチェックしてくれます。副作用を心配しすぎるよりも定期的に検診を受け、医師と相談しながら“安心な飲み方”を心がければいいということですね。

本書の巻末には、さまざまなピルの写真や飲み方も詳しく紹介されているから、参考にしやすいはず。様々な方法を上手に取り入れつつ、自分の体としっかり向き合い、体調コントロールをしていきたいですね。

雅先生教えて! 女子が知りたい自分のカラダと向き合う本

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