「朝型」の女性は乳がんになりにくい?

早起きする習慣のある「朝型」の女性は、「夜型」の女性に比べて乳がんになるリスクがわずかに低いという研究結果が英国で報告されました。その一方で、一晩に7~8時間以上眠っている女性では、乳がんリスクが高まる可能性も示されたということです。

この研究は、英国バイオバンクとBCAC(乳がん協会コンソーシアム)の膨大な研究データを解析したもの。英国バイオバンクの約15万7,000人とBCACの約22万9,000人、合計約38万6,000人の女性を対象に、睡眠タイプ(朝型または夜型)・睡眠時間・不眠症の有無と、その後に乳がんを発症することとの関連を調べました。

早起きで「乳がんリスク」は低下する!?

その結果、自分が「朝型」だと回答した女性は乳がんリスクがわずかに低く、「夜型」の女性に比べて乳がんの罹患率が数%少ないことが分かりました。一方、睡眠時間が長いほど乳がんリスクが上がる可能性があることも示されました。

研究グループは「睡眠は健康に重要な影響を及ぼします。今回の研究結果から、いわゆる朝型の生活は乳がんリスクの低減につながるというエビデンスが得られました」としています。ただし、朝型や夜型といった睡眠習慣の違いが乳がんリスクに影響した理由についてはまだ分かっていません。

体内時計の乱れやメラトニン分泌も影響している?

睡眠の専門家によれば、考えられる理由の一つとして、体内時計(周期が約24時間の「概日リズム」)と体外時計とのずれが挙げられるとのことです。この概日リズムが乱れて睡眠を促すメラトニンと呼ばれるホルモンの分泌が抑制されると、身体の機能全体に影響が及ぶことが知られています。

メラトニンは強力な抗酸化物質であり、「メラトニンの分泌が減少すると炎症反応が引き起こされ、これが発がんにつながる可能性がある」とする、別の睡眠の専門家もいます。

では、夜更かしする習慣がある女性は「乳がんになるのでは」と心配すべきなのでしょうか? 米国の乳腺外科医は、今回の研究では最終的な結論は得られていないとし、「現段階では心配する必要はない」とみています。研究グループもこの見方には同意していますが、「早起きすれば乳がんリスクを低減できる可能性はあります」と主張しています。

今回の結果を受け、睡眠の専門家は「ブルーライトを浴びると脳が昼間と勘違いしてメラトニン分泌が減ってしまいます。よく眠るためには、就寝前の1時間はスマートフォンやタブレットを使用するのをやめ、できるだけブルーライトを見ないようにするべきです」と話しています。

一方、この論文が掲載された雑誌の編集委員は「乳がんリスクを下げるには、睡眠パターンよりも飲酒の習慣や肥満など、まずはすでに明らかになっているリスク因子に気を配るべき」と述べています。

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HealthDay News 2019年6月10日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.(参考情報)Abstract/Full Text/image via shutterstock

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