image via Shutterstock

まだまだ暑さに警戒したい季節は続きます。ギラギラの猛暑日が続いたり、台風やゲリラ豪雨でジメジメしたりと、引き続き不快度もMAX。

気象病や自律神経の不調に詳しい、せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司先生は、「湿度が高いと汗をかきにくいため、体内に熱がこもってしまい熱中症になりやすくなります。また、雨が多い夏は天候や気圧が目まぐるしく変わるので、自律神経のはたらきが乱れがち。そのせいで体温調整がうまくいかないことも、熱中症の発生を増やす可能性があります」と話します。

夏を乗りきるために、とりいれたい食習慣をご紹介します。

熱中症対策に、乳タンパク質と乳酸菌

image via Shutterstock

熱中症対策には、水分や塩分の補給、休息、気温や湿度の管理などが大切。さらに、気温や気圧、緊張や運動時など体内外の環境に対応して、体温や血圧、脈拍などをコントロールするはたらきがある自律神経も、重要なポイントです。

「自律神経は、腸と密接な関係にあります。腸の調子がよいと自律神経のはたらきが安定し、発汗や体温をうまくコントロールできるため、 熱中症になりにくいのです」(久手堅先生)

また、今話題のタンパク質も、熱中症への効果が期待できることがわかっています。

「ヨーグルトには、整腸作用のある乳酸菌や良質なタンパク質が含まれていることから、熱中症になりにくい体づくりに有効であると考えられます」(久手堅先生)

ヨーグルトを活用したい理由とは

image via Shutterstock

1. 乳タンパクには、水分を体内にとどめる作用がある

体内の水分が減ると汗を十分にかけなくなったり、皮膚の血流が減るせいで皮膚からの放熱が減ったりして、体内に熱がこもります。それを防ぐためには、体内に十分な水分を保持する必要があります

ヒトを対象にした試験で、気温が高いときに運動をした男性を2群に分けて、一方は糖やミネラルを含む飲料、もう一方は糖・ミネラルに加えて乳タンパクを含む飲料を摂取し、その後の尿量を調べたところ、後者の群のほうが尿量が少なく、体内に多くの水分を保持できたことがわかりました

2. 乳タンパクの成分が発汗をうながして、熱をこもりにくくする

信州大学の能勢博教授らの試験では、20〜24歳の被験者18名が5日間運動を行い、一日の運動後に糖質と乳タンパクを含む食品と、それらの成分を含まない食品を摂取。

その結果、前者の群では、汗のかきやすさ、皮膚血管の開きやすさ(血管が開くことで熱を放出)が3倍向上しました。

3. タンパク質とビタミンを一緒に摂ると、暑さに対応できる可能性が

image via Shutterstock

熱中症対策には、体を暑さに慣れさせて(暑熱順化)、適切に汗をかけるようにすることも重要です。 ヨーグルトに含まれる乳タンパクとビタミンB群を一緒に摂ると、暑さにうまく対応できるようになるという可能性を示す研究があります。

健康な女子学生18名にタンパク質とビタミンB群の少ない食事と、タンパク質とビタミンB群が多い食事を7日間ずつ摂ってもらい、それぞれの食事摂取期間前後にサウナに入ってもらい、深部体温や体表温度、皮膚の血流量、発汗量を調べました。

その結果、タンパク質とビタミンB群が多い食事を一緒に摂ると体表温度が上がりやすくなり、体から熱をうまく逃がせている可能性が示唆されました。また試験参加者は「タンパク質とビタミンBが多い食事を摂った後のほうが、暑い環境を快適に感じられた」と答えたそう。

4. 乳酸菌が腸の調子を整え、自律神経のはたらきや、水分や栄養の摂取を助ける

久手堅先生によると、夏バテや寒暖差疲労などでクリニックを訪れる患者さんには、下痢や便秘などをくり返したり、食が細くて十分に栄養かをとれない人が多いそう。

「このように腸が弱っていると自律神経のはたらきが乱れやすく熱中症になりやすいため、患者さんにはヨーグルトなどの発酵食品をとり、腸内環境を改善するようすすめています」(久手堅先生)

ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は、腸内にすむ善玉菌のエサになることで腸内環境を整えます。

「腸の状態がよくなれば自律神経のはたらきもよくなり、発汗や体温を適切にコントロールするのに役立つと考えられます。また、腸内環境がよいと、栄養をしっかり吸収できるようになるため、熱中症対策にもつながります。

ヨーグルトにはタンパク質のほか、ミネラルやビタミンB群も含まれているので、栄養補給にも役立ちますよ」(久手堅先生)

ヨーグルトを使ったひんやりスイーツ

夏に夏らしい、さわやかなヨーグルトの食べ方を知りたい! そんな人のために、管理栄養士の新生暁子さんに、おいしくて栄養のことも考えられたヨーグルトスイーツレシピをうかがいました。

1. すいかヨーグルトシャーベット

フルーツを混ぜて凍らせると、ヨーグルトが分離せずしゃりしゃり食感に。すいかにはスポーツドリンクと同様に、水分やミネラル、糖が含まれているので、ヨーグルトと合わせれば熱中症への効果がさらにアップします。

<作り方(4人分)>

冷凍可能なジッパー付き保存袋にプレーンヨーグルト400g、はちみつ大さじ5を入れて混ぜ、すいか200gを加える。めん棒などで袋を叩いてすいかを潰し、冷凍庫へ。凍ったら袋の上から砕いて器に盛る。

2. はちみつレモンのヨーグルトドリンク

ヨーグルトのビタミンB群やレモンのクエン酸には疲労回復効果があります。ヨーグルトの酸味にレモンの香りと酸味が加わることでさらに清涼感がアップ。レモンの代わりにお好みのフルーツを加えても、おいしくいただけます。

<作り方(2人分)>

ミキサーにプレーンヨーグルト100g、氷200g、はちみつ、レモン汁各大さじ2を入れて撹拌する。氷が砕けたらプレーンヨーグルト100gを加えて、さらに5秒間撹拌する。

3. お好きな具材で! ヨーグルトバーク

食べ応えがあるのに、アイスクリームより低カロリー。トッピング次第でさまざまな味が楽しめるのも魅力です。

<作り方(2人分)>

水分を切って重量が半分くらいになったヨーグルト適量に、はちみつやジャムを加え混ぜ、クッキングペーパーを敷いたバットに平らに伸ばす。お好みのフルーツやナッツ、グラノーラなどを散らし、冷凍庫で冷やし固める。

ヨーグルトって本当に優秀!

ヨーグルトで痩せる? 自分の腸内細菌に合ったヨーグルトの選び方

ダイエットにはタンパク質が必須! 不足を補う「ちょい足し食材」はヨーグルト

久手堅司(くでけん つかさ)先生
せたがや内科・神経内科クリニック院長 。気象病、自律神経失調症など多数の 外来を設置し、原因がわかりにくい 不調の診療にあたる。多くのテレビ 番組や雑誌、講演などで活躍。著書に『最高のパフォーマンスを引き出 す自律神経の整え方』がある。

RSS情報:https://www.mylohas.net/2019/08/194358yogurt.html