低すぎる!? アメリカの「子宮頸がん検診」受診率
アメリカ・ミネソタ州在住の女性を対象にした調査結果で、子宮頸がん検診の受診率が、これまでの調査結果に比べ“受け入れ難いほど”低かったことが明らかになりました。推奨されている子宮頸がん検診を受けた女性は、2016年には21~29歳で約半数、30~65歳では3分の2に満たなかったということです。検診を推奨通りに受けないと、子宮頸がん早期発見はむずかしい
アメリカでは、米国予防医療作業部会(USPSTF)や米国がん協会などの複数の専門団体が、子宮頸がん検診についてガイドラインを示しています。
2012年には、これらを統一した指針が示されており、21~29歳の女性は3年間隔の細胞診(パップテスト)、30~65歳の女性は、3年間隔の細胞診または5年間隔で細胞診とヒトパピローマウイルス(HPV)検査の同時併用が推奨されています。
推奨通りの検診を受ければ、前がん病変を早期に発見し、綿密な経過観察や治療を行うことができると研究リーダーは解説しています。
ところが、最近アメリカでは、検査を受ける女性の数は増えるどころか減少していたことが分かりました。
なお、米国がん協会の推定によれば、2018年には国内で13,240人の女性が浸潤性子宮頸がんと新たに診断されていました。
検診への意識の高さには人種差も
今回の研究では、2005~2016年にミネソタ州オルムステッド郡に在住する16歳以上の女性47,203人(2005年)~49,5104人(2016年)を対象に、子宮頸がん検診の受診率の推移を調査しました。
その結果、2016年時点の検診受診率は、21~29歳の女性では53.8%(3年間隔の検診が47.3%、5年間隔が6.5%)、30~65歳の女性では64.6%(同60.8%、3.9%)で、2015年の米国民健康聞き取り調査での21~65歳の3年間隔の受診率(81.1%)を大きく下回っていました。
この調査では、子宮頸がん検診の受診率には人種差が大きいことも明らかになりました。2016年時点の受診率は、白人女性に比べてアフリカ系米国人では約50%低く、アジア系の女性では約30%低いことが判明しました。「こうした人種差は、憂慮すべきもの」と研究リーダーは受け止めています。
こうした結果から、研究グループでは「女性に手を差し伸べ、命を守ることにつながる検査を受けてもらえるよう、子宮頸がん検診の受診率向上を目指した新たな方策を考えていく必要があります」と訴えています。
まずはクリニックで夜間や休日に検診を受けられるようにすることや、救急診療所での検診の提供、HPVの自宅検査キットの普及などを目指していくそうです。
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HealthDay News 2019年1月8日 / Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved. / (参考情報)Abstract/Full Text image via shutterstock
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