辛い頭痛との上手な付き合い方について、東京女子医科大学病院脳神経センター頭痛外来客員教授の清水俊彦先生に伺いました。
「痛い→痛み止めを飲む」をくり返し、我慢を重ねていくと……
最初は単なる「ただの頭痛」だったかもしれません。女性は、男性よりも痛みに強いため、我慢に我慢を重ねてしまいがちです。しかし、痛み止めを飲んでもなかなか治らず、病院を受診しても特に異常は見つかりません。
一安心と思っていると、また頭痛が襲い、痛み止めを飲んでその場しのぎを続けているうちに、頭痛以外のさまざまな症状が出始め、どんどん辛くなっていきます。
私のもとへ来られる患者さんの多くは、我慢に我慢を重ねた結果、脳が常に興奮状態にあり、その結果、脳が誤作動を起こして、耳鳴りやめまい、不眠、イライラ、不安といった、 頭痛以外の症状に悩む、脳過敏状態の方が多くいらっしゃいます。
片頭痛をもっている人の多くに子どものころから何かしらのサイン!?
片頭痛を持つ方の多くが、実は子どものころから何らかのサインが出ていることが多くあります。寝相が悪い、寝言が多い、乗り物酔いをする、歯ぎしりをする、周りの子どもに比べて落ち着きがない、朝が苦手で寝起きが悪い、几帳面だった、またアレルギーや小児喘息にかかったことがある人の中にも、頭痛持ちが隠れている可能性があります。
これまで頭痛は、 頭部CTスキャンやMRIなどに異常がなければ「命に関わる病気ではないから」と軽視されている傾向にありました。しかし、vol.1でもお話したように、頭痛を放っておくと、慢性的に脳が興奮している状態に陥り、頭痛以外のさまざまな症状も発症させてしまうこともあります。
頭痛に悩んでいる人に意識してもらいたいこと
現在、頭痛で悩んでいる人は、まず第一に頭痛が起きやすい生活習慣は避けることです。脳に過剰な刺激を与えないようにして、発作を未然に防ぐことが先決です。例えば、
痛みが起きそうな、月経前後や排卵日の前後は、遊ぶ予定を入れない 季節の変わり目や雨の日は無理をしない 目がチカチカする、異常な肩こりや生あくびなど、痛みの前兆や予兆症状が起きたらすぐに薬を服用するなどです。
それでも解決しない場合は、片頭痛の痛みを取るトリプタン系の薬や、脳の興奮を抑える抗てんかん薬などで、脳の興奮を抑える 予防的治療を行うことになります。これは根本から頭痛を改善させていくもので、およそ8割の患者さんに効果があることがわかってきています。
頭痛は不快で辛い症状はもちろんのこと、イライラしたり、融通がきかなくなるなど、性格まで変えてしまう嫌な症状です。
頭痛を甘く見て自己流に対処していると、より病状は深刻になります。がまんしたり放置したりせず、頭痛の原因を知って、生活習慣を見直すことから始めてみましょう!
清水俊彦先生
東京女子医科大学病院脳神経センター脳神経外科 頭痛外来 客員教授、獨協医科大学脳神経内科 臨床准教授(兼任)。日本脳神経外科学会認定医、日本頭痛学会監事や幹事を歴任、認定専門医。東京女子医科大学本院や同東医療センターの他に、汐留シティセントラルクリニック(東京都)、脳と心のクリニック(茨城県阿見町)、小山すぎの木クリニック(栃木県小山市)、獨協医科大学脳神経内科(栃木県)マミーズクリニック(東京都)、伊豆大島医療センターの頭痛外来を担当。学会活動をはじめテレビ、頭痛関連の著書も多数執筆。『頭痛女子のトリセツ』(マガジンハウス刊)『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)『マンガでわかる 頭痛・めまい・耳鳴りの治し方』(新紀元社刊)など。