まずは病院に行くことが大事ですが、病気というほどではない程度の頭痛の場合は、できるならば薬に頼らずにすむ、季節に合わせた養生の方法を知っておきたいものです。
『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方』の著者である櫻井大典(さくらい・だいすけ)氏は、北海道にある1948年創業のミドリ薬品漢方堂の三代目です。アメリカのカリフォルニア州立大学で心理学を学び、中国首都医科大学付属北京中医医院での研修を終えた経歴の持ち主。
現在は、3店舗ある薬店の統括をつとめる著者が、毎日呟いている健康にまつわるツイッターの内容が人気となり、本著の制作につながりました。
病院にいってもなかなか解決しにくい、数値に表れてこない不調。ときどき起こる頭痛も、そのうちのひとつでしょう。本著には、そんな不調への対策のヒントが、1日1項目のスタイルで365日分掲載されています。たとえば同じ頭痛の症状であっても、季節やタイミングによって養生の仕方も変わってくるようです。
ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方―体と心をいたわる365のコツ
1,404円
梅雨の頭痛は「冷たい食品」に注意する
梅雨時は、どうしてもジメジメと湿気がたまりがちに。雨が降る日は体がだるく、頭も重くなるような気がします。
むくみ、頭が重いなどの症状があり、内湿(体内で生まれた湿邪)がたまっている人は、外湿(大気の中の湿気)の影響を受けやすいといわれています。
『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方』183ページより引用
中医学では、多すぎる湿気は体に害をもたらす湿邪(しつじゃ)となり、健康を損ねるとされています。風・寒・暑・湿・燥・火といった自然界の気象変化が過剰な状態になったときに、湿気は害になる邪気となるのだといいます。この邪気は、口や鼻、毛穴などから入り込んで体のバランスを崩してしまい、さまざまな症状の要因になるのだそう。
湿邪には、大気中の湿気「外湿」と体内で生まれた「内湿」の2種類があるようです。内湿の原因として、飲食の不摂生が挙げられています。
飲みすぎ、摂りすぎが招く不調
氷の入った飲み物や冷たいビール、フルーツ、サラダ、アイスクリームなど、冷たいものの飲みすぎや摂りすぎには注意が必要。脾胃(消化器系)の機能が下がって、脾胃が担っている水分の吸収と運搬機能が低下し、処理しきれない水分がたまって、むくみや体の重さにつながるというのです。
そして、中医学では「内湿は外湿を呼ぶ」ともいわれていると著者はいいます。内湿がたまっている人は外湿の影響を受けやすいため、より体内に湿気をためない注意が必要であるといえるでしょう。
だとしたら、飲み物などは常温であればよいのでしょうか。実は、体温より低い温度のものは、体にとっては冷たいものです。梅雨時に頭が重いだるいと感じている人は、できるだけ温かい食品を取るように気をつける必要がありそうです。
夏の頭痛は「風に直接当たらない」
エアコンの風に直接当たっているうちに、頭が痛くなってしまうことがあります。冷えという意味でも注意が必要ですが、“風”という観点からも気をつけなくてはならないことがあるようです。
外的要因による偏頭痛とは、生活の不摂生によるものです。風がよく当たるところに座っていたり、寝てしまったりすることで気血の巡りが悪くなって起こります。
『ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方』11ページより引用
中医学では、偏頭痛(片頭痛とも)などの頭痛には、外的要因と内的要因とあるといいます。内的要因はストレス、過労、加齢などが原因ですが、外的要因は風に当たるなど生活の不摂生によるものです。たしかに、風が強い屋外に一日中いると、頭が痛くなってしまうといったことがあります。
会社や電車の中などで風が直接肌に当たらないようにする工夫として、夏場であっても外出時には1枚羽織るものを持って出かけることが大事なようです。特に、首筋から背中の部分は風の影響を受けやすいもの。暑い一日でも工夫をして、体が風の影響を受けないようにしたいものです。
夏頭痛を避ける食べ物は?
また、風を防御する体のバリア機能が落ちているときには、食品でカバーすることもできます。肉や魚類でいえば、鶏肉・牛肉・かつお・いわし・さば・うなぎなどが有効。野菜でいえば、山芋・じゃがいも・さつまいもなどのイモ類、ブロッコリー・キノコも良さそうです。
また、薬味として添えられていることが多い食品として、長ねぎ・しょうが・三つ葉・しそ・パクチーなどもおすすめだといいます。
口に直接入れる食べ物や飲み物に、少し気をつけて養生を。梅雨時や夏場に起こる頭痛対策を上手にしていきたいものです。
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[ミドリ薬品漢方堂のまいにち漢方]image via shutterstock