薄着の季節が来ると腕やお腹まわりが気になります。でも美味しいものは食べたい。食べる量を制限するのではなく、摂取した脂肪分などの排出量を少しでも多くする方法はないのでしょうか。

じつは簡単に手に入る食品にも、脂肪や糖の吸着、排泄に役立つ成分が含まれているのです。専門家も「これらは、脂肪吸着効果が見込める可能性が高い」と結論づけているそう。その魅力的な成分を、学術的根拠に基づいた美容法に詳しい田中亜希子先生にうかがいました。

紅茶には脂肪の乳化をブロックする成分が

余分に体内に入った脂肪は、胆汁によって乳化されます。次いで脂肪を分解する酵素のはたらきによって、脂肪酸とグリセリンに分解されます。これらが吸収されてエネルギーとなり、肥満の原因となるのです。

このとき紅茶を飲んでいると、紅茶に含まれるポリフェノールの一種「テアフラビン」が乳化を破壊します。すると、胆汁によって乳化された脂肪球は、脂肪分と胆汁に分離され、脂肪分解酵素が分泌しても脂肪分は分解されなくなるのです。そのため、脂肪分は腸管をそのまま素通りし、糞便として排泄されます。

ウーロン茶よりもダイエット効果が高い可能性が出てきた紅茶。さらに脳血流量をアップさせて集中力や生産性を上げることもわかっているため、これからますます紅茶派が増えそうですね。

活性炭を毒物排泄に用いることも

近年もっとも注目されている吸着系のダイエット効果が期待できるのが、チャコール(活性炭)。脂肪分を吸着し、体内での脂肪吸収量を軽減するといわれています。

活性炭とは、樹木などを1000℃の高温で熱し活性化させたもの。加熱することで細孔(さいこう)と呼ばれる小さな無数の穴があき、その穴に物質が吸収されるのです。その吸収力は医療分野でもお墨付き。なんと、毒物を過剰摂取した際の対処法として医療現場でも活性炭を用いられることがあると言います。

最近では、手軽に買えるチャコールパウダーを、食事や飲み物に混ぜたりする人も。また美味しく味付けされたチャコールダイエットの粉末サプリもあり、ハリウッドセレブの間でも人気です。

糖質吸収を抑え、腸内環境も整える大麦ごはん

ダイエット中でもお米やパンといった炭水化物は食べたいもの。とはいえ白米や精製された真っ白い小麦からできたパンなどは、食物繊維の量が少なく、食後の血糖値が上がりやすいと考えられています。この主食を「穀物繊維」と呼ばれる大麦・玄米などにすることで、カロリーカットだけではない効果が期待できます。

なかでもおすすめは大麦ごはん。同じ麦の仲間と比べても、大麦は水溶性食物繊維である「大麦β-グルカン」の含有量が圧倒的に高いと言われています。水溶性食物繊維は腸内を掃除し、腸内細菌のエサになり、腸内環境の整備にも役立つ優れもの。この食物繊維は糖の吸収をゆるやかにし、大麦を含んだ食事の“次の食事”の際にもはたらくそうです。

本当に身近な食品ばかりなのがうれしいですね。

脂肪や糖の吸収を抑え、排出させる食品を選ぶ。それだけでカロリー摂取を抑えることができるなら、もうこれからは食べることを我慢しなくてもよさそうです。

※出典:Jpn Pharmacoll Ther (薬理と治療) 2013; 41(8): 789-795

田中亜希子(たなか あきこ)先生
美容外科医。東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院産婦人科勤務、大手美容外科等を経て、2009 年にあきこクリニック開院。医療法人社団 英僚会理事長。テレビや雑誌をはじめ各メディアで美容のための医学アドバイス等も行う。

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