別れや不安で、傷つくのはいつも女性のほう。それには、科学的な理由がありました。
アメリカ心理学協会の年間レポートでは、女性は男性より高レベルの緊張状態にあり、ストレスに関係する身体症状と感情的症状により悩まされていると繰り返し報告されています。頭痛、胃のむかつき、疲労感、気持ちのいらだち、気分の落ち込みといった状態です。
ストレスは糖尿病リスクを高めることも
さらに、ウィスコンシン大学マディソン校の加齢研究所で進められている研究報告によると、中年期の女性は、男性や他の年代の女性以上にストレスのかかる出来事をよく経験していることがわかりました。
過度なストレスがかかった状態にいると、慢性疾患にさえつながる可能性があります。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の最近の研究によると、自宅や職場での長期間のプレッシャーに加えトラウマ的な出来事で受けたストレスは、高齢女性の2型糖尿病のリスクをほぼ倍増させることもわかったのです。うつや不安障害のようなストレスを引き起こすメンタルヘルスの問題に陥りやすいのも、女性なのです。
なぜ女性はメンタルを病みやすいのか?
image via shutterstock前回は、メイヨー・クリニック医学教授で同クリニックの回復プログラムの創設者、アミット・スード医師に、脳とストレスの関係について説明してもらいました。スード医師は、女性は下記の理由から、緊張やプレッシャーの影響を受けやすいと言います。
女性の脳はストレス因子に敏感
第一に女性の脳は、ストレス因子や気持ちをコントロールできていない状態を男性よりも敏感に感じ取るのです。感情や記憶をコントロールする大脳辺縁系のエリアが、女性においては非常に活発であるために、感情が傷つけられる事や軽蔑された事を記憶しやすくなっているのです。
これらに気を取られていたり、いつまでも忘れられないでいたりすることで、否定的感情の脳回路が強化されてしまうのです(これはネガティブバイアスの別の働きの例です)。こうして女性のストレスはさらに強まります。
集中できない要素が多い
加えて、子育てや家族の健康に気を配るといったことも求められ、なおさら女性の集中力は散漫になりがちなのです。そして先ほど説明したように集中できないから、またそれが原因になってストレスが増してしまう。「子育て中の女性のアンテナは常に子どもを守ることに向き、脅威に対してより早く反応します。女性は男性よりも行き詰まりやすく、思い悩みがちなのです」とスード医師。
すれ違うのは、“わからない”から
image via shutterstockこの男女間における緊張の感じ方の違いは、“すれ違い”につながる場合もあります。
もしあなたが女性なら、上司と意見が食い違った時を考えてみてください。上司があなたをどう見たか、上司が何と言ったか、あなたがどう感じたかの話を、帰宅してあなたのパートナーにぶつけても、おそらく彼はどんよりした目になるはず。
「この話はそこまで。明日、その上司と話しあったらどう?」などと言われて、あなたはショックで、腹立たしく、見捨てられた気分になるでしょう。その後は、エスカレートして口論になるか、あるいは引き下がるかしかありません。
ストレスの処理方法は男女で異なる
新しい研究では、男女がどのようにストレスを処理するかを調べ、“すれ違い”の理由を提示しています。
fMRI(血流の変化を観察できる機能的MRI)を使用して脳の活動を調べているエール大学医学部の研究者たちによると、個人的で強いストレスのある出来事をイメージすると、男性の脳は、行動や計画に関連した部分が活発に活動しました。一方、女性の脳は映像化するような働きが活発になり、認知的かつ感情的に経験を処理していたのです。
女性は不安を何度もイメージする
image via shutterstockこの研究の第2部によると、男性と女性がともに強い不安を覚えても、女性の脳で活動的だった領域は男性では活動的ではないこともわかりました。エール大学学際ストレスセンターのラジータ・シンハ博士によると、女性はストレスを処理する中で頭の中で何度も繰り返し、再イメージするため、それにとらわれてしまうことが多いそう。
「女性は心配事について話し、自分の感情やストレスの元について説明して対処しようとします」(シンハさん)。これには問題を何度も考えてしまうリスクがあります。
男性は悩まずに、次の行動を考える
男性は、自分の脳の認知処理部分にアクセスしていないようで、「すぐに何かに取り掛かり、行動を起こすことを考える傾向があります。悩みについて言葉で説明するのとは反対です。それは生まれもっての違いとなります」
悩んでいる人へのアプローチも違う
image via shutterstockまた、ストレスに悩む誰かに対して、女性は感情的な面から支援しようとする傾向があるのに対して、男性は金銭や行動などの実体の伴った支援やアドバイスを行おうとする傾向があるのはこのためです。
「皮肉にも、男女ともに張りつめているときに求めているのは、感情的な支援なのです」と、ウェイクフォレスト大学のコミュニケーション准教授、ジェニファー・プリームさんは解説します。そのため、ストレスにさらされる人は男女ともに女性からのサポートを好むのです。
明日の『Prevention』に続きます。
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Jenny L. Cook/How Stress Hits Women’s Brain’s Harder—and Why Men Don’t Always Get It/STELLA MEDIX Ltd.(翻訳)
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