「胃が弱っているときは、消化によいものを食べましょう」という言葉をよく耳にします。正確にいうと、胃はもともと消化作業をあまり行っていません。脂肪と炭水化物の消化はほぼゼロで、タンパク質を途中まで分解する程度です。
胃の主な任務は、消化の下準備。胃液を分泌しながら、ぜん動運動によって食べ物を攪拌(かくはん)し、どろどろにしています。つまり胃の負担にならないものとは、攪拌が楽で胃からスムーズに出ていくもの、ということになります。
攪拌に時間がかかるのは、脂肪と食物繊維を含む食品なので、脂肪の多い肉や魚、食物繊維の多いキノコや野菜は控えましょう。野菜を食べるなら、繊維を断つ方向でカットして細かく刻み、よく噛めば、胃の負担を減らすことができます。
ひところは「胃が荒れているときは牛乳を飲むと、粘膜に膜を張り、胃の回復を助ける」と考えられていました。しかし研究によると、牛乳で胃の症状が早くおさまることはなく、むしろ牛乳に含まれる脂肪が胃酸の分泌を促すようです。牛乳は控えるか、低脂肪・無脂肪のものにするのが無難です。
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