過敏性腸症候群(IBS)をはじめとする腸の疾患には、腸内環境の乱れが大きく関わっていると考えられています。
それならいっそ健康な人の腸内細菌を丸ごと移植して、腸内細菌を一気に正常な状態に戻したらどうだろう、という考え方があります。「腸内細菌叢移植」――つまり、他人の便を移植するのです。
といっても、そのまま入れるわけではもちろんありません。健康な人の便を水に溶かし、フィルターでろ過したものを、内視鏡を使って大腸または小腸に注入します。
IBSでは、移植から1年以内に70%の患者でお腹の症状が改善したという報告があるそう。ただし移植の効果がいつまで続くかはわかっておらず、本当に有効かどうか判断するには、まだ研究が必要です。
ちなみに日本で便を提供できるのは、通常は二親等以内の家族と、夫または妻など限られた人たちのみ。アメリカやオーストラリアでは、健康な人の便を買い取る仕組みがあるようです。
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