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突然ものすごい暑さを感じる「ホットフラッシュ」は、さまざまな原因で起こります。

何か用事をしたり、仕事のことを考えたりしているとします。すると、急に「暑い!」と感じ始めるのです。それはまるで、手を温めるジェルを皮膚に注射したかのよう。

ホットフラッシュとは、このように突然感じる強烈な暑さの感覚のことで、通常は顔や首、胸などに起こります。

ホットフラッシュは、本当に迷惑。起こっているときには心臓の動悸や肌のほてり、おさまったかと思ったら汗だくになったシャツと寒気を残していくのです。

「通常ホットフラッシュは更年期や閉経前後に起こりますが、女性でも男性でも、そして何歳でも起こりえます。ホットフラッシュはどんなときでも起こり、その理由はさまざまなのです」と、非営利団体である『ヘルシーウーマン』のCEOで、管理栄養士、女性健康専門家でもあるベス・バタグリーノさんは説明します。

心配は無用、頻繁に起こるなら記録を

「ホットフラッシュの原因を見ていく前に、一度ホットフラッシュを経験したからといって、何か恐ろしいことが起きているのではないと指摘しておきます。なぜホットフラッシュを経験する人としない人がいるのかは明らかになっていませんが、多くの場合、ホットフラッシュは無害、または一時的な症状です」(栄養学、運動、医療を通じて病気の予防に取り組んでいる『ソーウエルヘルス』の創設者である、医師のアレクサンドラ・ソワさん)。

もしホットフラッシュがよく起きると感じるなら、ソワさんをはじめ多くの医師が、「症状が起きたときに、スマホやメモ帳にサッと記録する」という方法をすすめています。

「何日の何時にホットフラッシュが起こったか、始まる前には何をしていたかを書きとめるのです」(ソワさん)。

「そうした日記をつけることで、ホットフラッシュの発生とその引き金となる事柄をつなぎ合わせて、原因を見つけられます。この情報は、医師にとってもホットフラッシュの原因の分析に有効です」とクリーブランド・クリニックで婦人科医をしているリン・シンプソンさんは解説します。

ホットフラッシュが起こる原因はたくさんあると言われています。そのもっとも多い原因を説明します。

1. 更年期

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更年期がホットフラッシュの最もよくある原因ということは、広く知られています。更年期になると、卵巣は排卵することをやめ、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が下がります

このようなホルモンバランスの変化が、身体の体温調節の能力に影響を及ぼす可能性があるのです。

2. 乳がんの治療

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アメリカ国立がん研究所の報告によると、ホットフラッシュや寝汗は、乳がんの治療の副作用である可能性があります。

放射線治療や化学治療は、しばしば若い女性の早発閉経の原因となりますし、高齢の女性は化学治療の結果として更年期に入る可能性があります。

3. 処方薬

「ホットフラッシュは、多くの一般的な処方薬で起きる副作用のひとつです」(シンプソンさん)。ホットフラッシュの引き金となりがちな薬として、シンプソンさんはオピオイド、抗うつ薬、骨粗しょう症の治療薬を挙げています。

むくみの治療に使われるステロイドの中にも、ホットフラッシュの引き金になるものがあります。

ひとつ、もしくは両方の睾丸を除去する手術を受けた男性も、ホットフラッシュを経験する可能性があります。

バタグリーノさんは、新しい薬を始めたらすぐに症状に気をつけるようにします。「もし、薬を飲み始めたのと同時にホットフラッシュが起こったら、おそらく薬が原因だと分かるでしょう」(バタグリーノさん)。

4. 太りすぎ

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「おそらくこれまでにも、体脂肪は代謝に影響を及ぼすと聞いたことがあるはず。このことから肥満といくつかのがんとの関係についても説明できるのです。太りすぎは代謝に悪い影響を与えるので、ホットフラッシュの原因にもなります」と、バタグリーノさん。

5. 食物アレルギーや食物過敏

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とても辛い物を食べると、誰もがホットフラッシュに似た経験をします」と、シンプソンさん。

「でも、もし認識していない食物アレルギーや食物不耐性があったら、食事に含まれる何かが原因になっている可能性があります」(バタグリーノさん)。

6. 不安

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「『ストレス』と『不安』は同じような意味と思うかもしれませんが、メンタルヘルスの専門家は『不安』という言葉を、ストレスや恐れ、心配などの感情によって身体に起きる作用を表すために使います。

激しい心臓の鼓動と、神経質になってソワソワすることは、不安にともなう典型的な症状です。そして不安を感じることが、また不快な症状を引き起こす可能性があります」と、バタグリーノさん。

7. 健康上の問題

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「ホルモンや内分泌システムに関連する健康上の問題も、更年期障害のような症状を起こす可能性があります。とくに甲状腺の問題、なかでも甲状腺機能亢進はホットフラッシュを説明できます」と、バタグリーノさん。

感染症やウイルスもまたホットフラッシュの原因になる、とソワさんは説明しています。

「もし甲状腺が問題なら、ホットフラッシュ以外にもほかの症状を経験するでしょう。激しい心臓の鼓動、説明のつかない体重減少、頻尿、一日の中の特定の時間に極端な疲労を感じることは、すべて甲状腺機能亢進に関連する症状です。感染症を含むほかの問題からくる場合は、ホットフラッシュに加えて下痢や腸の不快感を伴います」と、ソワさん。

8. 暑い寝室

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「体温は夜の間に自然に変動します」と、シンプソンさん。だから、女性にとっても男性にとっても夜中に暑さを感じたり、寝汗をかいたりして起きることはよくあります。

対処法は、次回の『Prevention』記事で。

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更年期の不調改善、はじめの一歩! 「ホルモン補充療法」の基礎知識

Krissy Brady/Common Causes of Hot Flashes—and How to Treat Them
訳/STELLA MEDIX Ltd.

RSS情報:https://www.mylohas.net/2019/05/189802pvn_hotflashes.html