日本にいる時は、ちょっと風邪っぽいかなと思ったり、肩や腰を痛めて体の調子が悪くなったりした時は生姜や葛、レンコンなどの食材を取り入れてみたり、整骨院で診てもらったり、薬局に行けば漢方薬が並んでいたりして、自分で体の様子を伺うことが自然としやすいのですが、アメリカにいるとなかなかそういう訳にもいかず、不便に感じることが増えました。
薬食同源、医食同源、という言葉を耳にすることがありますが、薬膳は、中国の伝統医学に基づいて食材や中薬を組み合わせた食養生のこと。
アーユルヴェーダやマクロビオティックもそうですが、日々の環境や生活の積み重ねが心身の健康に反映するという事を、最近改めてしみじみと感じます。
薬膳というと、韓国料理のサムゲタンのように生薬の原料として使われる朝鮮人参やナツメ、松の実などの印象がある人も多いのではないかなと思うのですが、実際は、”全ての食べ物に効能がある”という考え方で、身近にある普通の食材や調味料を使うので、日々の生活に取り入れやすいのです。
本格的に薬膳を学ぶと「陰陽五行」など色々と難しそうな言葉も出てきますが、どの食材を選んだらよいかと迷った時は、5色の食材の色を意識するだけでも十分参考になります。
例えば、”黒”は生命力を高め、老化を防ぎ、”青”は精神の昂りを抑えて伸びやかに、”白”は身体を潤し、”赤”は血液の循環を促す、”黄”は胃腸を整え気力を補うなど。
また薬膳には「冬病夏治」という考え方があって、それは冬に罹りやすい病気を夏のうちに対策をしておくというものなのですが、おお、これは確かによさそうだと思いました。
例えば、冬は気管支炎などを起こしやすいので、夏のうちに肺の調子を整える食材などを取り入れます。秋になると、風邪でもないのに空咳が出たり、気管のあたりが痒いと感じることが増えるのは、夏の余熱の残りと空気の乾燥だと考えられています。
漢方では、秋になると肺が弱りやすく、その結果、気分も塞ぎがちになるとと伝えられてきました。憂鬱は肺の調子と関係しているようです。
春の養生法は、冬の間に溜め込んだ不要なものを排出することが大切で、”苦味”のあるものをとるのがよいと言われています。
解毒作用を持つ”肝”の働きを高めるのにいい食材は、旬を迎えるタウリンが豊富な貝類や、木の芽やウドなどの香りのいい山菜、カロテンの多い菜の花やニンジンなどもいいようです。
旬のものは身体によい、という考え方はやはりアーユルヴェーダやマクロビオティックにも通じますね。
そんな風にして、まだまだ薬膳は勉強中なのですが、毎日の食事に取り入れていきたいと思っています。
写真は、韓国のソウルを旅したときに頂いたかわいらしい薬膳料理の一品と、NYのチャイナタウンにある薬膳のお店の火鍋です。
次回、また機会がある時は、我が家の薬膳料理レシピなども紹介できたらいいなと思っています!