冬に猛威をふるうインフルエンザ

インフルエンザとは何か、どのように伝染するのか、そして予防接種は効くのか……世の中には、インフルエンザに関する多くの誤解や間違った情報が多いようです。

でも何よりも知っていただきたいのは、インフルエンザから身を守るために、「これだけやっておけば大丈夫」という方法はないということ。ただし、健康を保つためにできることはいくつかあります。

手を清潔に保っておくことは、感染の拡大を防ぐためには最も重要。手洗いは、病原体の拡大を止める“自分でできるワクチン”です」と、ミズーリ州の小児科病院で感染症部長をつとめる医師のメアリー・アン・ジャクソンさんは説明します。もちろん、家族全員がインフルエンザのワクチンを打つことも勧めています。

インフルエンザのよくある迷信を払拭して、共通の認識を正すために、医療の専門家に聞きました。トップ医師たちが指摘するインフルエンザの迷信とは

1. 冬に病気になったら、インフルエンザである可能性が高い

冬になると、インフルエンザにかかったのかな? と思うことがあります。「しかし、多くの人が実際にかかっているのは、一般的な風邪か副鼻腔炎なのです」と言うのは、耳鼻科医のホリン・キャロウェイさん。

一般的な風邪の症状には、のどの痛み、鼻づまり、咳、そして副鼻腔から鼻水が流れる感覚があります。

「これはインフルエンザのように感じるかもしれませんが、高熱(約38.6度以上)、身体の痛み、強い疲労感、時には吐き気や嘔吐、そして、ひどい喉の痛みがなければ、実際にはインフルエンザにかかっていません。本当にインフルエンザなら、まずベッドから起きられないでしょう」(キャロウェイさん)

2. 自分は健康なので予防接種はいらない

健康でインフルエンザにかかったことがないので、予防接種の必要はないという人がよくいます。しかし専門家によると、これは間違っているのです。

「あなたがたまたま病気にならないタイプなら、それはすばらしいこと。しかしインフルエンザのリスクがないという意味にはなりません。『私は事故を起こしたことがないので自動車保険は必要ありません』というようなものです」と、アメリカ内科学会フェローで個人開業医のマシュー・ミンツさんは表現します。

予防接種とは、インフルエンザを予防するために入るべき“保険”のようなもの。かかったとしても症状をやわらげてくれ、入院や死亡のリスクを劇的に下げてくれます。また、あなたが予防接種をすれば、身の回りの人を守ることもできます。

「あなたの体調がよく、だいたい健康だからといって、インフルエンザウイルスを運んだり、広げたりしないわけではありません」と説明するのは、ニュージャージー州の医師、エルジー・コーさん。

健康そうにみえても、ウイルスの感染を広げてしまうことがあるのです。つまり赤ちゃんやお年寄りのような免疫力の弱い人々を危険にさらすことになります。

3. 感染の経験があるので、予防接種は必要ない

水ぼうそうのように一度しか感染しないウイルス感染症もありますが、インフルエンザにはあてはまりません。

「以前インフルエンザにかかったことがあるからといって、継続的にインフルエンザに対する免疫が続くわけではありません。感染の経験の有無にかかわらず、最良の予防策は予防接種を受けることです」と、予防医学医師、健康専門家のセドリナ・L・カルダーさんは強調しています。

同様に、以前インフルエンザの予防接種を受けたからといって、今年のウイルスから守られることはありません。「インフルエンザウイルス株は常に変異しています。各シーズンのワクチンは、その年に主流になると予想されるウイルス株から身を守ってくれるのです」と、ニューヨークの医師で健康専門家のネソチ・オケケ・ログボクウェさんが解説します。

4. ワクチンでインフルエンザに感染する

予防接種でインフルエンザにかかってしまうのでは、と不安がる人がいたとしたら、それは違います。

「ほとんどのインフルエンザワクチンは、もう生きていないインフルエンザウイルスから作られているので、感染することはありません。鼻腔内に噴霧するタイプのワクチンも、弱毒化された生きたウイルスから作られており、インフルエンザの原因になりません」(カルダーさん)

また、カルダーさんによると、接種を受けた後にインフルエンザのような症状になる人もいるそうです。接種は、風邪のような症状を含む軽度の副作用を引き起こすこともあります

しかし、これはインフルエンザではありません。接種を受ける前にウイルスに感染していたのかもしれませんが、ワクチンを接種してから免疫が成立するのは約2週間後ですから、症状は遅くまで現れることはありません。


5. 予防接種を受けたので、インフルエンザに感染しない

予防接種さえ受ければインフルエンザにかからないという逆の見方もありますが、不幸なことにこれも間違い。インフルエンザワクチンには100%の効果があるわけではないので(毎年のインフルエンザ株に最も効果的と予想されるものですが)、接種したにもかかわらずかかる可能性は常にあります。

「しかし、接種した後にかかった場合は、しなかった場合よりも症状が軽く、期間が短くなりやすいのです」とカルダーさんは説明します。

感染予防を心がける

肌の老化や風邪予防にも期待!?「唾液力」を高める5つの秘訣

風邪をうつされない方法を医学博士が伝授。マスクで感染は防げる?

Katherine Martinelli/10 Flu Myths Your Doctor Wishes You Would Stop Believing
訳/STELLA MEDIX Ltd.

RSS情報:https://www.mylohas.net/2019/02/186108pvn_flu.html