あなたに足りないのは能力よりもテクニック。
第10回目のお手本は、日本史上ワースト1とも言われる悪女、日野冨子。戦乱の時代に草食系の旦那に嫁いでしまった彼女の貯蓄アンテナを見てみましょう。


うらやましいセレブ婚のはずが......

日野富子は将軍家と関係の深い公家のお姫さまとして生まれ、将軍足利義政と結婚しました。一見、うらやましいセレブ婚ですが、義政は権力や政治に興味のない草食系。早く将軍職を退きたいと、30歳という若さで弟に将軍職を譲る約束をしてしまいます。

「戦乱の時代に頼りない旦那と結婚してしまった」「将軍だったのにいきなり引退」というのを現代に置き換えると、「経済状況が不安定な時代に先を考えない人と結婚してしまった」「一流会社だったのに、いきなり退職すると言い出す」といったところでしょうか。


日本一壮大な夫婦ゲンカ

富子は女の意地で見事男児を出産し、日野家の血を継ぐ子を将軍にしようと画策します。息子を将軍にしようとした富子と、弟を将軍にしようとした義正が大名達を巻き込んで勃発したのが、かの有名な「応仁の乱」です。

人々を苦しめ、10年以上も続いた応仁の乱は、言ってみれば肉食系の富子と草食系の義政の夫婦喧嘩がモトだったのです。


逆境に負けない貯蓄アンテナ

別宅に引きこもっている義正とは対象に、富子はお金儲けができるところを探しました。自分が原因を作った戦いのさなか、ちゃっかり高利で軍事資金の貸付を行い、莫大な利益を得たのは有名な話です。

味方だけではなく敵の大名にも軍事資金を貸した富子の行動は、応仁の乱を長引かせました。非難されても貯蓄アンテナをピカピカに磨き続けた富子は、高利貸し、米相場、関所の通行料の着服、昇進のための賄賂を溜めこむといった方法で財を成します。財力をバックに、見事息子を将軍に据えると、実質的な幕府の指導者になった富子の元には贈り物を届ける人が殺到したそうです彼女の遺産は現代のお金に換算すると70億にものぼるとか。


諦めない強さと自助努力

「先行き不透明な経済状況が不安」そんな現代女性に必要なのは、諦めない強さと自助努力。時代が悪いと思わず、自分で貯蓄のチャンスを見つけましょう。保険の見直し、ランチをお弁当に、光熱費の節約などなど、改善できる点はあるでしょうし、スキルを身につけ、キャリアアップを図るという手もあります。

富子のように、どうしても実現したい目標があれば、女性はもっとがんばれると思うのです。

text by 藤田尚弓(会社役員/悪女学研究家)

港区でWEBの会社を経営する傍ら、交渉・コミュニケーションの講師として、一部上場企業や大学などにも登壇。ライフワークとして歴史上の悪女の研究を行なっており、テレビ出演やコラム連載なども行なっている。著書に「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)「悪女の仕事術」(ダイヤモンド社)「悪女の恋愛メソッド」(大和出版)などがある。株式会社アップウェブ代表取締役・悪女学研究所所長・早稲田大学オープンカレッジ講師・日本社会心理学会会員
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