モード界のアップサイクリング例
View this post on InstagramMARINE SERRE - FUTUREWEARさん(@marineserre_official)がシェアした投稿 - 2018年11月月21日午前9時29分PST
ル・モンド紙によれば、2017年LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)賞を受けたMarine Serre(マリーヌ・セール)のコレクションは、半数近くがヴィンテージの布や端切れを利用した作品です。
View this post on InstagramRVDKさん(@ronaldvanderkemp)がシェアした投稿 - 2018年12月月11日午前10時34分PST
また、ギ・ラロッシュ、セリーヌなどのハイブランドで腕を磨いたRonald van der Kemp(ロナルド・ファン・デ・ケンプ)などは、2014年に自身のブランドを立ち上げてからは、アップサイクリングものしか生産していません。同氏は、その理由のひとつにアップサイクリングという手法が、クリエイターの創造力を刺激することを挙げています。
「アップサイクリングの場合、限られた材料で何かを作り出さないといけない。その制約がクリエイティビティに栄養を与えるんだ」(ロナルド・ファン・デ・ケンプ談)
(Le Monde より翻訳引用)
また、アップサイクリングの製品は、材料が限られているため大量生産には向かず、圧倒的に一点ものが多いのが特徴です。両デザイナーは、それこそが今の時代においてはなによりの贅沢であると考えています。
「稀少であることは、贅沢の神髄でしょう」(ロナルド・ファン・デ・ケンプ談)
「現代では、ひとつの作品に手間暇かけて、唯一無二のものを作るのが何よりの贅沢です」(マリーヌ・セール談)
(Le Monde より翻訳引用)
古い金具やボタンをアクセサリに変えるAtelier PARU
アップサイクリング意識は、日本でもさまざまな分野で生まれています。
ヴィンテージビーズやボタンをAtelier PARUのアクセサリ ©Atelier PARU例えば、「少女の頃のときめきを忘れない洗練された大人向け」をコンセプトにするAtelier PARU(アトリエ・パル)のアクセサリ。天然石や貴金属以外に、ヨーロッパの蚤の市で仕入れたアンティークボタンやビーズ、バックル、はたまた時計の針や櫛をも使い、ファンシーなのにシックという独特の味を出しています。
バックルを使ったネックレス ©Atelier PARU代表の藤岡晴子さんに聞くと、アクセサリのリメイクにも積極的に取り組んでいるそうです。最近では、おばあさんの遺品のロングパールネックレスを、孫娘たち向けに、ピアスやペンダントヘッド、ブレスレット十数点に作り変え喜ばれました。真珠そのものの価値に、精神的な家族のつながり、加えてデザイン性をプラスしたアップサイクリングの一例といえるでしょう。
着物地から日傘アートを生むあきざくら
2017年夏生まれたばかりのあきざくらでは、着物地を利用して日傘を作っています。
あきざくら代表の山村沙世子さん、撮影:Yann Kalimix nsp 上の写真で山村さんが差している傘になった元の着物先ごろ東京都女性ベンチャー成長促進事業APT Womenプログラムにも選ばれたこのプロジェクトを、代表の山村沙世子さんは「アップサイクルによるおもてなしアート」と考えています。
柄と布目を考慮して木型で布を裁断する傘職人着物地は、それだけでもうすでに芸術的価値を持つもの。それを、更に、色柄の見せ方や、持ち手の木材との組み合わせなど、細部までこだわって形にした日傘。開いて差すことで、手にする本人だけでなく周りの人にも「ハレ」の気分をもたらすというのが「おもてなしアート」と呼ぶ理由です。
着物と日傘の例私も手に取らせてもらいましたが、開くとその場が一気に華やかになり、まるで、満開の桜の木の下に立つような気分になりました。
元の素材の価値を更にアップさせて新しいものを生み出すアップサイクリング。さまざまな分野に応用できる素敵な概念に思えます。
ファッションはリユース&シェアリング
[Le Monde,Marine Serre,Ronald van der Kemp,Atelier PARU,あきざくら]
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