「でも、性格はそれほど単純なものではない、というのが研究者の一致した意見。極端に内向的な人でもときには外向的に振る舞うことはありますし、その逆もあります」と話すのは、ノースウエスタン大学で性格の研究を行っている心理学教授の博士、ダニエル・K・ムロチェクさん。「私たちは皆、長い目で見れば、あらゆる種類の行動パターンをとるのです」。
ですが、本当のところほとんどの人は、私たちが思っている以上に、性格的には“真ん中”にあるそう。極端に内向的な人もいますし、逆に信じられないほど外向的な人もいますが、「ほとんどは、外向的でも、内向的でもない、真ん中の人なのです」と、クレアモント・マッケナ大学の教授で組織心理学者のロナルド・E・リッジオさん。
“外向的な内向型”とか“内向的な外向型”という言い方もあるのですが、リッジオさんによると、外向型と内向型の両方の特徴を持っている人について、 心理学者によっては“両向型”と言うそう。では、両向型とはどんな人で、どうしたら自分がそうだとわかるのでしょう? 専門家が説明します。
そもそも“両向型”とは?
image via shutterstock「外向性と内向性の両方の性格をもつ傾向があるのが、両向型」とリッジオさん。
一般的に外向型の人は、活気があってハイテンション、話し好きで人との交流を好み、社交的で、人と一緒にいることでエネルギーを得ます。
内向型の人はその反対に、もの静かで穏やか、とりたてて興奮しやすいわけでもなく、ひとりでいることが多いようです。社交的な状況では、内向型の人の方が消耗します。
外向型、内向型の人の特徴
内向型の人の特徴
ひとりでいることが多い 話したり行動したりする前に考える 控えめに見られる ひとりで働くのを好む外向型の人の特徴
社交的な状況でエネルギーを得る 素早く決断する 外交的で活気があるように見られる チームの中で働こうとする「たとえば、典型的な一か月間の行動の多くが社交的だった場合は、外向型寄りと言えるでしょう。反対に、行動の大部分が控えめなら、内向型寄りです」と、ムロチェクさん。
「でも、両向型の人は、どの特性も極端には現れません」とカリフォルニア大学デービス校性格・自己認識研究室長のシミン・ヴァジアさん。「両向型の人は、内向性と外向性の性格がもっと入り混じっています」
そのため、これが両向型の人、という簡単なパターンはありません。ヴァジアさんの説明によると、たとえば、いくらか話し好きで(とてもではなく)、そこそこ主張がハッキリしている、または、主張がハッキリしているものの、とくに社交的でも活気があるわけでもないなど。
「中間の人は、他者との交流に適度に熱心で、適度に“消耗”します。極端な人は、内向型であれば社交的な場を避けたり、身を引いたりしますし、外向型であれば社交的な場に魅力を感じたり、そこで活力を得たりするわけです」(リッジオさん)。
自分が両向型かどうか、どうしたらわかる?
image via shutterstockリッジオさんによると、極端な内向的な人間なのか、または逆に極端な外向的なのかを見極めるためには、次のような質問に答えるといいそう。
どちらかというと、家で本を読む方?(内向的)それとも出かけて新しい人たちと会う方?(外向的) 楽しいのは、活気のある、混雑したパーティ?(外向的)それとも親しい友人との小人数の集まりですか?(内向的) 知らない人にも話しかける方ですか?(外向的)それとも知らない人の中ではたいてい黙っている方ですか?(内向的)性格診断テストとして、『ビッグ・ファイブ(特性5因子)』『SAPAプロジェクト』といったものもあるそう。
「身近な人に聞いてみたり、あなたについて診断テストで判定してもらったり、単純にあなたがどっち寄りか聞いてみたりして、性格診断をするのもよいかもしれません」とペンシルベニア州立大学の心理学名誉教授、ジョン・アンソニー・ジョンソンさん。よく知っている人に評価してもらうと、客観的な結果が得られるということです。
自分の行動について考えるときは、一定期間の中で考えることを忘れないこと。「ひとつの行動だけでは判断しきれるものではありません。いろいろな状況の中で、何日、何週間にもわたる行動から、その人の性格は浮かび上がるものです」と、ムロチェクさんは説明します。
「単純に自分が内向的か外向的か、またはその中間か、おおよそ推測してみると、当たっているもまた事実。科学的に証明されたテストのスコアも、だいたい近くは出ています」とヴァジアさんはつけ加えます。
自分の性格もっと知るには?
Cassie Shortsleeve/Ambivert: The Personality Type for People Who Are Extroverted Introverts
訳/STELLA MEDIX Ltd.