フィジカルトレーナーの第一人者である中野ジェームズ修一さんに、“ヒップアップの正攻法”をうかがう短期連載。最終回は、皮下脂肪に負けないおしりの鍛え方について考えていきます。
大臀筋と中臀筋を鍛えてヒップアップ
image via Shutterstock分厚いヒップの皮下脂肪は、骨盤を守る大切なクッション。鍛えれば立派な筋肉になると思われがちですが、脂肪を鍛えても筋肉にならないことは、“痩せるメソッド”連載でもお伝えした通りです。
「ヒップアップのためには、皮下脂肪の下に隠れているおしりの筋肉を鍛えなければなりません。これはかなりのハードルですが、骨盤を前傾位に戻してからなら効果が出やすく、ヒップの筋トレにも期待が持てます。
ヒップの筋肉には、いちばん大きい大臀筋のほかに、中臀筋と小臀筋があります。中臀筋はヒップの横側の筋肉。小臀筋はヒップの内部にあり、単体で鍛えることはできません。ですから、ヒップアップのためには、大臀筋と中臀筋のトレーニングを2種目やるといいでしょう」(中野さん)
中野さんによると、ヒップアップのしやすさは体質によって変わってくるそう。もともとヒップの皮下脂肪が薄い人は、筋肉量の変化が表に出やすく、ヒップアップして見えやすいといいます。
「ただし、欧米人のように“ヒップをボリュームアップする”というのは難しいです。おしりの大小は骨盤の形に左右されます。骨盤が小さい人がおしりを大きくしたいというのは、脚を長くしたい、というのと同じことです」(中野さん)
ちなみに「おしりを小さくしたい」というお悩みには、有酸素運動がおすすめだそう。女性はもともと下半身に脂肪がつきやすいため、加齢とともに消費カロリーが減り、摂取カロリーが増えることで、ヒップまわりが大きくなりがちです。
誤解されがちですが、皮下脂肪は部分的には落とせません。有酸素運動をすると全身の皮下脂肪が落ちてくるため、ヒップも自然に小さくなるとアドバイスをいただきました。
“ヒップアップ”ワークアウト・レベル5
“ヒップアップ”の正攻法として中野さんが教えてくれたのは、おしりが上がって見えるよう骨盤を前傾位に戻し、そのうえでヒップ周辺の筋肉を鍛えるというメソッド。レベル5ではヒップの中臀筋を鍛えるトレーニングをご紹介します。
ヒップの外側に位置する中臀筋は、美しいヒップラインに不可欠の筋肉です。ここを鍛えることで、きゅっと引き締まったおしりが手に入ります。
「中臀筋のトレーニング(アブダクション)」
1.椅子の背に両手をついて立つ。
2.ゆっくり4カウントかけて体の真横に右脚を上げる。すこし膝を曲げるようにして。上体はまっすぐの姿勢をキープ。
3.ゆっくり4カウントかけて1の姿勢に戻る。1~2の動作を20回×2~3セット行う。骨盤の横あたりが効いているのを感じながら行いましょう。
4.反対側も同様に行いましょう。
おしりを鍛えるトレーニングは、骨盤を安定させる効果もあるので、ウォーキングやランニングをするときに体のブレが抑制され有酸素運動がしやすくなります。まずはストレッチで“カラダの裏側”の柔軟性を高め、次に腸腰筋・大臀筋・中臀筋を効率よく鍛えることで、きっと理想のヒップに近づけるはずです。
『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP社)
運動指導のプロが教える、医学的に正しい最強の運動法。時間がなくても続けられ、確実に成果が出せるやり方を解説した、運動が苦手な人こそチェックしたい一冊です。
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中野ジェームズ修一さん
スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者、PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー、米国スポーツ医学会認定 運動生理学士(ACSM/EP-C)フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。「理論的かつ結果を出すトレーナー」として、卓球の福原愛選手やバドミントンの藤井瑞希選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得ている。2008年の伊達公子選手現役復帰にも貢献した。2014年からは、青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くから「モチベーション」の大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍を続けている。自身が技術責任者を務める東京神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、「楽しく継続できる運動指導と高いホスピタリティ」が評価され活況を呈している。主な著書に『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ』(徳間書店)などベストセラー多数。2018年10月に新著『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP社)を刊行。
中野さんが教えてくれたヒップアップのコツ
撮影(メソッドパート)/中山実華 モデル/鈴丘めみ
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