もうご存知かもしれませんが、タバコを吸ったことがない人でも肺がんになります。そして、ラドンやアスベストが身近にあるなど、ライフスタイルに関連した危険要素が肺がんにつながることも聞いているかもしれません。

今回お伝えしたいのは、このライフスタイルに関連した要素のうち、肺がんのリスクを大きく下げられる生活習慣についてです。

がんの専門誌『キャンサー・レターズ』で報告された2010年の研究によると、肺がんに限らずがんになるかどうかには、ライフスタイルが大きく影響するそう。何を食べるか、運動するかどうか、そして毎日接する環境を含めた暮らし方しだいで、リスクが信じられないほど大きく違ってきます。

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カリフォルニア州サクラメントにあるバイオアイデンティカル・ホルモン療法(人間のホルモンと全く同一の“ナチュラルホルモン”を補充する治療法)専門医のネットワーク(BodyLogicMD)に所属し、予防医療を専門とする医師のエルケ・クークさんによると、「誰でも肺がんになる可能性はありますが、肺がんの90%は喫煙の結果です(紙巻タバコ、葉巻、パイプを含めて)」。

残り10%の正確な原因は複雑で少しわかりにくいのですが、科学的に見てリスクを左右する行動やライフスタイルなどの要素が関わっています。

肺がんのリスクを下げるための10の生活習慣をご紹介しましょう。

1. アルコールは最小限に

一般的に言って、お酒の量を減らすのは、がんになるリスクを下げるいちばんの方法のひとつ。有力医学誌、『ランセット』誌で報告された2018年の研究によると、本当のところお酒は飲まない方がよいとか。

でも、やはりそうもいきませんから、同じアルコールでもお酒の種類によって肺がんのリスクが高くなることを覚えておきましょう。「ビールとリキュール(強いお酒)をたくさん飲むと肺がんのリスクが高くなりますが、適量のワインは逆にリスクが下がるようです」と、クークさん。

でも、ビールであれワインであれブラッディ・マリーであれ、女性は1日1杯、男性は2杯までという限度を必ず守る方がよさそう

2. 健康的な体重を保つ

クークさんによると、がん全般のリスクが低くなる健康的なBMIは18.9〜24.9。BMIが24より多いと、値が増えるほど、肺がんやほかの病気のリスクが高くなります。

体重が重すぎる人は、必ず十分に運動するか、抗炎症性の食べ物がたっぷりの栄養価の高い食事をとるとよいかもしれません。健康的な体重を保てば、心臓の病気や糖尿病などにもなりにくくなります。

3. 家の中のラドン量をチェック

アメリカ肺協会(ALA)によると、ラドンは肺がんの2番目に主要な原因(喫煙に次いで)。「ラドンは天然に発生するガスで、壁のすき間などから家の中に侵入します。家族に肺がんの人が多いなら、普段の環境でラドンに接していないか調べてみる価値がありそうだと思います」と、クークさん。

住居を調べて、家族をラドンから守る方法については、アメリカ環境保護庁(EPA)がガイドを発表しています。

なお、日本の環境省によると、日本はラドンの屋内濃度が低い国のひとつとなっています。

4. 毒素との日常的な接触をなるべく減らす

一部の家庭用製品や大気中に含まれる発がん性物質などの毒素に日常的に接していると、長い間に蓄積して健康に影響します。

有害な物質を吸い込むと、長期間にわたる場合はとくに、肺がんの原因になります」と、クークさん。肺がんと並び問題になる“中皮腫”は、ほぼアスベストを吸い込んだことが原因になります。

アスベストは繊維状に変化した天然の鉱石で(6種類あります)、住宅の絶縁材や屋根ふき材、車のブレーキシューやクラッチパッドなど、商業用や工業用に広く使われてきました(現在は規制されていますが、以前に使われたまま残っているケースが多く見られます)。

5. 抗炎症性の食事をとる

健康分野で“炎症”が注目されているのには理由があります。それは、軽い炎症であっても長い期間にわたって続くと病気に関連するという研究結果が増えているから。

抗炎症性の食べ物とスパイス(クルクミンを含むターメリックのような)を食事にたっぷり取り入れて、全体的な健康アップを心がければ、がんのリスクを下げる効果があります。

野菜と果物をたくさんとるようにするほか、加工食品は控えめに、そしてオリーブオイルやアボカドなどの食品からヘルシーな脂肪をたっぷりとります。「植物油(キャノーラ油、大豆油、ひまわり油)のようなオメガ6系脂肪酸の多い油は避けましょう」と、クークさんはアドバイス。オメガ6系脂肪酸も、適度であれば心臓によいのですが、多くのアメリカ人はオメガ6系脂肪酸が豊富な加工食品をとりすぎていることが問題とのこと。

オメガ6系脂肪酸をとりすぎると、オメガ3系脂肪酸とのバランスがくずれて、心臓の病気につながりかねません。「オメガ6系脂肪酸をとりすぎると、身体が炎症状態になります」(クークさん)。

6. 血糖値を管理する

クークさんによると、「インスリンはがんの成長を助けるため、糖尿病の人はがんになるリスクが40%高くなります」。

2型糖尿病にならないように、安定した血糖値を保ついちばんの方法は、白いパンや焼き菓子、デザート、ポテトチップスなどのスイーツやでんぷん質の食べ物を減らすことです。

7. 毎日少なくとも35〜40グラムの食物繊維をとる

「ほとんどの人は1日あたりおよそ20グラムの食物繊維をとっていますが、本当はおよそ35〜40グラムとる方がよいのです」と、クークさん。

食物繊維を増やすためにおすすめの方法は、挽いたフラックスシード(亜麻仁)小さじ2杯を食事に加える、黄緑色野菜を増やす、少なくとも1日6カップの野菜を食べる、などだそう。

8. ストレスを減らし、十分な睡眠をとる

ストレスを減らし、十分な睡眠をとると、さまざまな面で健康によいと聞いているでしょうが、肺がんのリスクを下げるためにも有効です。

とくに夜間、コルチゾール(別名、ストレスホルモン)のレベルが高いと、がんや心臓などの病気のリスクがアップ。「毎日、ストレスを解放する時間をとりましょう。ヨガや瞑想も、免疫系に効果があります」(クークさん)。

9. ビタミンDを十分にとる

ビタミンD豊富な食べ物を十分にとれていない人は多いのです。でも、ビタミンDは健康にもっとも大切な栄養素のひとつ。さまざまな効果のなかでも、免疫系を強くし、血圧を下げ、うつ病から守る力があると研究でわかっています。

クークさんの説明によると、「体内のビタミンDレベルをベストに保てば(40〜50ナノグラム/mL)、乳がんと大腸がんから守る効果があると証明している研究がたくさんあります。ビタミンDは“骨の健康”ホルモンと思われがちですが、実は一般に考えられているよりも多くの働きを体内でしていて、がんから守る役にも立っているのです」

10. もっと抹茶を飲む

普通の緑茶でも確かに健康によいのですが、栄養価をもっと高めたいなら、抹茶にしてみては。

抹茶には、緑茶の抗がん成分であるEGCGがさらに多く含まれています」と、クークさん。EGCG(没食子酸(もっしょくしさん)エピガロカテキン)は緑茶にいちばんたくさん含まれるカテキンで、抗がん効果があると証明済み。

さらに、緑茶は茶葉の成分をお湯で抽出するだけですが、抹茶なら茶葉全体をとることに。「抹茶は茶葉の粉末を溶かして飲みますから、EGCGの濃度がはるかに高くなります」(クークさん)

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訳/STELLA MEDIX Ltd.

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