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痩せたい人ほど油を食べなさい。肥満外来の医師が教える正しいダイエット

2018/10/30 16:30 投稿

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30年間で3万人の肥満治療をおこない、減量させた総重量は3トンという肥満外来専門医の左藤桂子先生に、あらゆるダイエットの疑問をぶつける短期連載。

第2回は、「食」に関する噂について検証していきます。

第1回でご紹介したとおり、左藤先生が太る原因として一番に挙げているのが、“食についての知識不足”。今回のお話を聞けば、いかにイメージや思い込みで食べるものを選び、リバウンドを助長しているかがわかるはず!

「油」はダイエットの敵だから、控えるべき?

左藤先生いわく、油は、種類と割合に注意して積極的に摂るのが健康的でキレイに痩せるために不可欠とのこと。つまり、ダイエットで油を抜くのは大間違い!

「油はカラダの組成成分で、細胞膜もホルモンも脂質によってできています。なので、油を抜いてしまうと肌や髪がガサガサになり、女性としての美しさを失うことに。

油は腹持ちもいいので、むしろダイエットの味方。ただし、きちんと選ぶことが重要です。

マーガリンショートニングなどに含まれているトランス脂肪酸は、動脈硬化の原因にもなるので極力避けるべき。外食やお惣菜などの揚げ物に使われている油も酸化している可能性が高く、体内の老化を進行させてしまうので控えましょう」(左藤先生)

そもそも油には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類があり、積極的に摂った方がいいのは「不飽和脂肪酸」の方。なかでもオメガ6とオメガ3の油をできれば4:1、理想的には1:1の割合で摂るといいそう。

「必須脂肪酸といわれるオメガ6とオメガ3は、体内で作ることができないため、食べ物から摂らなければなりません。

とくに現代人は、オメガ6は足りているものの、オメガ3が不足しがち

オメガ3は悪玉コレステロールを減らし、血中の中性脂肪を低下させてくれるので、意識的に摂りたいもの。ただし、とても酸化しやすく熱にも弱いので、サプリメントで補うのもおすすめです」(左藤先生)

<油の分類>

飽和脂肪酸……バターやラードなど動物性の油。常温で個体、酸化しづらく熱に強い。       不飽和脂肪酸……植物性の油や青魚の油。常温で液体、酸化しやすい。

  オメガ9……オリーブオイル、菜種油など。オレイン酸が豊富。
  オメガ6……コーン油、大豆油など。リノール酸が豊富。
  オメガ3……エゴマ油、亜麻仁油、青魚の油など。α-リノレン酸、DHA、EPAが豊富。

糖質の摂り過ぎに気づいていますか?

一方で、エネルギー源となる炭水化物(糖質)は必要な栄養素ではあるものの、食べ過ぎている人が多いといいます。

たとえば、“朝はパンとコーヒーとサラダ、昼はパスタ、夜は居酒屋で唐揚げに冷や奴にお茶漬け”というメニュー。これだとたんぱく質が大幅に不足し、糖質過多だそう。

でもこれ、結構ありがちなパターン。そして、糖質が厄介なのは単にゼロにすればいいというわけではないこと。

「炭水化物=糖質を極端に減らすと脳に栄養が行き渡らずぼーっとしたり、疲れやすくヘロヘロになってしまう場合が多く、一歩間違えれば拒食症になることも。

まずは、白砂糖を含んだ食べ物をやめることから始めてみましょう。普段、丼ものをよく食べるという人や、ぷよぷよとした太り方をしている人はとくに炭水化物を摂り過ぎている可能性が高いので、意識的に減らすといいですよ」(左藤先生)

ファスティングやジュースクレンズは健康的に痩せられる?

結論から書くと、「一時的に体重は落ちてもリバウンドする可能性大」だそう。

ファスティングもジュースクレンズも、断食やジュースによる必要最低限の栄養で胃腸の消化負担を減らし、その分のエネルギーをデトックス(解毒)に使うように促すというもの。

短期間で効果があらわれるので、ハリウッド女優やモデルの間でブームになりましたが、左藤先生いわく「すべての人に適しているものではない」そう。

「そもそも野菜や果物のジュースだけしか摂取しなければ痩せるのは当然。一時的にお腹を凹ませたいといった目的があるならいいですが、空腹が続くので反動でどか食いしたくなる人がほとんど。

胃が空っぽだと次に入ってきた食べ物を効率的に吸収しようとするので、ここでどか食いしたらリバウンドは必至です。デトックスしたいなら、水をたくさん飲めば十分」(左藤先生)

もともとファスティングやクレンズジュースといった手法は、糖尿病やがん治療のために始まったもの。がん細胞のおもな栄養源はブドウ糖であることから、断食をしてがんの増殖を抑えたり、カラダを飢餓状態にすることで長寿遺伝子を目覚めさせるために利用されてきました。

でも、がん細胞を飢えさせる一方で、病気と闘うための細胞や栄養源もなくしてしまうため、いまではその治療法にも賛否がわかれています。

リバウンドすることなく長期的にスリムなカラダを手に入れたい、健康的に痩せたいという人には、この方法は不向きなようです。

朝食抜きは逆に太りやすいってホント?

朝食抜きで太るか・太らないかは、あなた次第というのが正しいかも。

というのも、先ほどお伝えしたとおり、ファスティング明けはカラダが効率的に栄養を吸収しようとします。一日の中でもっとも胃の中が空っぽで、ファスティング明けに近い状態なのが朝起きたとき。そこで何を食べるかが大事だと左藤先生はいいます。

「食事の回数を減らすとその分どこかで食べてしまうもの。とくに仕事をしていると昼は外食やコンビニのお弁当という人も多いはず。

朝食を抜いて昼に丼ものやパスタなど炭水化物が多めの食事をしていたら、血糖値が一気にあがり、太りやすいカラダへ一直線です」(左藤先生)

血糖値が一気に上がると、それを下げるために必要以上のインスリンが分泌されます。すると、血中の糖分を脂肪に変えて溜め込もうとする働きが強くなってしまうのです。

左藤先生は朝食でプロテインとサプリを活用

とはいえ、朝はバタバタして食事の準備に時間をかけられないのが現実。そこで左藤先生が取り入れているのが、プロテインサプリ

植物性のプロテインを10g、オリーブオイルなどオメガ6の上質な油を7-8g、ビタミン・ミネラル・フィトケミカル・オメガ3のサプリ、それに出汁が効いたスープに果物を少しという朝食が定番だそう。

ちなみにいいプロテインを選ぶには、アミノバランス、吸収率、原材料が植物性かどうかを見るといいそう。さらに、熱を加えてもいいものだとたんぱく質が細かく、消化・吸収がいいということなのでおすすめだそうですよ。

第3回では、睡眠や運動といった生活習慣に関するダイエットの疑問について詳しくご紹介していきます。

左藤桂子(さとう・けいこ)先生
さとうヘルスクリニック院長、佐藤桂子ヘルスプロモーション研究所所長、30年で3万人の肥満治療をした肥満外来の専門医。多くの症例を診るなかで、糖尿病となる前に体重オーバーの時期があることに気づき、体重コントロールの重要性を指導。メタボリック症候群の概念を確立させた医師のひとりでもある。著書に『ダイエット外来の寝るだけダイエット』(経済界)など。佐藤桂子ヘルスプロモーション研究所

取材・文/佐々木彩子、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock

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