でも糖尿病の人にとっては、ちょっと食べすぎただけで命にかかわる結果につながることも。「ひとくちに糖尿病と言っても、ひとりひとり少しずつ違いますし、炭水化物の許容量もそれぞれ。ですから、何がOKで何がダメか厳密に言うのは難しいのです。ただ、糖尿病の人で心配なのは、血糖値を下げるために必要なインスリンをすい臓が作れなくなるくらい、炭水化物を食べてしまうことです」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校附属医療機関、UCLAヘルスのゴンダ糖尿病センター長を務める医師のマシュー・フリービーさん。
image via Shutterstock三大栄養素のうち炭水化物(糖質がふくまれます)は、糖尿病の人にとって最大の脅威になります。一方で、「ほかのふたつ、良質なたんぱく質と脂肪が含まれる食べ物は、糖尿病の人にもとってもらいたい栄養素といえます」とフリービーさん。
三大栄養素のうち炭水化物(糖質がふくまれます)は、糖尿病の人にとって最大の脅威になります。一方で、「ほかのふたつ、良質なたんぱく質と脂肪が含まれる食べ物は、糖尿病の人にもとってもらいたい栄養素といえます」とフリービーさん。
血糖値が高すぎたり(高血糖症)、低すぎたり(低血糖症)すると、吐き気、嘔吐、胃の痛み、心拍数の増加、めまい、意識障害などの症状があらわれることがあります。糖尿病の人は、このような症状が出たらできるだけ早く医師の診察を受けるべき。
極端な場合、高血糖でも低血糖でも、意識を失うことがあり、死亡するおそれすらあります。
image via Shutterstockしかし、「どんな食べ物であっても、まったく食べないようにする必要はありません」と、アメリカ栄養士会の広報担当を務める糖尿病療養指導士で、登録栄養士のバンダナ・シースさん。
「糖尿病の管理に役立つ食べ物とそうでもない食べ物があります。ですから、糖尿病専門の登録栄養士なら、血糖値をうまく管理しつつ、好きな食べ物を楽しめるように助言してくれるはず」とシースさんは説明します。
では、糖尿病の人にはどんな食べ物が特によくないのか、見てみましょう。
01. 朝食用シリアル
シースさんによると、「朝食用シリアルは、炭水化物が多く、砂糖も添加されています。たんぱく質と食物繊維も少ない場合がほとんど。炭水化物、特に精製した穀物から炭水化物をとると、当然ながら血糖値の急上昇につながります」。
代表例として、定番シリアルブランドの『ラッキー・チャームズ』3/4カップに含まれる炭水化物は22グラム、砂糖は10グラムです。
「でも、どのシリアルも同じというわけではありません。ときどきどうしても食べたくなるなら、全粒穀物のシリアルを分量に注意して食べるというヘルシーな選択を。食物繊維たっぷりのシリアルにギリシャヨーグルトやスキールを組み合わせれば、おなかもいっぱいになって、血糖値の急上昇も少なくてすみます」とシースさん。
1回分あたり少なくとも3〜5グラムの食物繊維を含み、糖分は8グラム未満のシリアルにしましょう。
02. スペシャル・コーヒー
image via Shutterstock「コーヒーを1杯飲んでもさして悪いことはありませんが、全国チェーンのコーヒーショップでよく見かける甘いスペシャル・コーヒーの多くは砂糖たっぷり」とジン=メドウさん。
寒い季節に飲みたくなるスターバックスの『ペパーミント・モカ』。ところが、なんと炭水化物63グラムと砂糖54グラム。ダンキン・ドーナツの『カラメル・スワール』ラテなら、炭水化物55グラム(すべて砂糖から)。
03. 天然の甘味料
シースさんによると、「血糖値が急に上がらないようにと、普通の砂糖を避けて、代わりにハチミツやアガベシロップ、メープルシロップなどを使って満足してませんか? でも、こういった食品にも炭水化物が含まれていますし、砂糖より多く含まれている場合もあると認識することが大切です」。
「例えば、砂糖小さじ1杯にはおよそ4グラムの炭水化物が含まれます。でも、同じ小さじ1杯のアガベネクターならおよそ5グラム、ハチミツなら6グラム近いのです」(シースさん)。
「天然の甘味料は白砂糖ほど加工されていないかもしれませんが、それでも血糖値には同じような影響を与えます。食事に甘味料を加えたいなら、炭水化物に注意して、食事プランに合った量にしましょう。血糖値に与える影響を最小限にするためには、砂糖の代用品も考慮して」とシースさん。ステビアやオリゴ糖のようなものならピッタリ。
04. キャンディ
image via Shutterstockこれは当然かもしれません。砂糖不使用のガムしか食べないとでも決めない限り、ほぼすべてのキャンディ類が砂糖のかたまりです。そして「濃縮された形で砂糖を取ると、血糖値に与える影響が大きくなります」(ジン=メドウさん)。
濃縮された形で砂糖が含まれている食べ物はあまりありませんが、キャンディは確実にそのひとつ。
05. パン
これも糖尿病の宿敵、炭水化物です。精製された穀物を使って加工されたパンには炭水化物がたっぷり。「外食するなら、出されたパン・バスケットには手をつけずにキッチンに戻して」と、ジン=メドウさん。
フリービーさんも同意見ですが、全粒穀物のパンは、消化に時間がかかるため少しは安全だそう。全粒穀物のパンか、「発芽」全粒穀物のパンを探します。パンの成分表示ラベルを見て、いちばん初めに「全粒穀物」と記載されているかどうか確認します。
06. 白いパスタとライス
「パスタやライスなどほかの白い精製穀物製品も、パンと同じで炭水化物が多く、食物繊維とたんぱく質が少ない食品」とシースさん。
この特徴はすべて血糖値の上昇につながります(食物繊維は炭水化物を糖に変換するプロセスを遅くするので、血糖値が上がりにくくなりますし、たんぱく質には血糖値の上昇を抑える作用があるため)。
「代わりに、マメ類から作ったパスタや玄米、全粒穀物や食物繊維の多いパンといった、食物繊維が豊富なタイプを選びます。白いパスタやライスの味・風味がどうしても好きなら、適切な量をとるように気をつけましょう。食物繊維の多い野菜と脂肪の少ないたんぱく質も一緒に食べてバランスを取ります。こうすることで血糖値に与える影響を最小限にすることができるのです」(シースさん)
07. アルコール
「アメリカ糖尿病学会(ADA)によると、アルコールは肝臓がブドウ糖を作るはたらきを邪魔するため、お酒を飲むと本当に血糖値が下がりすぎる結果(低血糖症とも呼ばれます)になる場合があるそう。そのうえ、アルコールと相性の悪い糖尿病の薬もあります」とシースさん。
お酒を飲むほど、血糖値が下がるリスクは高くなる一方ですから、「お酒を飲む前の血糖値を知っておくこと、そして胃が空っぽの状態で(血糖値がすでに低い状態で)お酒を飲まないことが大切」(シースさん)。
シースさんによると、糖尿病の人も万人向けの「ほどほどルール」(1日に女性は1杯、男性は2杯)を守るべきだそう。でも、人はみなそれぞれ違いますから、自分の限度については主治医に相談しましょう。
08. ドライフルーツ
「丸ごとの果物は、食事に加えるとよいヘルシーで重要な食品ですが、糖尿病の人はやはり十分に気をつける必要があります」とフリービーさん。
その理由として、「果物はたくさんの素晴らしいビタミンや栄養素を含むとはいえ、血糖値を上げる炭水化物もたっぷりだから」と説明。
一方、ジン=メドウさんによると、ドライフルーツは実に危険。「ドライフルーツには炭水化物と砂糖がぎっしりと濃縮されていますから、食べる量にとても気をつけなければなりません」。軽くひとつかみのレーズンには、ボウルいっぱいのブドウと同じ量の砂糖/炭水化物が含まれています。
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