世界に163人しかいない睡眠専門の認証心理士、“スリープドクター”として名高いマイケル・ブレウス博士にお話を伺いました。
すーっと眠りたいなら室温は低めに!
image via Shutterstockなかなか寝つけなくて、ベッドのなかでもぞもぞ寝返り。朝、起きても首や肩にだるさが残ってどんより……。プリンセス・クルーズが実施した睡眠調査によれば、日本人の実に49%が毎晩の睡眠不足を感じているとか。 睡眠の専門家・ブレウス博士がまず推奨するのは、“温度”をコントロールすること。
「体温のサイクルと睡眠のサイクルには、非常に密接な関係があります。体温がある程度下がると、睡眠ホルモンの異名を持つメラトニンが分泌され、自然な眠りへと誘います」
高温多湿な日本の環境では、エアコンを使って快適な室温を保つのは必須対策といえそう。「睡眠時間のうち、最初の1/3は室温を低めに、それ以降、起きる時間にむかって少しずつ温度をあげていくのが理想です。寝ついてからの1/3の時間は、肉体的な休息をとる睡眠で、頻繁に寝返りをすることが知られています。その後、徐々に眠りが深くなり、最後の1/3の時間は脳の疲れをとる睡眠に。スムーズに起きられるように温度を少し上げたとしても、眠りが妨げられることはありません」
image via shutterstock体温を下げるためには、そのほかにもベッドリネンを通気性の高いものに変える、パジャマを脱いで裸で眠る、冷感素材の寝具を使うといった方法もおすすめです。
「また、水分を十分にとることも大切。体の水分が十分に足りていると、それだけ深い眠りにつけることがわかっています。就寝前には、冷やした水を十分に飲んで水分補給をすることが、快適な睡眠のひとつのカギになるでしょう」
90分サイクルを基本に睡眠時間をカスタマイズ
image via Shutterstock睡眠の質とともに重要なのが、睡眠時間。いくら質を高めても、絶対的な量が足りなければ、睡眠不足による不調は避けられません。
「人間の睡眠のサイクルは90分単位。ひと晩で5サイクル=7時間半の睡眠が理想とされています。ただ、どのくらいの睡眠時間が必要かは、個人差も大きいもの。まずは基本の7時間半の睡眠を試してみて、すっきり目覚められるか、もう少し長く眠ったほうがよさそうか、実験をしてみるといいでしょう。自分にとってベストな睡眠時間が見えてくるはずです」
心地いい睡眠のための5ステップ
深く質のいい眠りを得るには、毎日の習慣にも意識したいポイントがあります。ブレウス博士が挙げる「よい睡眠のための5ステップ」をご紹介しましょう。
1. 14時以降はカフェインをとらない
カフェインの影響は、摂取後6〜8時間にわたって続きます。覚醒作用のあるカフェインの影響を排除するため、就寝の8時間前、14時すぎごろからはコーヒー、紅茶などは避けるのが賢明。
夕方から就寝前に飲むなら、ノンカフェインのカモミールティーがおすすめ。カモミールには、気分を鎮静させ、筋肉の疲労物質をとってリラックスさせてくれるマグネシウムが含まれています。
image via shutterstockもうひとつ、おすすめはブレウス博士特製レシピの「バナナティー」。バナナもマグネシウムが豊富で、安眠効果の高い果物です。とくに皮には、果肉の3倍ものマグネシウムが含まれています。皮ごと煮出して、豊かな香りと甘みを味わって。就寝前のくつろぎタイムにぴったりです。
【ブレウス博士特製! バナナティーの作り方】
オーガニックのバナナを洗い、両端を切り落とし、半分の長さに切る。 鍋に、1.のバナナを皮ごと入れ、適量の水を注ぎ、3分ほど煮る。煮汁をいただく。2. 週末の夜更かし&寝だめはNG
睡眠リズムを一定に保つことが大切。毎日同じ時間に起き、同じ時間に寝るのが快眠のためのファーストステップ。疲れをとろうと休日に寝だめをするのは、かえって睡眠サイクルの乱れを招いて逆効果!
3. 食事&アルコールは就寝の3時間前までに
食後は胃腸が活発に働き、体内に熱が作られている状態。遅い時間に夕食をとると、消化活動によって睡眠が妨げられてしまいます。また、一杯のお酒を吸収・分解するのに要する時間は、約1時間。もしワインやビールをグラスで3杯飲めば、3時間はアルコールの影響が残る、ということ。眠りにつきたい時間から逆算して、食事の時間、お酒の量をコントロールして。
4. 毎日20分程度の適度な運動を
軽い運動を習慣にすることも、快眠を導くために有効です。ジョギングやヨガなど適度な負荷の運動を、毎日20分を目安に続けるのが理想です。ただし、就寝直前の運動はかえって逆効果に。運動は、就寝4時間前までに終えましょう。
5. 朝日を浴びながら、ミネラルウォーターを
起床後には、朝日を浴びながら、ミニボトル1本分のミネラルウォーターを飲みましょう。15分ほど日光を浴びることで、睡眠を促すメラトニンの活性化が抑えられ、頭もクリアに。また、水を飲むことで、就寝中に失われた水分を補給するとともに、消化器官を刺激。空腹を感じて朝ごはんを食べれば、一日を元気に始められます。
究極のベッドで極上の眠りを楽しんでみませんか?
多角的に睡眠を研究するブレウス博士が開発に携わったベッドに横たわれば、理想の眠りを味わえるかもしれません。
夢のような睡眠体験ができるのは、世界最大のプレミアムクルーズライン、プリンセス・クルーズ。日本発着クルーズを運行する「ダイヤモンド・プリンセス」の全客室に、ブレウス博士が開発したプリンセス・ラグジュアリー・ベッドが導入されました。
「プリンセス・ラグジュアリー・ベッドの最大の特徴は、好みに合わせてやわらかめにも、かためにも調節できること。また、内部のコイルがそれぞれ独立しているため、マットレス面の横揺れが小さく、振動が伝わりにくいのも特徴。パートナーの動きを気にせず、ぐっすり眠れます」
客室内には最高のベッドに加え、アイマスクや耳栓などがセットになったスリーピングキット、就寝前におすすめのルームサービスメニューなど、睡眠をトータルにプロデュースするアイテムが充実。非日常のクルーズでバカンスを楽しみながら、健康と睡眠に関する情報もアップデートできる機会になりそうです。
マイケル・ブレウス博士は、睡眠の改善による効果は、非常に即効性のあるものだ、と語ります。
「最短で24時間後には、劇的な変化が現れることも。そうした喜びの声を聞くのは、私にとっても非常にうれしいことです。たとえば、睡眠薬の助けがなければ眠れないという、睡眠について深刻な悩みを抱えている方であっても、治療の結果、約75%は自然な眠りを取り戻しています」
ブレウス博士のメソッドは、今すぐ実践できるものばかり。今日からはじめて、すっきりさわやかな目覚めを手に入れましょう。
マイケル・ブレウス博士
全世界で163人のみが認定を受ける睡眠障害専門の臨床心理士。アスリートやセレブリティを個別に診断するかたわら、睡眠を専門とする他の石への教育や大手航空会社、ホテルチェーン、メーカーからの安眠に関する相談に対し、アドバイスを行う。世界最大級の医療情報サイトWebMDヘルスで公式スリープ・エキスパートを務めるほか、世界140カ国で放送される健康情報番組「ドクター・オズ・ショー」へのレギュラー出演など、幅広く活躍。プリンセス・クルーズの「プリンセス・ラグジュアリー・ベッド」を共同開発。