うっかり動きを間違えたときの、恐怖のポキッという音。ぎっくり腰、やっちゃった?

ほとんどの場合、原因は腰椎にあります」と言うのは、ボストンを拠点に活動しているヨガ教師で『Yoga for a Healthy Lower Back(健康な腰のためのヨガ)』の共著者リズ・オーウェンさん。「腰椎は5個の椎骨から成り、腰の痛みを訴える人がよく示す箇所です」。

背骨のこの部分は重い体重を支え、背中に可能な動きのほとんどに関与している場所。小さな箇所にしては大きな負担です。そこに圧力がかかると、周辺の筋肉や靭帯、脊椎円板が損傷しやすくなるのです。オーウェンさんによれば、背骨のちょうど根元にあって仙骨につながる仙腸関節も、羽のように広がった形をした寛骨とあわせて同じように損傷をうけやすいとのこと。

動けないことがわかったら、自分では気がつかない問題が潜んでいるかもしれないので、できれば医師やカイロプラクター、マッサージ師などにすぐに診てもらいましょう。そうはいっても、やらなきゃいけないことの最中に腰を痛めてしまって、すぐにマッサージに駆け込むことはできない場合もあるかもしれません。

これ以上事態を悪化させず、身体に治癒する機会を与えるために、腰を痛めたときはすぐ次のシンプルなステップに従ってみてください

1. 姿勢を正す

痛めた直後にまずやるべきことは、まっすぐに立って、これ以上のダメージを避ける姿勢になること。背骨を本来の位置に戻しましょう、とオーウェンさんはアドバイス。

前にかがみになったときに腰を痛めたなら、「そっと両膝を曲げ、ふとももに両手を置きます。膝を曲げたまま息を吐き、尾骨をわずかに床に向かって落とします。そうしたらゆっくりと胴体を持ち上げ、尾骨を伸ばしたまま徐々に両足をまっすぐにします。壁を背にして立っているかのように両肩が腰の上にきて、腰が丸まっているというよりも伸びている感じがしたら、背骨が本来の位置に戻ったということがわかります」

いったん立ち上がったら、やさしく体幹の筋肉を引き締めます。すでに痛みがあるときに筋肉を引き締めるのは危険そうだと思うなら、次のように考えてみて。腹部の体幹の主な役割は腰を安定させること。そこで体幹を意識して安定するようにしてみましょう

オーウェンさんのアドバイスは、まず両膝を曲げて、両手をふとももの上に置き、おへそから背骨にむかって糸で引っ張るようなイメージを頭に描きます。体幹の筋肉を意識したまま、ゆっくり両足をまっすぐにします。「腰が丸まらないように、腰に向かって体幹の筋肉が体を包み込んでいるような感覚を感じてください」

2. 曲げる、持ち上げる、ひねるはNG

「いったんまっすぐ立って体が安定したら、ケガが悪化しないように、とにかくそのままの状態でいられるようにしてください」と言うのは、マサチューセッツ州アーリントンのカイロプラクター、キース・プーリさん。つまり痛みがある間は、曲げる、持ち上げる、ひねるという動作を何とか避けること。

床からモノを拾うときは、背骨をまっすぐにして体幹を意識したまま、スクワットのように尾骨を床に向かって落とします。「このとき背骨をまっすぐにするのには、天井を見上げるといいでしょう」とプーリさん。そうすることで前かがみになるのを避け、腰に負担をかけないようにすることができます。

歯を磨いたり、食器を洗ったりするなど、どうしても前のめりになる必要があるときは腰から体全体を曲げるように心がけて。本来の背骨の位置をまっすぐキープしたまま、腰から体を前に倒します。

背骨の筋肉をひねるのを避けるには、回転するのではなく向きを変えるよう意識して、とプーリさん。手を伸ばして何かを取る際は、体の片側をひねったり手だけを後ろに回したりするのではなく、常に体全体をその方向に向けてください。便利であることよりも安定を最優先すべきだとプーリさんは説明しています。車に乗り降りするような際にいちいち面倒だと思わないこと。「明らかに効率的ではないですが、時間を無駄にするよりもはるかにメリットが上回ります」

3. 市販の薬をためしてみる

プーリさんは、アルニカ配合ジェルのような痛みを緩和するジェルを、いつも化粧ポーチやジム用バッグ、仕事の鞄などに入れておくこともすすめています。こうしたジェルは、痛みにおそわれた際に痛い場所をひんやりさせ、患部の血流をよくして炎症や腫れをおさえるのを助けます。

市販のイブプロフェンも抗炎症の効能があるので、痛みがあるときにすぐ服用してもよいでしょう。ただし薬はあくまで症状を隠すだけだということを忘れないで! ケガをしたときと同様にきちんと治療を続ける必要があります。

それから水分をケチらないこと。エクササイズの最中に腰を痛めたなら、すでに汗をかいている段階にあるので脱水症状を起こすかもしれません。慢性的な脱水症状も背骨の筋肉の強さや質に影響することがあり、結果としてケガをしやすくなったり、治りにくくなったりするとプーリさんは注意を呼びかけています。特にケガを治している最中は、1日にコップ9杯以上の水分を摂取するように心がけましょう。

4. 以下の安全なセルフケアをする

身体を休められる場所にやってきたら、安定を維持するための基本的なセルフケアをいくつか試してみては? とプーリさん。膝の下に枕を置き、かたいソファかベッドに仰向けに寝てみましょう。ここでの目標は、かたい場所で腰全体を休ませて筋肉をゆるめること。

さらに、足は床につけて両膝を曲げ、仰向けに横たわると(あるいは横になれないなら壁に背をつけて立つのでも可)、背中の筋肉のけいれんを元に戻すのによい、とオーウェンさんからの追加のアドバイス。この姿勢で落ち着いて心の準備ができたら、片膝を胸にひきつけて抱きかかえ、もう片方の足はまっすぐ床にそっとのばしてみましょう。息を吸って吐きながら、曲げた足を少し胸から離し、また胸に近づけます。反対側の足でも同じように繰り返しましょう。

5. 何よりも安静に

状況が明らかに改善しない、あるいは1日か2日経っても症状が治らないなら、おそらく医師やカイロプラクター、免許のあるマッサージ師に診てもらうときです。しかし腰に永久的なダメージを与えたのではと心配すると、気持ちが消耗するだけではありません。すでに傷ついている身体をさらに硬直させてしまうこともあるのです。

腰に問題が起きたとき、もう二度とよくならないかもしれないと怖くなるのは自然なこと」とオーウェンさん。「そんなときは、腰がどんなに辛くても、筋肉が単純に酷使されているだけ、背骨を支えようと余計な仕事をしているんだ、ということを思い出して。痛みに耳を傾けて、腰をいたわりましょう。そうすれば痛みが弱まるにつれて筋肉がリラックスし、短期間で普通の状態に戻れる可能性も高まりますよ」

腰をいたわりましょう

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Holly Lebowitz Rossi/What to Do Right After You Throw Out Your Back
訳/Maya A. Kishida

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