糖尿病予備群と呼ばれていますが、どういう状態かというと、血糖値が正常より高いものの、2型糖尿病になるほど高くないというもの。糖尿病予備群の人は、一般的にインスリン抵抗性(血糖値が下がりにくくなります)があるか、もしくは血糖を健康なレベルに保つのに十分なインスリンを膵臓が作れていません。
糖尿病予備群の人は、5〜10年で最大50%の糖尿病発症の可能性がありますが、血糖値を下げる物を食べるなど、ライフスタイルを変えることでリスクを減らすことができます。
「糖尿病予備群になるのは、前々からインスリン抵抗性があったという警告サインです。でも、多くの人は糖尿病を予防または発症を遅らせることができます」と、ドマー健康センターの栄養部門担当者、管理栄養士のヒラリー・ライトさん。
より活動的になり、体重を減らし、ストレスを減らし、喫煙をやめ、適切な睡眠を取るのに加え、より健康的に食べれば、糖尿病予備群の予防または治療を助けます。
ここでご紹介する方法から始めてみて、より個人に合わせたアドバイスを受けられるよう、医師または糖尿病を専門とする栄養士に相談してはいかがでしょう。
糖尿病を予防する(もしくは遅らせる)方法
3~6時間おきに食べる
「起床1~2時間以内に朝食をとり、その後3~6時間ごとに軽食か食事を食べます」と、グレイターボルチモアセンターのゲックル糖尿病・栄養センターのレベッカ・デニソンさん(統合医療医師、糖尿病関連講師、管理栄養士)。
これで1日3~6回の食事と軽食をとることになります。1食を消化するのに4~6時間が必要です。「実際に必要になる前にほんのちょっと食べることで身体が血糖値を安定させようと模索しなくて済むのです」(デニソンさん)。
食事のバランスをとる
ひと皿の半分を非でんぷん質の野菜で埋めます。もう半分は玄米、キノア、豆類、豆果、などの自然食の炭水化物もしくはアマランス、キビ、ファーロなど古代穀類と、たんぱく質など。このような複合糖質は白米、パン、パスタなどの精製された炭水化物より食物繊維と栄養が多く、食物繊維は血糖値のコントロールを助けてくれるのです。
しっかりした食事は早い時間にとる
“王様のような朝食、王子のような昼食、乞食のような夕食を食べる”とことわざも。約100〜150キロカロリーのちょっとした就寝直前の軽食はOKですが、夕食は少なくとも就寝の4時間前に。「1日のおわりにたっぷり食べてしまうと、肥満と糖尿病のリスクはエスカレートしてしまうはめに」と『糖尿病予備群の食事プラン』の著者でもあるライトさん。
「エビデンスによると、早い時間に食べるのに比べ、血糖値を調整するためたくさんのインスリンを分泌しなければならないのです」
炭水化物の摂取を分散する
夜は少なめに食べるのと、パスタ、ライス、糖分、他の炭水化物を制限するのがベスト。「1日を通して自然食の炭水化物をとれば、すい臓に絶えずインスリンを分泌させる圧力が少なくなります」(ライトさん)。血糖値が山脈や谷のように乱高下するのではなく、1日を通して丘のように動くようにしたいのです。
分割を心がける
あなたが太りすぎなら、体重を落とせば2型糖尿病のリスクを減らせるでしょう。少な目に食べてみれば、カロリーを減らせ、かつ満足感も得られます。ライトさんは空腹感を1(空腹でない)から10(飢えている)の物差しで計ることをおすすめします。「空腹感が5か6の時に何を食べるか意識すべき。そうすると絶望的に飢えることはありません」
水を飲む
水分補給に水を選べば、満腹感のない不必要な飲み物のカロリーを減らせるでしょう。
食事を変えるというよりも、ライフスタイルを変えること
体重を落としたいなら、守ることができる食事のプランにすること。「体重を減し続けられるなら、結果はどうあれ、それがあなたのベストプラン。計画が厳しすぎれば、挫折したとたんに以前に逆戻り。体重は増え、2型糖尿病のリスクは高まります」(ライトさん)。
血糖値を下げるのにベストの食品
これらの食品が血糖値の調整に役立つはず。
非でんぷん質野菜
非でんぷん質の野菜を食事の主役にして、一食の半分はとりましょう。「糖尿病のリスクを抱える人は、野菜の摂取のレベルを引き上げることが大事。一皿の半分を野菜で埋めれば、炭水化物をさほど取らずに満腹になれるはず」(ライトさん)。野菜の食物繊維と水分は満足感をキープしてくれるのです。
葉物野菜
非でんぷん質野菜はどれもよいのですが、葉物野菜はよりパワフル。6つの研究をまとめて分析した論文によると、葉物野菜1.35人前(生で1と1/3カップ、もしくは調理済2/3カップ)を毎日とる人は0.2人前の人に比べ、2型糖尿病のリスクが14%少ないとロンドンの研究グループが明らかにしているのです。
フルーツまるごと
「フルーツまるごと(皮を含む果物全体)は糖尿病予備群の人にとってうってつけ。ただしジュースやスムージーの形でとらないように」とライトさん。
「スムージーは凝縮された栄養の供給源になるのですが、食物繊維が少ないため満腹感を得られずに、カロリーをとることになるのです」(デニソンさん)。だから飲むのではなく、1日の中で間隔を空けて食べます。
全粒の穀物
全粒の穀物を取れば、食後の血糖値の上がり方がより緩やかになり、2型糖尿病のリスクが低下することがわかっています。全粒穀物の食物繊維は、炭水化物の消化を遅らせ、インスリンの必要量を減らします。全粒穀物は抗酸化物質と抗炎症性の栄養も含み、それは糖尿病の予防に役立つでしょう。
豆類
栄養学の専門誌クリニカル・ニュートリション誌で発表された研究では、4年以上にわたって2型糖尿病にかかっていない成人3000人以上を対象として食事の中身を追跡しました。すると、豆類、特にレンズ豆の消費量が最も多い人々が糖尿病のリスクが最も低いことがわかったのです。
卵、パン、米、またはベイクドポテトの半分を毎日豆類に置き換えることも、糖尿病の発生リスクの低下に関係していました。レンズ豆を含む豆類全般は、食物繊維が多く、たんぱく質のよい供給源になるのです。
ヘルシーな油
炭水化物もそうなのですが、脂質も「質」と「量」という2つの側面が大切になります。不飽和脂肪は、インスリン抵抗性の改善に関連するものとなります。ナッツ類、種子類、オリーブ油、キャノーラ油、アボカドなどを選びます。ただし、脂質はカロリーが凝縮しているので、分量にご注意。ほどほどの量なら、満腹感を高めるのにも役立ちます。
たんぱく質
たんぱく質には満腹感を長続きさせる効果があります。さらに、消化がゆっくりになるため、食事後に血糖値がゆるやかに上昇、またはゆるやかに低下します。魚、豆やマメ科植物、鳥の肉、牛肉の赤身のような植物性たんぱく質を選びます。
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