インドやそのほかのアジアの国々では、ターメリックはアーユルヴェーダで配合される薬剤の中心。さらに、カレー粉の主要な原料になっています。現在、スパイスやサプリメントに使われ、カレーや炒め物、スープのほか、スムージーなどに入れると見た目を明るくしてくれます。
「明るく色づいた食べ物には身体にいい植物の成分が含まれているのです。ターメリックは金色色。ほかにはなかなかありません」と、ドウン・ジャクソンさん。管理栄養士で栄養学者で、『The Superfood Swap』の著者です。
「ターメリックの主要な原材料であるクルクミンは炎症に抵抗してくれるのです。口の歯周病から心臓病まで、すべての病気は基本的に炎症から始まります。ターメリックを1日1杯スプーンでとるのがよい習慣」と、ジャクソン・ブラットナーさん。
スパイスラックにぜひターメリックを。なぜ価値があるかといえば、次のような理由があるからです。
1. 記憶力を改善してくれる可能性
カレーを多く食べている人は、さほどスパイスをとっていない人よりも認知機能テスト(記憶力、注意持続期間などを測るテスト)の点数がよかったそう。アジア人を対象にした研究からわかりました。科学者はこの効果はターメリックのおかげと指摘。アジアの食の主人公の力というわけ。
最近、この説はさらにはっきりとしてきたのです。たとえば、2018年3月の研究では51歳から84歳の人を対象に調べたところ、90ミリグラムのクルクミンのサプリメントを18カ月にわたって1日2回取る人では、プラセボ(偽物のサプリメント)を取る人よりも記憶力が高まると示されたのです。この研究は小規模なので、さらに追加の研究で研究結果を確かめる必要はありそうですが、「クルクミンの炎症に抵抗する効果がアルツハイマー病のような記憶力に関連した病気から脳を守ってくれる」と科学者は考えています。
2. 心臓病を撃退してくれる可能性
クルクミンの抗酸化、抗炎症作用は、糖尿病性心筋症(心臓の筋肉の病気)、不整脈(不規則な心拍)などの状態から心臓を守ってくれます。2017年の『ファーマコロジカル・リサーチ』誌の総説論文で解説されたものです。
3. 特定のがんをやっつけてくれる可能性
2015年に発表された『モルキュールズ』誌の総説論文によると、クルクミンは特定のがんを撃退してくれるかもしれないのです。これまでほとんどの研究は実験室の研究でわかったものですが、総説論文の著者は、「クルクミンが腫瘍細胞の活動を防いだり、遅らせたりする」と説明しています。皮膚がんや消化器のがんなどに効果がある可能性があります。
4. 変形性関節症の痛みを和らげてくれる可能性
アメリカでは障害の原因として最も多いのが変形性関節症。アメリカの関節炎財団によれば、アメリカでかかっている人は3080万人。2016年の総説研究によると、4週間クルクミンをとると、変形性関節症に既になっている人の痛みを軽くしてくれました。鎮痛薬のNSAIDs、グルコサミンと同じくらいの効果です。
5. 健康的な食べ物をよりおいしくしてくれる
「ミダスタッチ」(触ったものを黄金に変えてしまうギリシア神話のミダス王より)と呼ばれるくらい、ターメリックの味が好きなら、刺激の少ない食べ物も栄養豊富でしかも黄金色に。
(事実、野菜や果物を食べるために役立つのです。アメリカ疾病対策センターによると、フルーツや野菜を十分にとれているのはアメリカでは10人に1人だけですから)
「ターメリックをとる一番簡単な方法はゴールデンミルク」とジャクソン・ブラットナーさん。植物性または通常のミルクに、ティースプーンでターメリックを加えて、ブラックペッパーを加えます(彼女によれば、ターメリックの吸収を促してくれるとのこと)。ナツメグやハチミツのなかに振りかけても。調味料のスパイスの風味を高めることもできます。「ターメリック風味のケチャップ、マスタード、バーベキューソースを作ることができるのです」とブラットナーさん。
Maria Masters/5 Health Benefits of Turmeric