「骨減少症」と診断されたら、あなたの骨密度は正常より低いけれど、骨が折れやすくなる「骨粗しょう症」と分類されるほどではないという意味です。1000万人のアメリカ人の男女がかかっている骨粗しょう症とは異なり、骨減少症は病気ではありません。将来、骨粗しょう症になる可能性があることを示す「前駆(前触れの)症状」。「前糖尿病」という診断が、予防措置を取らないと2型糖尿病になる危険があると警告しているのと同じです。

骨減少症を引き起こす要素とは?

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女性は閉経によるホルモンの変化で骨の損失がスピードアップすることもあって、骨減少症になる確率が男性よりはるかに高いのです。男女とも、中年になると、骨はあたらしい骨が作られるよりも速く、身体の中に再吸収されます。アメリカでは推定で女性の50%以上と男性のおよそ3分の1が、骨減少症です。

骨減少症はこれといった症状が現れず、ほかの病気や医薬品が原因になることもあるため、診断と治療が難しくなっています。骨減少症のリスクが高い60歳以上の女性は、骨密度の検査を受けることをおすすめします。「DEXA」または「DXAスキャン」と呼ばれる、大腿骨頸部と脊椎のX線検査です。もっと若い女性でも、とくにリスクが高いと医師が判断した場合は、検査を受ける方が賢明かもしれません。

危険を高める要素は、家族に骨粗しょう症になった人がいる、ほっそりした体格、運動不足、甲状腺の活性過剰、アルコール乱用、化学療法または放射線治療を受けたことがある、白色人種またはアジア人の家系、など。コルチコステロイド、フェニトイン、プロトンポンプ阻害薬など、一部の医薬品も、骨の損傷を進めるとわかっています。

現在、多くの医師は、経口ビスホスホネート・アレンドロネート(フォサマック)、イバンドロネート(ボンビバ)、リセドロン酸(ケミファなど)など、骨粗しょう症の場合と同じ強力な薬で骨減少症を治療しています。ホルモン療法と同様、ゾレドロン酸と呼ばれる静注ビスホスホネート(リクラストなど)もよく使われます。

しかし、私は患者の骨折リスクを評価するまでは、骨減少症の治療に薬はすすめません。多くの場合、リスクは低く、骨粗しょう症を発症することはありませんから、薬は不必要です。医師は、骨密度だけではなく複数の要素を考慮するFRAXスコアという評価ツールを使って、リスクを判定できます。私が薬による予防治療をすすめるのは、FRAXスコアが高い、または骨折歴があるためにリスクの高い、どちらかといえば少数の骨減少症の人に限られます。

ライフスタイルを変えることで、骨減少症が骨粗しょう症に進むのを予防できます。アルコールとカフェインの摂取量の少ない健康的な食事に加えて、ウォーキングやレジスタンス・トレーニングなどの荷重負荷運動を定期的に続ければ、骨を強く保つために効果があります。

骨減少症を防ぐ3つの方法

野菜、果物、質のよいたんぱく源が豊富な、抗炎症性の食事を摂り、マグネシウム、ビタミンCとK、リンをたっぷり摂ります。 緑色葉物野菜や乳製品、強化食品などのカルシウムが豊富な食べ物を毎日少なくとも3回分食べていない場合は、1日700mgまでカルシウムのサプリメントを摂ります。 身体がカルシウムを確実に吸収するように、ビタミンD3(コレカルシフェロール)を毎日2,000 IU摂ってもよいかもしれません。

Andrew Weil, MD/The Secrets To Stronger, Healthier Bones

訳/STELLA MEDIX Ltd.

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