毎日使うコスメやシャンプー、石けんなど、どれも自分をキレイにしてくれるモノですが、その製作過程では、人間の安全のために多くの動物が実験をして犠牲になっているという現実があります。商品になって手元に届くとなかなかその過程を感じることはありませんが、この地球上で生きているなら知っておくべきだと思います。
そんな動物実験に対する意識の高まりは、ヨーロッパで顕著に見られます。今日3月11日から、EUで動物実験禁止令が施行されることとなりました。
この法律によって決められた主な内容は以下の通り。
EUによる「動物実験の全面禁止」の主な内容
・EUにて新たな化粧品と素材を販売したい者はすべて、世界のどこにあっても動物実験を禁止
・EU以外の国で動物実験が行われた商品でも、EUでの輸入販売は禁止 ※たとえその商品がEU以外の国々で販売が許されたとしても、EUでの販売は禁止
・対象は石けんから歯磨きまで、洗面用化粧品と美容製品を含むすべての化粧品に及ぶ
動物実験の廃止が可能になったのは、人工皮膚を使った試験や、今までの蓄積された実験データを組み合わせるなどして新たな安全性評価の仕組みを導入できるようになったからだそう。
全世界の80%の国で、化粧品開発のために動物実験が行われているのが現状ですが「Cruelty Free International 」という団体がデザインした「跳ねるうさぎ」マークがついた商品は、一切動物実験を行わずに商品を開発している会社のみに付与される、世界基準のラベル。
このラベルを持つ代表的なブランド「Body Shop」では、全商品が一切動物に実験を行わずに開発されています。さらに「跳ねるうさぎマーク」は、輸入される商品に動物実験が義務化されている中国の市場で、商品を販売しない会社にしか付与されません。
EUが踏み出したこの大きな一歩は、普段使うコスメ商品がどうやって開発されているのか考えるきっかけとなるだけでなく、今後アメリカや日本などの国々の方針に、どのように影響を与えていくか、今後注目されます。
そして、とうとう日本にもこの波がやってきました。日本の代表的なコスメブランド・資生堂が2013年4月以降に開発する化粧品と医薬部外品における社内外のすべての動物実験を廃止する、ことを発表しました。ただし書きがあるので、完全な廃止とは言えませんが、日本のコスメ界の流れを変える大きな一歩になるのは間違いなさそうです。
[Cruelty Free International ,Body Shop,資生堂:動物実験廃止に向けた取り組み]
photo by Thinkstock/Getty Images
(山縣美礼)