アメリカ睡眠協会(ASA)によると、アメリカ人のおよそ30%が、ときどきは不眠症に悩まされ、10%は深刻な睡眠障害。十分に眠れないことは、決して小さな問題ではありません。睡眠は食べ物と水と同じく、生きるために欠かせないもの。なんとかして、最低でも7時間が望ましいとされている睡眠時間を確保することが大切です。
寝る時間と起きる時間を決めて守る、午後14時以降はカフェインを摂らないなど、よい「睡眠健康法」を取り入れると、確実によく眠るために大いに役立ちます。
ここでは「もっとよく」そして「安らかに」眠るために効果があると、科学的に証明された5つの秘訣をご紹介します。
01.窓を開ける
でこぼこのマットレスや、隣で眠る人のいびきが安眠を妨げることはよく知られています。
でも、風通しが悪くても安眠できない? 「あまり知られていませんが、空気がよくないと、眠りが妨げられる場合があります」と、臨床心理学者で睡眠の専門家、マイケル・ブロイスさん。
幸いなことに、解決策はいたって簡単。一般家屋の室内環境と健康・公衆衛生の関連性という広い分野を扱う専門誌、『インドア・エアー』誌で報告されたオランダの研究によると、寝室の窓かドアを開ければよいだけ。
この研究では、眠っている間に吐く息に含まれる二酸化炭素がたまると、睡眠に影響するかどうかを調べるため、17人の志願者を5晩にわたり追跡しました。寝室のドアか窓を開けて寝た人と、開けなかった人を比べたところ、換気のよい寝室は空気中の二酸化炭素の量が少なく、よりよい眠りにつながったそう。
ほかにも、眠っている間に溜まる二酸化炭素の量を減らすと、翌日に眠気を覚えることが少なく、集中力が高くなるという研究結果があり、今回の研究で(参加者の人数こそ少ないものの)さらに裏付けられました。
02. 寝室に犬を入れる
混乱のもとなので、寝室にはペットを入れない方がよいと聞いているかもしれませんが、最近の研究では違う結果が。
アメリカの有名な総合病院、メイヨー・クリニックの科学者が行ったこの研究では、「アクティビティ・トラッカー」という睡眠の質や運動量を測る装置を使って、成人40人とそれぞれの飼い犬の睡眠を7晩にわたり調べました。その結果、寝室に犬を入れていた人は、睡眠効率(ベッドにいた時間に対する眠っていた時間の割合)が83%というとてもすばらしいレベルでした。
「ペットと一緒に眠ると、多くの人が和んで安心感を覚えます」と、この研究を行った、睡眠を専門とする医学博士のロイス・クラーンさん。
注意:犬を寝室に入れるのはよいのですが、ベッドには入れないこと。ベッドまで入れた人は、睡眠の質が低下しました。
03.朝起きる目的を持つ
意義のある生活を送ると、免疫系が強くなる、脳卒中のリスクが低くなるなど、たくさんの健康によい効果が。そして今回、あたらしい研究からもうひとつ効果が加わりました。
朝ベッドから出るためのよい目的、必要性、意義があると、よりよく眠れるそうなのです。年配の800人を調べたこの研究では、自分の人生が有意義だと思っていた人は、不眠症の一般的なふたつの原因、「睡眠時無呼吸症候群」と「むずむず脚症候群」になる割合がそれぞれ63%と52%低く、睡眠の質もよりよい結果でした。
どうすればもっと有意義な人生を送れるのかわからない? ではまず、賢明に目的を定めるとよいかもしれません。
研究によると、家族や友だちのために生きる、また社会的・政治的な活動に関わると、人生の満足度が高くなります。ところが、出世や昇進、物質的な利益の追求は満足度を低くするとか。
04.ナッツを食べる
もっとよく眠りたかったら、毎日の食事にナッツを加えます。安眠に関連する栄養素が豊富(マグネシウムやセレンなど)なうえに、定期的にナッツを食べると、睡眠に関連する脳波が強化され、眠りの質がよくなる可能性があるそう。カリフォルニア州ロマ・リンダ市にある非営利の大学で、医療機関でもある、LLUH(Loma Linda University Health)の研究結果によるものです
睡眠に関係する脳波を刺激するという点で、目立って効果的なナッツがあることも判明。例えば、ピーナッツは最も強い「デルタ波」の反応をもたらしましたが、ブロイスさんによるとこの脳波は睡眠周期の中で身体をリフレッシュさせる部分、深い眠りに関連します。またピスタチオは、睡眠のうち精神的な回復の段階、「急速眼球運動(REM)」に関連する「ガンマ波」の反応が最も強くなりました。
05.ブルーライトカットメガネをかける
夜にスマホやパソコンに夢中になっていると、おそらく眠れなくなります。それは、パソコンやスマホ、タブレット、テレビからさえ出ているブルーライトのせい。眠る時間だと知らせてくれるホルモン、メラトニンの生産を邪魔します。ベッドに入る1時間くらい前には止めるというのもひとつの方法ですが、もうひとつはブルーライトカットメガネを使うこと。
ヒューストン大学検眼学部の研究によると、2週間にわたってベッドに入る前の3時間このブルーライトカットメガネをかけた人は、夜間のメラトニン量がおよそ58%増えたそう。実際の生活では、寝付くのが早くなり、よりよく眠れて、睡眠時間も24分長くなりました、と、この研究の執筆者で検眼医のリサ・オストリンさん。
睡眠の専門家は、この新しいタイプのサングラスを強く支持しています。アメリカ睡眠医学会(AASM)の広報担当を務める医師のシャリニ・パルティさんは、自分でもこれを使用。「安価で、手に入りやすく、とてもよさそう」だとか。ブルーライトを遮るためにパルティさんがすすめるほかの方法は、特別なフィルターを画面にかける、反射防止レンズを使ってLEDライトの影響を打ち消す、パソコンやテレビなどの機械を「ナイトモード設定」に切り替える、などです。
Karyn Repinski/5 Research-Backed Ways To Sleep Better