美味しいものを食べると幸せな気分になると言いますが、食品によっては、本当に幸せを運んでくれるものがあります。それは、いわゆる幸せホルモン「セロトニン」の分泌を活発にするもの。「Top Santé」からそれらの栄養素と、その仕組みを紹介します。
トリプトファンを含むもの
image via shutterstockセロトニンは、脳内で、トリプトファンと呼ばれるアミノ酸から作られます。人の身体はトリプトファンを合成しないので、食品から摂取する必要があります。
(「Top Santé」より翻訳引用)
トリプトファンを含む食品としては、玄米、豆類、アブラナ科の野菜、卵、乳製品、肉類、ブラックチョコレート、バナナ、クルミなど多くが挙げられますから、毎日食べるのも難しくありません。アブラナ科の野菜は、具体的にはブロッコリーやカリフラワー、芽キャベツ、ケール、大根、かぶ、キャベツ、コールラビなど。多数ありますから、これまた1年中見つけるのに苦労はなさそうです。
糖質
image via shutterstock摂取したトリプトファンが脳にたどり着くのを容易にするのが糖質です。
糖質を摂取すると血糖値が上がり、インスリンが分泌されます。このインスリンは、血液中の(トリプトファン以外の)アミノ酸を筋肉に送り込むため、結果としてトリプトファンの脳へのアクセスを手助けすることになるのです。
(「Top Santé」より翻訳引用)
糖質を含む食品は、第一に、主食となる炭水化物。ごはん、パン、パスタ、じゃがいも、どれも大切です。また同誌は、トウモロコシや、ドライフルーツ、はちみつも例に挙げています。ダイエットの敵のように見なされがちな糖質ですが、過度な不足は幸せ気分を遠ざけるおそれがあることがわかります。
ビタミンB類とミネラル類
image via shutterstockトリプトファンからセロトニンを生成するには、トリプトファンヒドロキシラーゼとデカルボキシラーゼという酵素が必要です。これらの酵素はまたそれぞれが補因子を必要としており、その補因子は食品で摂取することができます。
(「Top Santé」より翻訳引用)
同誌が挙げるトリプトファンヒドラキシラーゼの補因子は、ビタミンB9、B3、鉄分、カルシウムです。ビタミンB9というと聞きなれませんが、これは葉酸のことです。ほうれん草、アスパラガス、枝豆、春菊などの野菜のほか、果物、レバー、豆類に多く含まれます。 またビタミンB3はナイアシンとも呼ばれるもので、魚介類や肉によく含まれます。
一方、デカルボキシラーゼの補因子として挙げられているのは、亜鉛、ビタミンB6、マグネシウム、ビタミンC。ビタミンC以外は、肉や魚介類、レバー、大豆類などに多く含まれる栄養素です。
ビタミンDとオメガ3
image via shutterstockビタミンDとオメガ3も、セロトニン生成を助けます。
ビタミンDはトリプトファンをセロトニンに変える二つの酵素を生成する遺伝子を増強します。(中略)オメガ3は、セロトニンに対するプロスタグランジンの生成を阻止し、ニューロン膜をより流動的にすることで、セロトニンの作用を促進します。
(「Top Santé」より翻訳引用)
ビタミンDを多く含むのはなんといっても魚。そのほかは、乾燥シイタケや卵、乳製品が挙げられます。オメガ3脂肪酸を多く含むのは青魚、くるみなどのナッツです。
これを食べれば幸せになれる食品がひとつあるわけではない
こうしてまとめてみてわかるのは、これを食べれば幸せになれるという食品がひとつあるわけではないということ。むしろ見えてくるのは、心がけたい食生活の傾向です。つまり、一週間単位でいえば、肉より魚を食べる比率を高くし、いろんな野菜や乾物を使った副菜も忘れず、豆料理や卵料理の出番もつくり、主食は抜かないというもの。加えて、おやつにはフレッシュな果物やナッツ、ブラックチョコレートを摂り入れると、さらに言うことなしに思えます。
また、これを見て私が思い出したのは、子どものころの食卓です。旬の野菜をどっさり使い、魚や卵、豆製品が目立つ料理が多かったように記憶しています。以前も書きましたが、欧米と比べて、まんべんなくいろいろな食材を少しずつ調理する日本の家庭料理は、すでにセロトニン分泌に役立っているのかもしれません。ちょっと気分を上げたい時、何を作ろうかと迷ってしまったら、子どもの頃の食卓再現を目指すのがよいかもしれないと思いました。