もしかしたら、私の周りに遅刻する人が多い、もしくは仕事柄(ライターは後まわしの達人!)なのかもしれません。でも、大人になってからの遅刻は、かっこいいものではありません。遅刻する側もされる側もイライラします。遅刻している側は、焦りっぱなしで嫌になります。人混みをかきわけ急いでデートに向かったり、『ホームアローン』さながらに空港のターミナルを走りぬけたり……。待っている側も、相手が来るまでの30分間はストレスフルです。
でも、改善策はあります。遅刻を克服するのに、重要なことはふたつ。心構えを変えること、そして時間内に終えるための簡単なコツをつかむこと。そこで今回は、時間に正確な人が、なぜきちんと予定を守れるのかを探っていきます。
状況のせいにしない
遅刻は、100%自分のせいです。厳しいようですが、それが現実。障害や妨げが多い今の社会では、何かしら起きます。でも、自分は被害者だといくら主張しても、何が起こったかは関係ないのです。どの専門家も口をそろえて、遅刻に言い訳は禁物です、と言います。「時間を守れるかどうかは、いつもあなた次第です」と、『1440分の使い方 成功者たちの時間管理15の秘訣』の著者で、時間管理エキスパートのケビン・クルーズ氏は言います。
彼は、昔の上司とのこんな会話を紹介しています。「若いときに、仕事に10分遅れたことがあり、いつも通り家を出たのに、高速でひどい事故があってどうすることもできなかった、と上司に説明しました。すると彼はこう言ったのです。「昨日の時点で、今朝9時きっかりに到着したら100万ドルをあげよう、と私が言っていたとしても、事故のせいで遅刻していたかい?」と。その瞬間に、私は気づきました。もしそう言われていたら、家を早く出るか、前の晩泊まってでも時間を厳守しただろう、と」。毎晩会社の近くに泊まれということではありませんが、この話から、大事なときに時間を守ることは常に可能だ、ということがわかります。
他人の時間を大切にしている
遅刻するのは失礼です。そして、あなた自身に問題があると肝に銘じて。「だれかを待たせることは、非常に無礼」と言うのは、ポッドキャスト『Awesome Etiquette』のホストで、エチケットエキスパートのリジー・ポスト氏。「あなたが今していることのほうが、相手を待たせることより大事、というメッセージを暗に伝えていることになります」。
クルーズ氏も同じ意見で、「相手を侮辱しているのと同じことです。相手の時間より自分の時間が大事と言っているようなもの。しかし、それは違います。あなたがだれであれ、時間は平等に与えられたものです」と言います。
一部の研究者によれば、いつも遅れる人には、マイペースで時間に対してよりフレキシブルな、B型の人が多いんだとか。実際、ある研究で、B型の人は1分を77秒と感じたのに対し、A型の人は58秒と感じた、という結果が出ました。
性格をすぐに変えるのは難しいですが、ポスト氏のおすすめは、視点を変える実験をしてみること。「携帯電話や気が散るものは持たずに、1分間座ってみて。時間がとても長く感じますよね。だれかを待つというのは、そんな気持ちなんです」。
時間を悲観的にとらえている
楽観主義が人生をよくする、と信じる私たち。でも、時間の話になると、また別です。いつも遅刻する人は、「まぼろしの時間」に従って行動します。つまり、記録的なスピードでどこかへたどり着けた、または何かができた、という普段とは違う状況を基準にするのです。「一度、20分で会社に到着した、という経験があると、通勤は20分と思い込みます。でもそれは、朝6時に家を出たときの話。普段は朝8時に出るので、交通機関の遅れを考えると少なくとも35分はかかってしまいます」と語るのは、『うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか』の著者で、時間管理エキスパートのローラ・ヴァンダーカム氏。「でも、通勤時間は35分と考え直すことはしません。一番うまくいった場合のことしか、頭にないからです」。
『Journal of Personality and Social Psychology』誌で発表された研究によると、何かをするのにかかる時間を想定するとき、多くの人は似たような過去の経験を活かそうとはしなかったとのこと。研究者によれば、対象者の予想は「楽観的すぎる」そう。
あなたも「まぼろしの時間」を経験する機会はあるかも。とても気持ち良いですよ! でも、時間を計る基準にはしないこと。いつも時間を守れないという方は、ヴァンダーカム氏おすすめの、簡単な現実チェックを試してみてください。「さまざまな状況で、タイマーを使って、始めた時間から終えた時間までを計ります。1週間実施したら、平均時間を出してみて。数値という結果で示されれば、それを実際にかかる時間として受け入れるしかありません」。また、かかると思った時間に、少なくとも15分プラスして見積もる方法も効果的。時間に遅れるということも減りそうです。
常に逆算して行動する
遅刻する人は、未来に向かって計画しがち。つまり、何かをするのにかかる時間をざっくりと予想し、だいたいの開始時間を選んで、目標の時間までに終わらせようとします。たいていの場合、これが問題の始まり。「未来を見通そうとすると、非常に漠然としたものになります。時間の想定が甘く、よく遅刻する人は特にその傾向があります」とポスト氏は説明します。「たとえ数時間程度でも、時間枠を決めてしまうと、正確な時間を確保できなくなります」。
なので、足し算するのではなく、引き算をすること。「終えるべき時間を決めて、やるべきことひとつひとつにかかる時間を引いていきます。すべて引くと、正確な開始時間を出すことができます」とポスト氏。 なぜこのほうがよいのでしょう。「まず、最初に締め切りを考えて計算するので、しっかり守らなければと重んじるようになります」とポスト氏。「また、開始時間と終了時間がしっかりと決まってくるので、より現実的な予定が立てられます」。
複雑なタスクは、ブレイクダウンする
遅れてしまう主な原因のひとつは、大きなプロジェクトには、時間のかかる小さな作業がたくさん含まれていることを忘れ、大きな最終目標ばかりに目がいってしまうこと。
夏のBBQパーティを主催するなら、思いっきりやりたいですよね。装飾、掃除、準備、料理などやることがたくさん。スーパーに買い物も行かないと。でも、週末はレジ前でかなり並ぶのを忘れていませんか? 準備して、シャワーに入って、服を選んで、髪をセットしてお化粧もして……全部でどのくらいかかるか計算してみましたか?
「遅れてしまったとき、ホストはたいてい、準備に見落としがあったと言います。野菜を洗って切る時間や、肉のマリネを漬けておく時間を考えていなかったなど。床にモップをかけるのが遅く、乾くまでお客さんを待たせてしまうことも」とポスト氏。「パーティであれプロジェクトであれ、事前に細かな部分までリストにして、自分が何をすべきなのか知ることで、万全な準備ができるんです」。
科学によっても立証されています。イリノイ大学のある実験によれば、大きなプロジェクトを小さいタスクにブレイクダウンすることで、対象者は実際に終わる時間をより正確に予想することができるようになったとのこと。
また、何か作業をするときは、ひとつのタスクに集中して。サンディエゴ州立大学の研究では、マルチタスクをしてしまうと遅れが発生しやすいことが判明。さまざまな方向へ意識がいってしまうと、時間の管理が難しくなるためです。
時計をしっかり見ている
つい時間を忘れて遅刻してしまうこともあります。掃除に夢中になってしまったり、Facebookの写真を見ていて没頭してしまったり。 解決策は簡単。「約束があるなら、出発する10分前にアラームが鳴るように設定して」とヴァンダーカム氏。「空想にふけったりぐだぐだしていても、すぐに現実に引き戻してくれます」。
Maggie Puniewska/6 Habits Of People Who Are Never Late
訳/Seina Ozawa