いま、いじめが増えている
アンさん(31歳、仮名)は秋の休暇でシカゴに帰省したとき驚いた出来事が。Bからの嫌がらせのテキストメッセージやEメール、電話が待っていたからです。Bは共通の知人を介して出会った女性。アンと女友達の輪に入りたがっているようでした。ですが、アンさんが理解してくれなかったという理由で、怒りを向けて来るようになったのです。
「ニセのインスタグラムアカウントを作って、私をほのめかしてふざけた写真を投稿。私がプライベートのSNSページを作ったときには、親友の“秘密を暴露する”というブログを始めて、私たちの“真実を知っている”などと書き込んできたのです」(アンさん)本人に抗議した後、アンさんは完全に無視。嫌がらせを完全にやめるまで1カ月近くかかりました。
数カ月後、アンさんはまだ何か起きるのではないかと心配していました。「Bが私のSNSなどを監視して、嫌がらせの方法を探していそうで怖い。私がこれでいじめられたと思うのは正直おかしいかもしれません…。別の女性にも子供のようにいじめられたことはあるから」とアンさん。
アンさんの経験は変わったことではないとも。米国整骨医協会の調査(ハリス・ポールさんが実施)では、大人によるいじめを経験したのはアメリカ人の31%にのぼり、いじめが増えていると感じているのは43%との結果。
子どもじみた「いじめっ子メンタリティー」は、無視できない健康への影響も。被害に遭うと仕事や睡眠に支障が出たり、頭痛や筋肉の緊張、うつや不安を感じたりするから。米国整骨医協会の調査によると、いじめを受けることで“心が折れる”と答えたのは全体の19%でした。
大人のいじめはどう仕掛けられるか?
「子どもの世界のいじめはわかりやすいものです。遊び場での悪口とか、先生の見ていない場所で突き飛ばすとか。大人のいじめはやり口がより巧妙で、たいていは言葉による嫌がらせ。例えば、嫌み、からかい、批判、ものまね、こきおろしなどです。この種のいじめは、たいていジョークの形になっていて大目に見られるか許されてしまうのです」とカルフォルニア州サンタローザの臨床心理学者、博士のカーラ・マリー・マンリーさん。
もう一つのいじめは“静かな攻撃”。ハリス・ポールさんによると大人の4分の1が“村八分”を経験したそう。よくあるのは、うわさ話、仲間外れ、間違えたふりをしてあなたの駐車スペースに停めること、などです。
そしてある疑問。なぜ「いじめ」が起きるのでしょう?
大人が他人を攻撃するときは、「自尊心などの根深い問題がからんでいます。他人の健康や幸福に踏みにじって、他人よりも優位に立とうとするものなのです」(オステオパシー医師、ロサンゼルスの精神科医、ロサンゼルス郡子ども家族サービスの医療責任者のチャールズ・ソフィーさん)
いじめは職場だけにとどまりません。パートナー、教授、同僚、成長した自分の子どもからまで。「毎日いつでも起こりえるのが大人のいじめです」(ソフィーさん)
自分をどう守るか?
いじめに立ち向かうのは得策ではないとも。「ほとんどのいじめは、無責任に行われているもの。立ち向かうとむしろ損を被ることも」。マンリーさんはその代わりに仲間を探すことを勧めます。職場でのいじめならば、人事部に相談。家庭なら、結婚カウンセラーや他の専門家なら指導、手だてを講じてくれるとのこと。「暴力があったりするなら公的な相談先にへの電話がベスト」(マンリーさん)。
一方、ソフィーさんはこう呼びかけます。「これは自分のことではないと。たとえそう思えても。いじめの目的はあなたを弱いと思い知らせること。自分がしっかりしていると思えば、いじめにさほど動揺してなくて済むんです」。
いじめられている他人を助けるには?
誰か他人がいじめられているのを見たらどうすべきでしょう?
「その人の健康に危害が及びそうなら、やはり公的な相談先に電話を。そうでなければアドバイスとサポートを申し出て」(マンリーさん)。もし職場なら上司や人事部にトラブルを報告するよう励ますといいとのこと。
「そして大切なのは、いじめを見て見ぬふりをしないこと。無責任ないじめはもっと攻撃的で悪質になっていくんですから」(マンリーさん)
Stephanie Booth/One-Third Of Adults Say They've Been Bullied. What's Going On?