そば、味噌、野沢菜、きのこ、山菜類、野菜類、りんごや巨峰やブルーベリーなどの果実類と、気候や土地柄を生かした名産品もあれこれ。平地が少ない地域や標高が高い地域では、昔から米の代わりに雑穀が栽培され、今のように雑穀ブームがおこる以前から、日常的に雑穀を食する文化が根付いてきました。
私の生まれた静岡や、現在暮らす東京から、長野はそう遠くないため、子どもの頃から今に至るまで、旅でよく訪れています。この数年以内に、長野市、上田市、小諸市、軽井沢町、松本市、諏訪市、下諏訪町、伊那市、木曽町、飯田市と、さまざまな土地を訪ね、老舗や名産品を取材してきました。夜には温泉につかって体を休めるのも習慣。長野は温泉に恵まれた温泉王国でもあるのです。
長野県は昔から教育に力を入れていることで知られていますが、今では日本一の長寿県として有名。長野県には「健康増進課」なる課が設置されているほど、健康への意識が高い土地柄。野菜の摂取量が多いことや、自然環境など、いろいろな要素が健康や長寿を支えていると考えられます。
長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」の2階にはイベントスペース、4階にはコワーキングスペースが。1階のショップスペースには、そんな健康長寿県ならではの食材がずらりと並んでいます。併設のバルカウンターでは、時期によってメニュー内容は異なりますが、長野産のワインや日本酒、ごはんや味噌汁、おやきなど、長野の自慢の食を味わうことができます。個人的には、長野県民にはなじみ深い「牛乳パン」が日替わりで入荷するのも嬉しいところ。銀座に赴くたび立ち寄るアンテナショップの一つです。
「カリンあめ」原田商店
長野県では何百年も前から、マルメロのことを「かりん」と呼んで栽培してきました。かりんはそのままではとても硬く、加熱することで果肉が柔らかくなるので、砂糖漬、蜂蜜漬け、果実酒、ジャムに加工するのが一般的。古くから漢方薬としても利用され、せき止めや、喉の痛みを和らげる効果があると言われています。かりんが収穫される秋になると、長野の各家庭では、かりんを甘く漬け込み、風邪の予防に役立てる習慣が受け継がれています。
長野県産のカリン果汁を時間をかけてコトコト煮込み、水あめと砂糖で仕上げたのがカリンあめ。無添加なので安心して味わえます。名前に“あめ”とついていますが、トロンとなめらか。ヨーグルトと混ぜたり、お湯や炭酸や牛乳で割ったり、パンやホットケーキとも好相性。喉のために、スプーンですくってそのまま舐める人もいます。 花九曜印と書かれたラベルも、昔ながらの懐かしいデザイン。350gの瓶入りで600円代と値段も手頃で、家に常備しておきたい長野の味です。
「どぶろく」黒松仙醸
長野県伊那市の高遠町は、春になると高遠城址公園がピンク色に染まる、桜の名所としても知られています。江戸時代に高遠藩の元で栄えた旧城下町で、幕末の慶應2年から続く「黒松仙醸」。地元の契約農家が栽培した品質のいい酒米で酒造りをおこなっています。
「銀座NAGANO」の冷蔵コーナーで見つけて、大切に持ち帰ったのが、黒松仙醸の「どぶろく」。原材料は米と米麹。お米が持つまろやかな甘みと、ヨーグルトを思わせるキリっとした酸味が際立つ濁酒。酵母が発酵しているときに出す、シュワっと舌触りのいい炭酸ガスと、どぶろくならではのとろみとが重なりあって、独特の香味を織り成します。
アルコール分は6度。食前酒として女性も飲みやすく、長野県の県鳥・雷鳥の親子が描かれたラベルも愛らしいので、食事会の手みやげにもおすすめです。
「糸寒天」小笠原商店
内陸に位置する長野県ですが、海藻を使った寒天の製造量は日本一。寒天は、その文字が表すように、天草を煮出した汁を固めた生天(ところてん)を、寒い屋外で凍結乾燥と天日干しを繰り返して作られています。長野県の諏訪地方は冬の寒さが厳しい盆地で昼と夜の寒暖差が大きく、寒天の製造に適した気候だったことから、江戸時代より農家の副業として寒天製造が発展しました。
寒天は、カロリーゼロで食物繊維やミネラルが豊富。便秘が解消されたり、基礎代謝量があがったり、満腹感を得やすいのでダイエットに効果があったり、健康的な食材としてよく知られた存在です。
この「糸寒天」は、スープやサラダの具材、牛乳かんの材料として、大活躍。それから、お米2号に対して1gほどの糸寒天を加えて炊飯すると、ふっくらつやつやのお米が炊き上がります。
[銀座NAGANO]
住所:東京都中央区銀座5丁目6-5 NOCOビル 1F・2F・4F
電話:03-6274-6015 10:30~20:00(1F・2F)
コメント
コメントを書く