光が減ると脳の機能も低下する
image via Shutterstock2017年12月Hippocampus誌に発表された研究によれば、光の少なさは、記憶力と学習力を減少させるのです。これは、ミシガン州立大学がナイルグラスラットを使った観察研究。ラットを2つのグループに分け、片方は、明るい環境と暗闇を12時間ずつ繰り返すサイクルで、もう一方は、冬のような薄明りの環境と暗闇を12時間ずつ繰り返すサイクルで、4週間飼育しました。
その結果、(冬の薄明りグループのラットは)脳の海馬の機能が30%減少していることが観察されました。
(中略)また、神経栄養因子も大きく減少していることがわかりました。神経栄養因子は、海馬内でのニューロン間のコネクションの維持を助けるものです。
(Top Santé より翻訳引用)
海馬は、空間学習能力や記憶力にかかわる脳の部位です。そのため、冬並みの光しか浴びなかったラットたちは、それまでできていた空間記憶をチェックするタスクができなくなっていたそうです。
駐車場で車を探す日
それを人に当てはめた説明を読んで、私もドキッとしてしまいました。
共同執筆者である心理学のAntonio Nunez教授は、「ショッピングセンターや、映画館で数時間過ごした後、駐車場の車を見つけられない人と似かよった現象」と言います。
(Top Santé より翻訳引用)
実は、ごく最近2度も、駐車場に停めた車を探し回ったところなのです。自分で言うのもなんですが、私は方向感覚が良い方で、初めての土地でも滅多に道に迷うことがありません。それなのに、さっき自分で停めた車を探す日が来るとは......と、われながら、情けなくなっていました。
おりしも、私の住むフランスは、この冬、観測史上日照時間が最少だったことが記録されたところです。フランス北部の1月は、10日で2時間余りしか太陽が顔を出さなかったというくらい、薄暗い日々が続きました。
駐車場で車を探すことになったのも、もしかしたらこの日照時間の少なさのせいだったのかもと、この研究を読んで深く納得した次第です。
工夫したい光の浴び方
また、この研究の続きは、まったくもって嬉しいニュースです。
幸いなことに、(空間記憶の衰えたラットも)その後新たに4週間、明るい光を(1日12時間)浴びる環境に置かれると、元通りの能力を取り戻しました。
(Top Santé より翻訳引用)
つまり、冬の間も、屋内の電気は明るめに設定し、天気のいい日は、適度に太陽に当たるといった工夫をすることで、脳の機能をより良く保つことができるのです。
また、春になれば、記憶力も学習力も再び活発になるということ。春を待ち遠しく感じる理由がまた一つ増えました。
[ Hippocampus,Top Santé ]