半月型の薄紅の餅皮で包んでいるのは、押し鮎にみたてた牛蒡と、京都風の雑煮を想起させる白味噌餡。押し鮎などの固いものを新年に食べて歯を丈夫にし、長寿を願った、平安時代の「歯固めの儀式」を簡略化したお菓子と伝えられています。
少し前までは京都の和菓子屋以外ではあまり作られていない印象がありましたが、この数年で東京でも以前にも増して見かけるようになりました。昨日、何気なく通りかかった和菓子屋の店先に、花びら餅がずらりと並んでいたので、求めて帰っておやつの時間に。
やんわりときめ細やかなお餅と、甘い牛蒡に、甘い白味噌餡。キンと冷える真冬の午後ですが、心の内に、ひとひらの花びらが舞い込んだよう。ゆっくり静かに噛み締めながら、今年はさらに、季節ごとの和菓子を味わえたらと、思うのでした。
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