とはいえ、いつなんどきでも気づいているのは最初はなかなか難しいものです。そこで、マインドフルネスのクラスなどでは、まずは気づいている時間やシーンを区切ることをおすすめしています。たとえば、朝食の間、歯磨きのとき、食事の最初の5分間、バスタイム、家から駅までの道のりなど、そのときだけは自分の感覚、思考、感情に気づいているようにする。そして、気づくという感覚を身につけ、その時間を増やしていくのです。
体感覚、五感で感じる刺激に気づいている練習は、以前ご紹介した食べる瞑想や歩く瞑想がトライしやすいでしょう。体感覚や五感に耳をすませるのは、今この瞬間にいるための方法です。過ぎ去った過去でもなく、まだやってきていない未来でもなく、今この瞬間という現実を生きる。いつでもその状態であれば、それはつまり、マインドから自由になっているということです。なぜなら、マインドは過去、あるいは未来という幻想を生み出し、その幻想の中でのみ生きているものだからです。
そして、自分の思考や感情に気づいていることもマインドの支配から抜け出す方法のひとつです。誰かの言動によって心や思考が動いたときや、あるいは自分が何かをしているときの自分の思考や感情。
たとえば、待ち合わせの相手が約束の時間より遅れてきたとき。イライラしたり、なんてだらしないひと! なんていう思考が湧いてきたとしたら、そのことにただ気づきます。善し悪しはなく、ただそれがあることを認めること、気づくことは、とても大切です。これまでにも、何度かそんなことをお話ししました。今回は、そんなふうに感情が動くときだけでなく、何気ない日々の自分の思考にも目を向けてみることをおすすめしたいとおもいます。
今日の1枚:自然を見ていると、物事は刻一刻と変化するんだなあと実感します。過去を思い出したり未来に思いを馳せている間に、目の前にあるそれは、どんどん変化していきます。自分の頭の中の幻想をみるか、目の前の現実をみるか。それは自分で選べるのです。
>>明日の後編に続く