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まるで現代アート。食べられる芸術「THE OYATSU」とは

2016/07/01 08:00 投稿

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先日、まるで現代アートのようなおやつをいただきました。

クリエイションの視点で食との新しい出会いを考えるプロジェクト「THE OYATSU」では、1年を通じて、12人のシェフたちがオリジナルおやつを開発しています。

それは月に一度のイベントでしか食べることができない特別な作品です。

人の心に引っかかる「CUBE」

今回いただいたのは「CUBE」と名付けられたおやつ。作り手は、富ヶ谷のレストラン「PATH」の後藤裕一さんです。

「オテルドゥミクニ」「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」を経て、「メゾン・トロワグロ」ではアジア人初のシェフパティシエに。2014年に、富ヶ谷に「PATH」をオープンしました。

メレンゲの白い立方体(まさに「CUBE」!)を、スプーンで叩き割っていただきます。乾燥させたメレンゲのなかには、ブラックベリーをシェリービネガーでマリネしたものが入っています。

また、渋谷にあるチーズスタンドさん特製「ストラッチャテッラ」と呼ばれるチーズも入っていて、口のなかで、酸味、塩味、メレンゲのほのかな甘みが三位一体に

「CUBE」というタイトルのOYATSUについて、後藤さんはこう説明します。

「『わー、なんだろう?』と、お客さんが一瞬考えるのが大事。料理でも、デザートでも、ケーキでもない。

メレンゲは甘いのですがクリーミーなチーズとマリネしたブラックベリーの酸味をそれぞれ楽しんでもらうところがおもしろいと思っています。

さらに、固体ひとつで完結させるのが『おやつ』だと思って作りました」。

たしかに、見た目ではまったく何なのかわからないところにワクワクしました。

パティシエはクリエイティブ

また、季節や旬の食材ありきでレシピを作るのが一般的ですが、後藤さんのアプローチはユニークです。

「パティシエは、乳製品、砂糖、粉と形がないものからモノを作ります。0から1を生み出す仕事はとてもクリエイティブ。また、僕は自身をパティシエではなく『レストランパティシエ』だと思っています。

お菓子屋さんのパティシエの場合、テイクアウトを前提にしたり、ケースに並べられるような均一な大きさで発想し、作ることが多いと思います。

一方で、コース料理の中のデザートは自由です。形はもちろん、温かいスフレを食べてもらって、何を感じてもらうか。冷たいグラニテというシャーベットを、コースとデザートの間にはさんで、口の中をリフレッシュしてもらうこともあります」。

三ツ星レストランで学んだ「不均衡」の表現

空気感と共に、発想のキーとなるのが「不均衡」。不均衡さを大事にするのは、後藤さんがある人物から受けた影響があるのだとか。

「『メゾン・トロワグロ』で働いているときに、不安定なものが心を揺さぶるのではないかと考えるようになりました。オーナーシェフのミッシェル・トロワグロの考え方は斬新でした。

彼は現代美術が好きでマーク・ロスコの絵にインスパイアされて作ったものがあるのですが、色と色の間にできるにじみのようなものを表現していて、それを見たときに心がざわっとしたんですね。

綺麗に色づけされていない不均等な部分、その不安定さや不均衡さに、人の心に引っかかるものがあると思います」。

スペシャルな「おやつ」の裏には、作り手の緻密な設計図があるんだなとしみじみ。

また、心を揺さぶるものは、誰かが考えた「解」なんだと感じました。

そこにいたるまでの「式」をひも解くことで「解」のおいしさもより一層際立つような気がします。

PATH

住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-44-2 A-FLAT 1F

電話:03-6407-0011

営業時間:8:00〜15:00(LO14:00)、18:00〜24:00(LO23:00)

定休日:月、月1回日曜

[THE OYATSU]

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