日本では6歳くらいからだと言われていますが、アメリカの子どもたちは1〜2年成長が早く、4歳くらいから乳歯が抜け始める子もいるのです。
どうして自分の歯はいつまでたっても抜けないんだろうと、娘はずっとその日を待ち焦がれていたのでした。
大人からすると前歯が抜けているなんてちょっと笑ってしまいますが、子どもたちにとっては誇らしくカッコイイことなのです。
子どもたちにとって、歯が抜けるのが待ちきれない理由はもう一つあります。
アメリカでは乳歯が抜けた歯を枕の下に置いて眠ると、夜中にTooth Fairyという歯の妖精がやってきて、お金を置いていってくれる、という風習があるのです。
自慢げにニカ〜ッと微笑みながら「きのうフェアリーがうちにきたんだ〜」「えー!?いいなぁ〜!」なんていう会話を本気でしている子どもたちの可愛いことといったらありません。
以前から妖精についての本を何度も読んでは、"いつか会える日が来ますように"と願っていた娘は、胸がドキドキしてなかなか眠れないようで、何度も寝返りを打っていました。
どうにかやっと眠りに着いたので、静かに枕の下に手を入れ歯が入った箱を取ると、中には妖精宛の手紙も入っていました。
『妖精さん、来てくれてどうもありがとう。あなたのお名前はなんですか?』
と書いてあるではありませんか。
とりあえず適当に名前を考えて返事を書こうと思ったのですが、なかなかいい感じのものが思いつきません......。
そこで、妖精の名前を調べてみるのも面白いかも、とネットで探してみることにしました。
妖精についての情報は想像以上に面白く、昔撮られたという妖精が写った白黒写真などはまるでちょっとしたアートで、見出すときりがありません。
そのうち『The Original Fairy Name Generator』という、その子だけの妖精の名前を教えてくれる便利なサイトを見つけました。
さっそく娘の名前を入れてみると、"ヘムロック・ハートフライ"という女の子の妖精の名前が出てきました。どこに住んでいて、どんな事が好きで、どんな格好をしているかまで書いてあります。
さっそく、娘の書いた手紙の端に『Thank you! from Hemlock Heartily』とサイン付きのお返事を書き、1ドル札を折って小さな箱を作り、中に数セントと抜けた歯を入れて刺繍糸でリボンを付け、娘の枕の下にコッソリと戻しました。
翌朝、娘の喜びようといったら! 私は夜中までつい妖精を調べるのにハマってしまい少し寝不足でしたが、娘のニカッとした満面の笑みを見たら、朝から何とも幸せな気持ちになりました。
「本当に妖精が我が家に来ていたのかもしれないなぁ......」
そんな気がした特別な朝でした。