FOREST島人通信

『FOREST 島人通信』2015.7.15号

2015/07/16 00:00 投稿

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▼ 2015.7.15号
▼ 『FOREST 島人通信』
▼ FOREST ISLAND
▼ http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel
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▼ご挨拶 

 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

 

私事で恐縮ですが、19日は森島の誕生日でございます。

 

それを記念(大げさな!)しまして、心霊スポットで一人で誕生日をささやかに祝いたいと思います!

 

放送は森島の誕生日前日、18日午後8時からスタートし、まずはいつもの

一人配信と同じく、心霊スポットを巡ります。

 

そして、日付が変わりましたら、心霊スポットで盛大に……とはいきませんが一人で自分の誕生日を祝います!

たぶん、ケーキとノンアルコールシャンパンくらいになると思うのですが(笑)。

あんまり派手にやっちゃうとね……呪われたりしてもヤですから(本気)。

 

基本的に、心霊スポットにたどり着くまでの車載配信はどなたでもご覧いただける無料配信で行い、心霊スポットにたどり着いてからはFOREST ISLANDの会員様のみがご覧いただける会員限定放送となります。

 

しかし!

今回は誕生日特別企画ということで、誕生日のお祝いシーンのみはどなたでもご覧いただける無料配信で放送いたします。

 

一人でも多くの方に祝っていただけると嬉しいです!

 

というわけで、放送は7月18日(土)20:00からです!

 

http://live.nicovideo.jp/watch/lv227846182

 

実は……誕生日だからプレゼントくれ!!!

ではなく、日頃のご愛顧の感謝を込めて、プレゼント企画というのも考えております。

詳細につきましても放送内で発表いたしますので、ぜひお見逃しないようにお願いいたします!

 

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    FOREST ISLANDホラー劇場『教壇に立つ霊』②

 

ふと気がついて腕時計を見ると、9時半を少し回ったところを指していた。

授業もそろそろ終わりにさしかかる頃だ。

もしかすると、先ほどの主任が教室を閉めに来るかも知れない。もしこの教室にいるところを見つかれば、今後は鍵をかけられてしまうかも知れない。そうなったら、せっかく見つけた自習の場所が駄目になってしまう。

そう考えたひとみさんは、早めに切り上げて帰ることにした。今取りかかっている問題を片付けたら帰ろう。同じ姿勢でいたから凝り始めてきた肩をぐるぐると回し、ひとみさんは問題集に向き直った。

その瞬間だった。

ひとみさんのすぐ後ろの机が鳴った。

机がきしむとか、そんな音ではない。誰かが机の脚を蹴飛ばしたような、高い金属音だった。

ひとみさんはハッとして振り返った。

何か天井から落ちてきたのかと思ったのだった。

しかし、何もそれらしいものは見あたらない。机も椅子も、何もなかったように整然と並んでいた。

少し薄気味の悪いものを感じたが、ひとみさんは取りかかり始めた問題に戻ることにした。

早く片付けて帰ろう。

だが、今まで集中できていたのが嘘のように、ひとみさんは気が散って仕方がなくなってしまった。なぜか、後ろが気になるのだ。

しばらく頑張ってみたが、とても問題が解ける気配がないので、ひとみさんは帰ることにした。ちょうど時計の針も45分を回ったところだ。他の生徒たちの波に乗って帰ろう。そう考えて片付けを始めた時だった。

肩の辺りに、生暖かい風を感じた。教室に備え付けの暖房ではない。そもそも暖房がついていないのは先ほど確認済みであった。まるで、息を吐きかけられたような生ぬるさ。

そしてその刹那、ひとみさんは確かに聞いたのだ。

「ふうっ」という、誰かのため息を。

 ひとみさんは悲鳴を上げると、学習用具も鞄も放ったらかしにしたまま教室を飛び出した。よろめいたが、構わず廊下を駆け抜けると外階段に出る扉を体当たりするようにして開けた。

 目の前に階下へと続く階段が現れ、ひとみさんはその一段目を踏み外した。あっと思う間もなくバランスを崩し、踊り場に向けて真っ逆さまに転げ落ちる。鉄製の柵が目の前に迫った瞬間、突然目の前に現れた影が手を伸ばし、ひとみさんの体を支えた。

「大丈夫か?」

 先ほどの主任だった。

 足を少しひねったものの、幸いにも頭は打たずに済んだ。

 ひとみさんは間髪を入れず、今教室で起こったばかりのことを説明した。

 動転していたので、まともな説明になっていたかも分からない。しかし主任は終わりまで聞かず、何が起こったのかを察したようだった。

「だから駄目だと言ったろ」

 ぽかんとしているひとみさんを、主任は教室まで連れて行った。

「嫌だ。入りたくない」

 そう言うひとみさんを廊下に待たせ、主任は一人で教室に入ると、ひとみさんの荷物をまとめて持ってきた。

 差し出された荷物を受け取ったひとみさんに、主任は声を潜めて言った。

「知りたいか?」

 恐怖心もあったが、ひとみさんは頷いた。

「誰にも言うなよ」

 主任はそう言うと、教室の中に手を伸ばし、電気を消した。

 教室の中を暗闇が支配する。

 言われたことの意味が分からず、ひとみさんは主任を見た。

「よく見てみろ。教壇の辺りだ」

 言われて教壇に目をこらすと、何やらうっすらと影のようなものが見える。

 やがて目が慣れてくると、それは人の形になった。

 透き通った、背広姿の男性だった。教壇に立ち、何かを話しているように見える。その姿はうっすらと透けており、奥の窓とカーテンを見ることが出来る。

 息を飲んだひとみさんに、

「出るぞ」

 そう主任は声をかけ、二人は外階段に出た。

 主任の話では、男性は数年前に亡くなった塾の講師なのだそうだ。

 試験間近で、毎晩残って準備をしていたのだが、ある朝、倒れたまま亡くなっていたのを発見された。

 それがあの教室だそうで、それ以来、その講師の幽霊が教壇に立ち、授業を行うようになったということだ。

「だからあの教室は電気も点けっぱなしにしているし、よほどのことがない限りは授業でも使わないんだ」

 そう主任は説明した。

 誰にも言うなと何度も念押しをされ、ひとみさんは家に帰った。

 後日、訊いてみたのだが、友人はあのとき、教室の中に漂う何かしらの気配を感じ取っていたのだそうだ。

「ひとみ、霊感なさそうだから大丈夫だと思ったんだけどさ」

 友人は人ごとのようにけらけらと笑った。

 ひとみさんはその後、4階には決して立ち入ろうとしなかった。

 そして受験を迎え、幸いにも第一志望の高校に合格し、塾を辞めた。

 ひとみさんが高校に入学してしばらくした頃、老朽化を理由に塾は少し離れた新しいビルへと引っ越した。

 しかし、建物自体は取り壊されず、今もそのまま残っているそうだ。

 塾が引っ越したのには、実は別の理由があるに違いないとひとみさんは考えている。

 


                              <終わり>



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              2015.7.15号
              発行 FOREST ISLAND
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