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▼ 2015.5.27号
▼ 『FOREST 島人通信』
▼ FOREST ISLAND
▼ http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel
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▼ご挨拶
みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。
今週末の日曜日に、「ガンバレ森島ロケハンの旅」を行うことになりました!
今までゲストさんだったZeNrAさんが正式にスタッフとなりました!
ぜひぜひ、ご覧くださいませ!
http://live.nicovideo.jp/watch/lv222411464
先日、牛抱せん夏さんの「憑いてこないで!」最新動画をアップロードいたしました。
いよいよ金山ダム、後編でございます。お楽しみに!
「牛抱せん夏の憑いてこないで!!【大房岬&東京湾観音&金山ダム編(後編)】」
http://www.nicovideo.jp/watch/1432515730
どなたもご覧になれるチラ見せはこちらでございます。
http://www.nicovideo.jp/watch/1432516217
ぜひぜひ、ご覧くださいませ!
そして、FOREST ISLANDでも大活躍中の牛抱せん夏さんの本が、先日出版されました!
『千葉の怖い話 ~亡霊たちの集い~』
FOREST ISLANDに関係している話もあるので、皆様ぜひぜひ、動画と本と、併せてお楽しみください!
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★ FOREST ISLANDホラー劇場『山小屋の学生たち』①
北原琢馬が××岳で潜伏生活を送っていたのは、全くの偶然に過ぎなかった。
大学生だった北原はスクーターでひったくりを繰り返していた。
捕まることなどないと高をくくっていた北原であったが、ある時ひったくりの弾みに老婆を転倒させて死なせてしまい、警察が本腰を入れて捜査を行った結果、北原に逮捕状が出た。
しかし、逮捕に訪れた警察官の不手際もあり、北原は逃亡に成功した。そして、各地を転々としながら、潜伏生活を送っていた。
とはいえ、食うためには働くか更に犯罪を重ねる他はない。北原が選んだのは後者だった。万引きやひったくりを繰り返しては、細々と食いつなぐ日々。
そんな生活が長続きするはずもなく、だんだんと追い詰められているのを自覚した北原は、山に籠もることにした。
ひったくりで得た金を元手に、キャンプ用具と缶詰を買い込み、登山道へと踏み込んだ。何年も山籠もりをするわけではない。ちょうど時期は梅雨明け。一夏を堪え忍べば、追求も弱まるに違いない。北原はそう考えた。
ひったくりの例を出すまでもなく、運動には自信のあった北原だったが、逃亡生活としての山籠もりはまた異なった困難が待ちかまえていた。
一般の登山客やクライマーに見つからないように潜伏しなければならない。結果的に登山道を外れ、森の中に根城を設けることになる。必然的に人間の手の及ばぬ場所ということになり、森の生き物たちの手が届く場所になってしまう。
とりわけ、精神的にも肉体的にも消耗させられたのは、熊とスズメバチの存在だ。下手に遭遇すれば命に関わる。人間からも獣たちからも影響を受けない場所を求め、北原は潜伏と移動を繰り返していた。
ある晩、台風が襲ってきた。斜面にテントを張っていた北原は土砂崩れの危険を感じ、登山道を目指して歩くことにした。コンパスは買っていたが、大まかに方向を知ることしかできない。いつもは雨が降ってくれば体を洗うことにしていたのだが、今はそんな余裕もなく、北原は崩れそうになる足下を必死で踏んで堪えていた。
段々と歩くのにも慣れてきた。そう思った北原はあたりを見渡す余裕が出てきた。ぐるりを見渡してみる。どこを見ても木、木、木……。開けているのは足下の斜面だけだが、そちらは急すぎて降りていくのは難しそうだ。思ったより山の深いところまで入り込んでしまっていたようだった。
気を取り直して次の一歩を踏み出そうとした刹那、北原は刺すような視線を感じた。誰かに見られている? しかし、辺りには誰の姿も見えない。もしかすると、熊だろうか? 俺を狙っているのか?
北原にはその視線が、自分のずっと下、急な斜面のふもとから来ているように思えた。しかし、確証はない。
夏山とはいえ、夜は冷え込むこともある。しかし暑がりの北原は、これまで寒さを感じたことがなかった。にもかかわらず、今は、何やら薄ら寒いものが背中を伝っているように思える。
気を取り直して次の一歩を踏み出した足が、ずぼりと地中にめり込む。あっと思った瞬間、北原の体はバランスを崩し、ぬかるんだ斜面を転がり始めた。
止まることも立ち上がることも出来ず、北原は転がり続けた。体のあちこちをぶつけ、そのたびに痛みが走った。
ひときわ大きな痛みが脇腹を襲った。石にでもぶつけたのだろうか。確認することも出来ず、そのまま転がりながら、北原は気が遠くなるのを感じていた。
どれだけの時間が経ったのだろうか。北原は顔に叩き付ける雨で目が覚めた。自分が大の字になって雨の降り注ぐ暗闇の空を見上げているのが分かった。雨脚もさほど変わっておらず、空も明るくなっていないことから考えれば、それほどの時間は経っていないのかも知れない。
起き上がろうと身をよじった瞬間、激痛が脇腹に走る。思わず声を漏らし、北原は痛みの原因を探ろうと脇腹に目をやった。
左の脇腹辺り、黒いシャツから一本の枝が伸びていた。目に見えるところで十センチほど、根を張ったようにしっかりと固定されている。最悪の事態を認識しつつも、試しに枝の先をつついてみると、軽い痛みと共にずっしりとした振動が枝を通じて体内に響く。
もはやこれまでか。逃亡生活もこれ以上は送れない。いや、それ以前に、生きてこの山を下りることが出来るのだろうか。何センチぐらいめり込んでいる? 内臓は傷ついているのだろうか。出血はあまりないが、抜いてはいけない。どのくらい落ちて、今は山のどの辺にいる? いろいろな考えが湧きあがっては、絶望に飲み込まれて消えていった。
死ぬのだろうか? それだけは嫌だった。捕まっても良いから、こんなところで死ぬのだけは嫌だ。これまで逃亡を重ねていた自分が愚かしく思え、北原は何とか下へ向かって歩こうと身を起こした。
その時だった。
「おい、あそこじゃないのか?」
「いたぞ」
「大丈夫か?」
口々に呼びかける声があった。上半身だけを起こした姿勢のまま、よろよろとそちらを向く。
暗がりの中にいたのは、北原とそう年の変わらない数名の男女だった。6~7人くらいだろうか。キャンプ中なのか、かなりの軽装だ。しかし、身なりはあまりおしゃれではない。山の中だから当然と言えば当然なのだが、ずいぶん時代遅れの服装に見えた。思ったより、人のいる場所の近くに潜伏していたようだった。
「斜面を落ちて……怪我をしてしまって……」
声をかけてみる。一瞬、彼らはお互いに顔を見合わせたようだった。不自然な間があった。
怪しまれたか? しかし、そんなことはもうどうでも良かった。手配中であることを名乗って、出頭しても良い。命が助かるのなら、どんな罰でも受ける。北原は、そう思っていた。
「近くに僕たちの泊まっている山小屋があるから、そこまで行こう」
メンバーの中の男がそう言い、彼の言葉を合図に、皆が北原に手を貸し、体を起こした。
<続く>
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2015.5.27号
発行 FOREST ISLAND
発行者: FOREST ISLAND
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FOREST島人通信
森島大輔
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