FOREST島人通信

『FOREST 島人通信』2015.5.13号

2015/05/13 21:30 投稿

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▼ 2015.5.13号
▼ 『FOREST 島人通信』
▼ FOREST ISLAND
▼ http://ch.nicovideo.jp/morishimachannel
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▼ご挨拶 

みなさま、いつもFOREST ISLANDをお楽しみいただきありがとうございます。

いよいよ明日、5月14日(木)は、二宮歩美さん出演、心霊スポットからの生放送です! 

http://live.nicovideo.jp/watch/lv220464430

どうぞ皆様お楽しみに!

 

さて先日、アップロードした動画は立原美幸さん出演のゴーストインタビューです。

 

有名な心霊スポットである笠間城趾。

しかしそこには霊はいないと言う。

すぐそばにもっとすごい霊の溜まり場があるといわれ、そこに行ってみることにした。
http://www.nicovideo.jp/watch/1431328724

チラ見せはこちら!
http://www.nicovideo.jp/watch/1431329892
 

ぜひぜひ、ご覧くださいませ!
 

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    FOREST ISLANDホラー劇場『交差点の老人』①

 

「ほら、これがその交差点。ガードレールが歪んでいるでしょう」

佐伯君が示す写真をよく見ると、確かにガードレールがぐにゃりと曲がっている。

「少しだけだから、直す気がないのか、それともまたすぐに事故が起こるから、そのときに替えればいいと思っているのかも知れませんね」

場所を訊くと、繁華街のI駅近くの交差点だという。昼過ぎに撮ったという写真には、ちょうど昼食に向かう途中なのか、サラリーマンやOLらしき人びとがたくさん写っていた。

「この交差点は、よく事故が起こるんです。ほら、見てください」

 もう一枚の写真を見ると、まだ新しい花束が備えられている。

「僕はこの交差点に一週間ほど張り込みましたが、その間に二回は花を手向けに来る人がいました。別の人です。一週間でですよ。それだけ多くの方が亡くなっているんです」

 佐伯君は大学の後輩で、フリーのジャーナリストだ。普段は週刊誌の編集部から外注として下調べをしたり、依頼のあった記事の執筆をしたりしているが、まだ自分で取材したオリジナルの記事が載ったことはない。時間を見つけて取材をしていく中で聞きつけたのが、この交差点の噂だった。

「この四年間ほどの間に、死者が出ているだけで七件もの事故が起こっています。しかも、どれもミキサー車なんです。何かあると思わない方がおかしいですよね?」

 その噂は、私でも耳にしたことがあった。

 I駅近くの交差点に、決まってミキサー車が事故を起こすと言われる交差点がある。見通しも良く、信号機も設置されているのにも関わらず多発している。警察や行政もこれ以上の対策のしようがない状況なので、注意喚起の看板を設置したりするくらいで手をこまねいている交差点だ。

「何かあるに違いないと思ったので、張り込んでみることにしたのですが、それがこんなことになるなんて……」

 佐伯君は、そこでぶるっと体を震わせた。

 

 その交差点でミキサー車ばかりが事故を起こすことについて、佐伯君は、何か理由があるに違いないと考えた。

「例えば、道路が微妙に陥没したりしていて、ミキサー車くらいの重さの車がちょうどハンドルを取られるとか、そういうことなのではないかと」

 まず、警察に行き、ドライバーの供述調書を見せて欲しいと頼んだが、にべもなく断られた。

「まあ、想定していた通りなんですがね」

 そこで、佐伯君は交差点に張り込み、ミキサー車が通るのを待つことにしたのだそうだ。

「交通量が多いので、二日も張り込めば一台くらいは通るんじゃないかと思ったんですよ」

 カメラを片手に、交差点に張り付いた。

 しかし、なかなかミキサー車は現れない。

「近くで工事もなかったですし、別の場所で道路拡張があって、そっちに行ってしまう車も多かったんですよね。I駅に用事のあるミキサー車もなかなか無いでしょうし……」

 二日程度と考えていた張り込みは三日目、四日目と続き、佐伯君は徐々にその交差点を歩く人びとにも注意を払うようになった。

「サラリーマンやOL風の人、学生が多かったですね。他に近くに住んでいると思わせるような、全然着飾ってない人も歩いてたりして、意外と興味深かったんです」

 そんな中で、佐伯君は一人の老人がいることに気がついた。

「そのおじいさん、それこそ僕と同じように、交差点にずっといるんですよね。通りの方をずっと眺めているんです。最初はタクシーでも拾いたいのかなと思ったのですが、そうでもない。ただ、ずうっと、流れる車を見つめているんです」

 佐伯君が見せる写真には、その老人が写っていた。真っ赤なチョッキを着、ジーパンを履いている。禿げ頭だが、白髪になった後ろ髪を首まで伸ばしていた。年齢は七十くらいを思わせるが、すらりと伸びた姿勢から見ると、まだまだ老人は健康であるように思える。

「いつもその服装なんです。ずっと立っているのが気になったので、一度、挨拶してみたんですよ。でも、無視されてしまって……。夜中までいるんです。いつ食事をしているのかも分からない。それでいながら、気がつくといなくなっているんです」

 自分と同じように交差点に立ち続ける老人。佐伯君は老人に興味を持ったが、本来の目的を忘れてはいけない。彼は行き交う車列に注意を払い続けた。

「ちょうど、六日目でした。ようやく、向こうの通りからやってくるミキサー車を見つけたんですよ。カメラを構えて、連続でミキサー車の写真を撮りながらファインダーを覗いていました。すると、目の前をあの赤いチョッキが遮ったんです」

 視界を塞がれた佐伯君はファインダーから目を離した。

すると、あの老人がふらふらと車道に歩き出しているのが見えた。佐伯君が立っていたのは、ミキサー車から見ると交差点の奥側の歩道。老人はミキサー車に近い方の歩道にいた。ちょうど車列が途切れ、二車線の道路の歩道側に車はいない。中央寄りの車線を走ってくるミキサー車に向けて、老人はゆっくりと近づいて行くのであった。

「ちょっと……おじいさん」

 思わず口の中でつぶやいた佐伯君の言葉が老人に聞こえるわけもない。ミキサー車はスピードを緩める気配は無く、そのまま走ってくる。

 そのミキサー車の車体に向け、老人は身を躍らせた。


                              <続く>

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