橘川幸夫放送局通信

「民主党代表選/自民党総裁選」古い体制の勝利者選び

2012/09/19 05:04 投稿

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標題=「民主党代表選/自民党総裁選」古い体制の勝利者選び
掲載媒体=書きおろし
執筆日=2012/09/19
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「民主党代表選/自民党総裁選」に関心を持つ人が多くいても、期待を持つ人は多くはないだろう。この結果が次の総理を選ぶものであるとしたら、悲惨な気持ちになる。

 前回の衆議院総選挙における民主党の勝利と政権交代は、民主党への支持というよりも、戦後社会を築いてきた自民党政治への批判であった。それは何よりも、戦後社会の方法論とは違う、新しい日本政治の姿を登場させて欲しいという人々の願いでもあったのだろう。

 ところが何を勘違いしたか、民主党は自分の力で政権を取ったと思ってしまった。選挙の最大のテーマは「自民党政治への批判」だったのだから、新しい政権がまず取り組むことは、マニフェストの実現ではなく、自民党政治の総点検であったはずだ。何がダメで、何が問題だったのか、権力を握ったことによって手に入れられる調査能力と捜査権を駆使して、徹底的に悪行を洗い出せば、人々の支持を得られただろう。どこの国の政権交代だろうと、まずやるべきことは、前政権への攻撃である。そうした攻撃を続ける中で官僚たちを掌握し、権力の基盤を固めた上で、マニフェストの実現に向かうのが常道だろう。戦後自民党政治を支えてきた官僚体制を再編成しない限り、次の政治体制が築けるわけがない。

 ところが、浮かれた勘違い政治家たちが、何の権力基盤もないうちに、政策の花火を打ち上げて勝手に挫折してしまった。しかもあろうことに、仙石氏たちは、照準を自民党に向けるのではなく、内ゲバのように小沢氏に向けていた。小沢氏は政権を取ると同時に自民党の利権潰しを集中的にやっていたのに、仙石氏は内部から撃ってしまった。更に仙石氏は、「官僚は優秀だから」と、素人大臣をふりわけて、官僚依存の政治を進めてしまった。

 かくして、民主党は第二自民党化し、野党である自民党の政策を実現する与党という、なんだか訳の分からないことまでしでかした。そうした状況の中で、橋下氏らの動きが注目された訳だが、橋下氏への支持も、確かに彼の個人的なパワーへの期待もあるのかも知れないが、本質的には、政権奪取した時の民主党と同じで、旧来体質の政治に対するアンチという意識によるものだろう。

 ところが、この動きも政権奪取する前から、自民党という旧来の政治体制へのにじり寄りという形で、民主党と同じ轍を踏もうとしている。人々の意見を代弁するつもりはないが、少なくとも僕自身は、旧来の政治家や官僚たちの、手際のよい実務を求めているのではなく、これからの時代を牽引する、新しい政治手法と官僚システムを望んでいる。それがどういうものかはまだ誰も分からない。しかし、少なくとも、そういう新しさを求めているという想いが、「民主党代表選/自民党総裁選」の候補者たちの表情に見てとれないことが、とても悲しい。誰もが、潰れかけた、古い体制の上での勝利者になりたいだけなのだろう。

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