もう一つは、『東京新聞』では「『拉致』など工作にかかわるいくつかの言葉は、北朝鮮の発音ではなく、韓国の発音に基づいて表記されるなど、工作員の主要な活動領域である韓国の実情に合わせて訓練されていたこともうかがわれる」と分析している、韓国式発音表記の問題である。「南朝鮮」発を装った偽装文書ならまだしも、北朝鮮国内で使われている文書の中、工作活動の実戦訓練と関わりのない部分で、韓国式の発音表記をする必要はない。新聞に掲載された写真では確認できないが、もし金日成あるいは金正日の「お言葉」の中で韓国式発音表記がされているとすれば、made in South Koreaの文書、しかも低質な捏造文書の可能性が相当に高まる。というのは、北朝鮮では「指導者」の言葉を勝手に変更する、ましてや「南朝鮮式」の表記に変更することなど、訓練のためであったとしても、許されないと考えられるからである。
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日本大学の川口智彦助教授のニュースに関する記事を共有します。
今の段階で、孫崎享氏が「一級の資料」などと記すのは軽はずみだったのではないでしょうか。
《11日、『東京新聞』に「北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手」という記事が掲載され、その文書の写真が掲載された。
「金正日主義対外情報学」という「対外秘密」に指定された文書ということである。まず、文書のタイトルに使われている「金正日主義」という言葉が引っかかる。金正日時代、私は一次資料を用いた北朝鮮研究はしていなかったので正確性に欠けるが、当時、「金正日主義」という用語は存在したのだろうか。「金日成主義」という用語は使われていたが、「金正日主義」という用語は二次資料の中では見た記憶がない。金正恩時代になって登場した「金正日愛国主義」、「金日成-金正日主義」などの言葉はあるが、金正日時代に自らの名前を「主義」とした用語が存在したとは考えにくい。もちろん、工作員養成機関で秘密裏に使われた可能性はあるものの、思想に関わる重要な用語、しかも「最高尊厳のお名前」をかぶせた用語まで作成するとは考えにくい。そのようなことからして、この「文書」は、「金正日愛国主義」、「金日成-金正日主義」という「主義」が金正恩時代に使い始められてから捏造されたのではないかと疑われる。
もう一つは、『東京新聞』では「『拉致』など工作にかかわるいくつかの言葉は、北朝鮮の発音ではなく、韓国の発音に基づいて表記されるなど、工作員の主要な活動領域である韓国の実情に合わせて訓練されていたこともうかがわれる」と分析している、韓国式発音表記の問題である。「南朝鮮」発を装った偽装文書ならまだしも、北朝鮮国内で使われている文書の中、工作活動の実戦訓練と関わりのない部分で、韓国式の発音表記をする必要はない。新聞に掲載された写真では確認できないが、もし金日成あるいは金正日の「お言葉」の中で韓国式発音表記がされているとすれば、made in South Koreaの文書、しかも低質な捏造文書の可能性が相当に高まる。というのは、北朝鮮では「指導者」の言葉を勝手に変更する、ましてや「南朝鮮式」の表記に変更することなど、訓練のためであったとしても、許されないと考えられるからである。
『東京新聞』が、「356ページ」の文書をしっかり読み込んだ上で報道しているのかは疑わしいが、どこかでチープな捏造文書を掴まされたのではないだろうか。》
「北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手」:「金正日主義」、「拉致」の朝鮮語表記の解釈 (2015年11月11日 「東京新聞」)
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